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銀河フェニックス物語<出会い編> 第二十二話(1) 地球人のディナー

第一話のスタート版
第一話から連載をまとめたマガジン 
第二十一話「彷徨う落とし物」

「ティリー!」
 会社の廊下で突然、同期のカノオ君がわたしを呼び止めた。

 面倒くさい、という気持ちが真っ先に来た。

 おととい、出張先で契約ボードを無くしたカノオ君を手伝ったら「俺とつきあってくれ」と告白された
 それを断って以来、顔を合わせるのを避けていたのだけれど。

「ティリー、君は知らないかもしれないが、俺は地球人なんだ」

n230カノオ笑顔

 カノオ君は上機嫌で話しかけてきた。
「知ってるわよ」
 自己紹介の時に、カノオ君は何度も自分は地球人だと連呼していた。

 確かに地球は銀河連邦の中心で、地球人のステイタスが高いことはわたしも知っている。
 カノオ君みたいな地球人もいるんだ、と思ったことを思い出す。

「君は幸せ者だな」
 意味がわからない。カノオ君が地球人だと、どうしてわたしが幸せなの?

「週末、地球のレストランを予約した。あけておいてくれ」
「ちょ、ちょっと待って」
「地球のレストランだぞ。行きたいだろう」
 確かに地球は入星管理が厳しくて、そんなに簡単には入れない。

  憧れが無いといえば嘘になるけれど。

「週末は予定があるの」
「どんな予定だ。そんなに大事なのか?」
 カノオ君に報告する義務はない。けれど、言わないとしつこそうだ。

「フェニックス号でS1を観ることになってるのよ」
「そんな予定はキャンセルしろ!」
 カノオ君が怒って大声をだした。

「どうして?」
「俺たちはつきあってるんだぞ」
 わたしは驚いた。
「ええぇっ??? つきあってないわよ」

n12ティリー正面呆気

「何を言ってるんだ? 何かの間違いだろ?」
 今度はカノオ君があわてている。

 わたしはお断りしたつもりだったけど、きちんと伝わっていなかったかも知れない。カノオ君は勘違いしている。

 はっきりさせておこう。
「ごめんなさい。あなたとはおつきあいできません」
 カノオ君の顔が真っ青になった。
「どうしたんだ。何があったんだ?」

「何もないわよ。この間、お断りしたつもりだったもの」
「やっぱり、レイターとつきあっているのか?」
「違うわよ」
 ああ、面倒くさい。
 廊下を通り過ぎる人たちがわたしたちを見ている。
 早く仕事に戻りたい。

 と、その時、
「また、カノオが、俺のティリーさんにちょっかいかけてんのかよ」

皇宮ゆるシャツ

 レイターが通りかかった。

 ややこしさが倍増だ。
 カノオ君が上を向いてレイターにつっかかる。
「ティリーはお前とつきあっていない、と断言したぞ。週末、ティリーは俺と地球のレストランでデートするんだ。今、止めたらキャンセル料も発生するんだぞ。お前は一人でS1見てろ」
 いきり立つカノオ君に、レイターは静かに言った。

「ふ~ん。ま、いいけど」

 レイターはわたしを引き留める気はないらしい。
 何だか気に入らない。腹が立つ。この場にいたくない。

「わたし、急ぎの仕事があるの」
 それだけ言うと、速足で職場の自席へと戻った。

 顧客名簿を確認するためにモニターを立ち上げる。今日中にチェックしなくちゃいけないのに、変なところで時間をとられてしまった。

 大体、レイターが断ってくれればよかったのに。
「ふ~ん」って何よ「ふ~ん」って。     (2)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」