銀河フェニックス物語<裏将軍編>最後の最後は逃げるが勝ち(9)
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銀河警察警備部のクリスは頭を抱えていた。

東西決戦のバトルは情報ネットのライブ配信で見た。レイターの奴、すごい飛ばしだったな。銀河連邦内の飛ばし屋はギャラクシー・フェニックスが統一した。
そこで、俺に、裏将軍と交渉せよ、という厄介な任務が回ってきた。
そもそもギャラクシー・フェニックスのアジトというのは銀河警察の交通部も把握していない。
統一バトルの後、交通部の白パトが中型船のギャラクシー号を追いかけたが撒かれた。おそらくレイターが無免で操縦したんだろう。あいつの操縦は銀河一だ。
大富豪のハサム一族が持つ数千ある別荘のどこかにアジトはあるらしい。
仕方がないから俺は将軍家のアーサーに聞いた。
「レイターの連絡先ってわかるか?」
「国家機密なので取り扱いは慎重に願います」
「何?」
「冗談です」
とアーサーがにこやかに笑った。

驚いた。こんな表情をする奴じゃなかったぞ。
俺はひきつった笑顔をアーサーに向けながら、レイターの居場所の情報をもらった。
将軍家の跡取り様は、よくも悪くもレイターの影響を受けている。
連絡先を手に俺は考えた。
レイターに最後に会ったのは、いつだっけな。
ああ、そうだ。あいつの結婚式だ。将軍家で開かれたこじんまりとした披露宴。あいつの同級生たちが大騒ぎして、楽しかったな。
レイターの奴、人が変わったみたいに穏やかで、幸せそうだった。

あの直後、新婦は亡くなったと聞いた。
それで、今度は御台所を娶るって、早すぎだろ。
俺はアーサーに言われた通りに行動した。
ギャラクシー・フェニックスの本部を知りたがってる銀河警察の尾行をまいて、慎重にハサム一族の別荘へとたどりついた。
門に立つ三下に「裏将軍に会いたい」と名前を告げた。
謁見の間という大層な部屋に案内されると、仰々しい椅子に長身の男性が座っていた。
「ポリ公が何の用だよ」

俺は驚いた。しゃべり方で誰だかすぐにわかったが、これが、声変わりしたレイターの声だと認識するのには時間がかかった。
「お、お前、レイターなのか?どうしたんだ?」
「何がだよ」
「チビじゃない」
背の低い欠食児童だったあいつが、俺の背に追い付きそうだ。
「殴るぞ」
「だが、俺より低いな」
「殺すぞ」
ガキの頃のピリピリした感じが戻っていた。

結婚式の時のレイターの穏やかなイメージが微塵もない。噂通りの死ぬより怖い裏将軍だ。
「まあ、落ち着け。交渉がしたいんだ」
「交渉?」
レイターの隣に若い男女が立っていた。顔は確認済みだ。俺は自分からあいさつした。
「初めまして。銀河警察警部のクリスと言います。ハサム一族のご子息ですな。そちらは御台所」
紫色の前髪が裏将軍の側近アレグロ・ハサム。整った顔立ちの少女が御台所のヘレン・ベルべロッタ。

レイターが俺を紹介する。
「こいつはポリ公だが信頼できる奴だぜ」
「ありがたい紹介だな」
「で、交渉って何だよ」
「ギャラクシーフェニックスを解散して欲しい」
側近と御台所が怖い顔で俺をにらみつけた。肩をすくめてレイターが答える。
「はいはい、って言うと思ったか」
「ただでとは言ってない。レイター、お前に免許を与えてやる」
「なっ?!」
想定通りにレイターが驚いた。
「お前の仮免解除まで後二ヶ月あるだろ、それを早めてやる」
「免許が手に入る・・・」
側近のアレグロが口を挟んだ。
「レイター、二ヶ月待てば済むことだ」 (10)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」