銀河フェニックス物語<出会い編> 第十六話(3) 永世中立星の誕生祭
・第一話のスタート版
・第十六話(1)(2)
新郎新婦が顔を見合わせて驚いている。
ドアから現れたのは街のあちこちで見かける肖像画とそっくりの白い髭の教皇本人だった。

出席者が一斉に頭を下げ敬礼する。
「ラールの御心のままに」
わたしもあわててお辞儀をした。
「教皇、こ、こんなところまでご足労を・・」
新郎の大統領も予想外のことに声が震えている。
サプライズは大成功だ。
ガロンさんは子どものようにうれしそうな笑顔をみせていた。
「そなた達二人とは長き付き合い。お祝いの言葉ぐらい言わせておくれ。おめでとう。そして、これからもよろしくな」
教皇は大統領夫妻の手の上に自らの手を重ねた。
ラール王室は政変によって内政での力は無くなったものの、国民議会とうまくバランスをとりながら共存していた。
それを象徴するような感動的な瞬間だった。
「よお」
レイターが教皇に向けて軽く手をあげた。隣にいたわたしはびっくりしてレイターの服の端をひっぱった。

やめて、恥ずかしい。
「この星、滅ばなかったから賭けは俺の勝ちだぜ」
教皇に対して何を言い出すのだろう。
賭けって何? わたしは穴があったら入りたい気持ちになった。
「そちには感謝している。礼の言葉が遅れてすまなかった」
緊張と恥ずかしさのあまり二人が何を話しているのかまったく理解できない。
とその時、レイターがいきなりテーブルの上に置かれていた林檎を掴んだ。
お願い、これ以上変なことしないで! と思った瞬間、
ビシッツ。
林檎に短い弓矢がささっていた。
その矢はまっすぐに国王を向いている。
レイターが振り向きざまに手に持っていたフォークを投げつけた。
窓から外へ逃げようとしている男のタキシードの端をフォークがつらぬき壁につきささる。
男が転び数人の警護隊が一気に取り押さえた。
「教皇、ご怪我は」
「大丈夫だ」
教皇は近衛兵に囲まれたまま、王室専用車に乗り込み帰っていった。
*
パトカーのサイレンが鳴り響き、パーティ会場は華やかな雰囲気から一転、慌ただしく重苦しい空気に包まれた。
レイターのせいだ。厄病神の発動だ。教皇の命が狙われた。
ガロンさんが取り乱しながら警護隊に説明している。
「どうしてだ、教皇の出席はどこにも漏れていないはずなのに・・・」
パーティーに出席したいという教皇の意向を聞いた秘書室とガロンさんが極秘に企画したという。
レイターが大統領に話しかける。
「結婚式の催しものとしちゃあ、ウイリアム・テルの配役を失敗したな」
全く何を言ってるんだか。

「またお前に助けられたな」
「で、テルちゃんは何者よ?」
矢のささった林檎を指の上でくるくる回しながらレイターがたずねる。
「おそらく左派だ」
「ふぅ~ん」
「サハって何ですか?」
思わず聞いたわたしに、大統領が説明をしてくれた。
「今、この星は三派に別れているんです。私たちと同じように王室と国民議会の共存を考えている中道派が国民の九割を越えていますが、このほかに、『王室絶対』という右派と、『王室廃止』をとなえる左派がいてこの左派が、最近テロ的な活動をみせているんです」
「ウイリアム・テロってか」
レイターのばか。
会場では警察の現場検証が始まり、パーティーはお開きとなった。 (4)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」