銀河フェニックス物語<出会い編> 第十六話(2) 永世中立星の誕生祭
・第一話のスタート版
・第十六話(1)
「ええ。あいてますけど」
「うちの会社で社長秘書をしていた、アドゥール覚えているでしょう」
「はい、もちろん」

アドゥールさんは去年、そう、つぶれた契約の時に、ガロン技師長と一緒にわたしたちの担当だった。
その後、会社を辞めて国民議会の発足に携わったという話は聞いていた。
「実は彼女、結婚したんですよ。それで、今晩、内輪でお祝いの会を開くことになっていましてね。一緒に行きませんか?」
「まあ、いいんですか。で、お相手の人は?」
ガロンさんはもったいぶるかのように一呼吸おいてから答えた。
「実は・・・国民議会の初代大統領なんですよ」
「ええっ!?」
驚くわたしに更に追い討ちをかけるような発言が続いた。
「今日はお忍びで教皇も顔を見せることになっているんです。これは内緒ですよ」
ガロンさんは人差し指を口の前に立てながら言った。
教皇や大統領なんてニュースの中の人たちだ。
信じられない展開に興奮しながら、わたしが一番気になったのは他愛もないことだった。
「あのぉ、どんな服を着ていけばいいんでしょう?」
*
パーティ会場は十二ノ丸の川べりにあるおしゃれなレストランだった。
既に立食パーティが始まっていた。
入り口でソフトドリンクを選びガロンさんと一緒に中へ入る。
薄いピンクのワンピースに、仕事のスーツの上着を羽織った。何とかフォーマルっぽく見える、と思う。
会場の中央で新郎新婦が出席者と談笑しているのが見えた。真っ白なウエディングドレスのアドゥールさん。

元々綺麗な人だけれど今日は美しさが際立っている。華やかで、人を惹きつけるオーラがある。
隣に立つ白いタキシードを着た新郎の大統領を見た時、わたしはどこかで会ったことがあるような気がした。ニュースで見たからだろうか。
その時、背後からわたしを呼ぶ声がした。
「よお、ティリーさん」
聞き慣れた声だった。
ええええっ? この声って、まさか。
振り向くと厄病神が立っていた。
「レイター、あなたどうしてここにいるの?」
「どうしてって、呼ばれたから」

上着は着ているものの、いつもどおりだらしなくネクタイをゆるめている。
確かに前回の出張は、厄病神の船でこの星へ来たけれど・・・
新郎新婦があいさつに近づいてきた。大統領がレイターに声をかけた。
「レイター。よく来てくれたな」
「うまくやったもんじゃねぇか、オルダイ」
「お前のおかげだ」
肩を叩きあうレイターと大統領の会話は明らかに親しい仲だった。
そしてわたしは大統領を近くで見れば見るほど、どこかで会ったことがあるという気持ちを強くした。左頬の傷に見覚えがある。
「お嬢さん。その節はいろいろとご心配をおかけしてすみませんでした」

わたしに向けられたその声で記憶がよみがった。
服も雰囲気も、まるで違うけれど。
この人、レイターが喧嘩した反王室グループのリーダーだ。
「お、おめでとうございます」
と言うのがやっとのわたしにアドゥールさんが声をかけた。
「ティリーさん。お仕事ではご迷惑をおかけしてごめんなさいね。でもあの契約も成立したと聞きました。きょうは楽しんでいって下さいね」
その時だった。
「教皇が参りました」
ガロンさんの声で、会場は一瞬のうちに静まり返った。 (3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」