見出し画像

銀河フェニックス物語<出会い編> 第五話(5/25) 今度はハイジャックですって?!

<第五話のあらすじ>ティリーが乗った超豪華客船『カシオペア』がハイジャックされた。ボディガードのレイターにメルバ星系のルギーナ王妃が警護を依頼してきたがレイターはやんわりと断った。(1)~(4)

 レイターは過去に皇宮警備という連邦軍のエリート集団に所属していたという。おそらくその頃に警備を担当したことがあるのだろう。
「だから、あなた警護を断ったの?」
「うんにゃ、そういう訳じゃねぇ。マダムはあれでいい女なんだ」
 レイターはにやりと笑った。

 いい女? お金ですべて解決しようとしているような人が。確かに美人だけれど、男の人の趣味はよくわからない。
「じゃあ、どうして断ったのよ」
「あん? 理由はさっき言ったじゃん」
 そうだっただろうか。よく覚えていない。

 中央船室に集められたわたしたち人質に対して、ハイジャック犯の男たちは二人一組でチケットと本人確認証のチェックを始めた。
 わたしたちの座席にも二人組がやってきた。

 一人はスプレー銃をわたしたちに向けている。嫌な感じだ。
 もう一人がレイターの本人確認証の情報を携帯端末に入力しながら話しかけた。
「君は純正地求人なのか。人質として利用価値がありそうだね」
「身代金は俺によこせよ」
 レイターと犯人の会話を聞いてわたしは驚いた。レイターが地球人なのは知っていたけれど純正地球人ですって? 
 純正地球人と言えば犯行声明にも出ていた特権階級の希少民族だ。
「そちらの女性はアンタレス人か。彼女も利用できそうだ」

 レイターがすごんだ。
「てめぇら俺のティリーさんに指一本でも触れてみろ、ただじゃおかねぇからな」

n24レイター横顔怒@

 ゾッとするほど怖い声だった。
「お、おとなしくしていていただければ手荒な真似は致しません」
 男たちはまるで脅された被害者のように丁寧に答えた。これじゃあどっちが犯人だかわからない。こんな純正地球人、いるはずがない。

 続いて、ハイジャック犯の二人は隣の王妃のパスポートを確認した。
 何やら無線で指示を仰いでいる。
「メルバ星系のルギーナ王妃でいらっしゃいますね?」
 王妃は黙っていた。
「私どもの目が届きやすい前方の特等座席へお移りいただけますか?」
「嫌だと言ったら」
「他の乗客に迷惑がかかることになります」

 王妃は少し考えてからゆっくりと言った。
「一つ条件があります」
「条件?」
「この者を一緒に連れていきたいのです」

n120メルバ王妃口開く

 王妃はレイターを指さした。な、な、なんて人なのよ。レイターを巻き込もうだなんて。レイターが苦笑した。

「王妃、そりゃないでしょ」
 王妃が意地悪そうな顔でレイターを見た。
「レイター、昔のことをこのお嬢さんにばらすわよ」
「・・・・・・」
 レイターが困った顔をして黙り込んだ。ばらされて困るってどういう関係なんだろう。この人たち。

 ハイジャック犯は純正地球人のレイターを特等座席へ連れていくのは問題がないと判断したようだ。
「わかりました。王妃の仰せのようにこの男の席を近くに用意いたします」

 わたしは一体どうなるのだろう? 
 一人で三等座席に残れということだろうか。不安がよぎったその時、
「そう、じゃあそちらのお嬢さんの席も頼むわ」
 それだけ言うと、王妃は凛として立ち上がった。

 特等座席にはルギーナ王妃のほか十人程度が座っていた。その末席にわたしとレイターが座らさせられた。
 シートベルトが強制使用モードになっていた。犯人が制御していて自分では外せない。
「ティリーさん、よかったなあ」
「は?」
「このシートに座ってみたかったんだろ」
「そんな気分じゃないわよ」 
 レイターは悠長にも、ハイジャック犯に気安く声をかけている。
「あんた、何て名前?」
「先ほども名乗りましたが、反ス連です」
 反連邦スチューデント連盟の略称だ。彼らは本名を明かすつもりはないらしい。
「ふ~ん。ハンスさんか」     (6)に続く


いいなと思ったら応援しよう!

48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」