銀河フェニックス物語 <出会い編> 第十八話(2) オールスター狂騒曲
・第一話のスタート版
・第十八話(1)
ベルは会社の噂話に強い。ためいきが出た。
「大迷惑だわ。レイターに文句言わなきゃ。今から行こうかしら」
レイターがフェニックス号を停めている駐機場は、このショッピングモールから無料ライナーですぐだ。
「わたしも連れてってよ。厄病神と一度話してみたかったんだ。前に出張をティリーに代わってもらったから、フェニックス号に乗ったことないし」

ベルが急病になり、代打ちでレイターと出張に出かけた。
あの時には、テロリストに宿泊ホテルを砲撃された。
「触らぬ厄病神にたたりなしよ」
「でも、レイターって、人気あるんだよね」
「えっ?」
驚きを通り越すとはこのことだ。
*
フェニックス号の入り口に着いた。
「マザー、レイターいる?」
「取り込み中ですけど、どうぞ」
ドアが開いた。
「勝手に入っていいの?」
ベルが驚いている。
「マザーがいい、って言えばいいのよ」

この船のメインコンピューターのマザーは、勝手に判断する。まるで人格があるようだ。
わたしは、勝手知ったるリビングへと入っていく。
「ティリーさんは、いつものコーヒーでいいですか?」
マザーがたずねる。
「ええ」
「そちらのお嬢さんは、どうされますか?」
「ベル、飲み物どうする? コーヒーはお勧めよ」
「じゃ、あたしもコーヒーで」
マザーが出してくれるコーヒーは、いつ飲んでもおいしい。お茶うけに焼きたてのクッキーも出してくれた。
「おいしい」
ベルが目を丸くした。
「下手なカフェに行くより、よっぽどいいわよ。居心地もいいし、本も読み放題。厄病神さえいなければね」
調理師免許を持っているレイターは、料理が上手い。そのレイターが細かくプログラミングしているのだろう、マザーの作るスイーツもまたおいしい。
わたしは聞いた。
「マザー、取り込み中って、レイターは何してるの?」
「トレーニングです」
フェニックス号の後方には、トレーニングルームがある。
「ふ~ん、行ってみよっか」
わたしが立ち上がると
「ダメです」
とマザーが止めた。
でも、駄目と言われると余計に行きたくなる。わたしはベルと一緒にトレーニングルームへ向かった。
*
トレーニングルームに鍵はかかっていなかった。
そっとドアを開ける。
「開けるな!」

レイターの真剣な声に驚いた。
バスケットボールぐらいの大きさの、ボール型ロボットが空中に浮いていた。
テレビの通販番組で見たことがある。トレーニングボールロボだ。
ゲーム感覚で反射神経を養えるフィットネス商品。
ベルと二人で、そろりと中へ入った。
「な、何で入ってくんだ。そこから動くなよ」
ピュンッ
ボールロボから緑のライトが、レイターに向かって飛び出した。

ボールロボは三体浮かんでいて、次々とレイターを狙う。
レイターは光線を素早くよけながら、ボールロボについている赤いボタンを蹴ったり叩いたりしている。
ボールロボの動きが止まるまで、赤いボタンを何度も押して下さい、と深夜の通販番組でやっていた。
番組で、インストラクターが対応していたボールロボは一つだった。
すごい。職人芸だ。
思わず見とれる。
よく、あんな高さまで足が上がるものだ。
三つのボールロボが、いろいろな角度から攻めてくるのに、まるでレイターは後ろにも目があるかのように正確に対処していく。
「バスケが上手いはずだわ」
ベルが感心している。
とその時、
「危ねぇ!」
ボールロボの一つが、わたしたちの方へ向かってきた。
(3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」