銀河フェニックス物語<出会い編> 第十六話(4) 永世中立星の誕生祭
・第一話のスタート版
・第十六話(1)(2)(3)
事情聴取を受けてすっかり意気消沈しているガロンさんとわたしをレイターが家まで車で送ってくれたのは良かったのだけれど・・・。
どうしてレイターがガロンさんの家に泊まることになるの?
フェニックス号でいいじゃない?
玄関に入ったところでレイターがガロンさんに声をかけた。
「悪いねえガロンさん。ティリーさんと同じ部屋でいいから」
ば、ばかなこと言わないで。
「ガロンさん!! 部屋が無ければ、わたしホテル探しますから」
「照れなくてもいいぜ、いつも同じ屋根の下で寝てるじゃん」
パシッ。

気がつくと、わたしはレイターのしまりの無い顔をはたいていた。
「変な冗談は止めてちょうだい。仕事であなたの船に乗っているだけですから。セクハラです」
「ぶつこたねぇだろ」
レイターが頬をさすっている。
ガロンさんが苦笑しながら言った。
「大丈夫ですよ。部屋はありますから」
気がつくと、弟のマイヤさんがわたしたちをじっと見ていた。
わたしは声をかけた。
「マイヤさん。わたしクロノス社のティリー・マイルドです。覚えていらっしゃらないかも知れないけど、去年混乱する空港であなたに助けてもらったんです。あの時はありがとうございました」
頭を下げた。
「覚えています。ご無事で何よりでした」

それだけ言うとマイヤさんは階段を上って自分の部屋に入ってしまった。
「マイヤがしゃべった」
ガロンさんが驚いている。
「あれがあんたの弟?」
「ああ」
レイターの問いにガロンさんがうなずいた。
「ティリーさんとお知り合いなわけ?」
「去年、空港で助けてもらったのよ」
「ふ~ん」
レイターは不機嫌そうな顔をしている。
「俺なんか礼を言われたためしがねぇのに」
ガロンさんが驚くことを言った。
「あいつの声を聞いたのは一年ぶりなんです」
「え?」
意味が分からない。
その時、年配の男女が奥から出てきた。
「マイヤの声が聞こえたぞ」
ガロンさんのご両親だ。
ガロンさんが興奮しながら二人に伝える。
「マイヤが今、ティリーさんと話したんだよ」
わたしはあわてて挨拶した。
「お、お世話になります。ティリー・マイルドです」
二人はそろってわたしに頭を下げた。
「ティリーさん、あの混乱の中、ガロンを助けていただきありがとうございます」
「実際にガロンさんを助けたのはレイターで、わたしは去年、空港でマイヤさんに助けていただいたんです。お礼を言うのはこちらの方です」

ガロンさんの母親は近づいてわたしの手を握った。
「ティリーさん、お願いです。弟のマイヤと話をしてやってください。あなたしか頼れる人はいません。どうか、どうかお願いします。ラールの御心のままに」
切羽詰まった声に気後れする。
状況が飲み込めないでいるわたしにガロンさんが説明した。
「去年、デモ隊と近衛兵がぶつかった時の怪我がもとで、マイヤの彼女が亡くなったんです。いい子だったんですけど」
ガロンさんが思い出したように言葉を切った。
「・・・それ以来あいつ、ふさぎこんでしまって、わたしたち家族とも誰とも口をきこうとしないんですよ。あなたなら弟を救えるかも知れない。お願いします」
ガロンさんの家族全員がわたしに頭を下げた。突然そんなことを言われても困ってしまう。
どうしよう。
レイターに助けを求めて目くばせする。
「俺以外の男のためってのは気にいらねぇが、恩返しはできる時にしとくもんだ」 (5)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」