銀河フェニックス物語<出会い編> 第十六話(1) 永世中立星の誕生祭
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「それではこれでよろしくお願いします」
クロノス社のフレッド・バーガーは契約ボードを差し出した。
ガーディア社のガロン技師長が電子サインを記入する。
契約完了。
その様子をみながらティリーは感慨にひたっていた。思えばこの仕事は長かった。
わたしの初めての出張だった。

新型船の高重力実験の契約を交わそうと、ここラールシータを訪れたのが一年前。
ちょうどその時、独裁を続けてきた王室に対し革命とも呼べる大規模デモが勃発し、契約どころでは無くなってしまったのだ。
この星の統治は、民主的に選挙で選ばれた国民議会へと移った。
政治的安定が戻ると同時に経済活動も再開した。
ガーディア社とあらためて契約を結ぶ運びとなり、わたしは再びこの星を訪れたのだった。
今回の契約は順調に進んだ。
昨年、デモ隊と警備隊の武力衝突に巻き込まれた際、偶然、ガーディア社のガロン技師長の命を助けたことが幸いした。
契約ボードをアタッシュケースにしまいながらフレッド先輩がわたしに声をかけた。
「じゃあティリーくん。僕は一足先に帰るけど、ガロンさんに迷惑かけないようにね」
「はい、ご心配なく」
契約の成立と共に先輩は本社へ戻る。
けれど、わたしは休暇をとって引き続きラールシータに滞在することにしたのだ。
明日から新生ラールシータの一周年を記念した誕生祭が始まる。
去年、銃弾の中を逃げ回るという非日常的な経験をしたわたしは、ソラ系へ戻ってからもラールシータのニュースが気になった。
わたしには他人事に思えなかった。
*
高重力を制御し、円形に都市が広がるラールシータ。
重力制御装置がある中心部の一ノ丸から遠ざかるにつれて住所の数字が大きくなる。
「ここです、どうぞ」

ガロンさんは四十五ノ丸にある二階建ての広い自宅に家族と一緒に暮らしていた。
ここが休暇の間のわたしの宿泊先。
ホテルの予約が取れなくて困っていたわたしにガロンさんが自宅に泊まるよう勧めてくれたのだ。
「うちに部屋が余っています。ティリーさんは命の恩人だから、父も母もお礼がしたいと言っているんですよ。ゆっくりしていってください」
実際にガロンさんを助けたのはレイターだけれど、ガロンさんの好意に甘えることにした。
スーツケースを持って玄関を入ると、中から出てきた若い男性とぶつかった。
「ご、ごめんなさい」
「・・・・・・」

わたしと目があったのにその人は何も言わないで立ち去った。
感じが悪い。
ガロンさんが頭を下げた。
「ティリーさん。弟のマイヤです。すみません、ちょっとわけがあって・・・」
マイヤさん?
わたしは思わず振り返った。
一年前に会った時とはまるで別人だ。
彼は当時学生自警団のリーダーで混乱する空港の中でわたしとフレッド先輩を助けてくれたのだ。
ガロンさんがわたしに聞いた。
「ティリーさん、今晩時間ありますか?」 (2)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」