見出し画像

銀河フェニックス物語 <出会い編> 第十八話(2) オールスター狂騒曲

第一話のスタート版
第十八話(1

 ベルは会社の噂話に強い。ためいきが出た。

「大迷惑だわ。レイターに文句言わなきゃ。今から行こうかしら」
 レイターがフェニックス号を停めている駐機場は、このショッピングモールから無料ライナーですぐだ。

「わたしも連れてってよ。厄病神と一度話してみたかったんだ。前に出張をティリーに代わってもらったから、フェニックス号に乗ったことないし」

ノースリーブ笑いn44ベル横顔@

 ベルが急病になり、代打ちでレイターと出張に出かけた。
 あの時には、テロリストに宿泊ホテルを砲撃された

「触らぬ厄病神にたたりなしよ」
「でも、レイターって、人気あるんだよね」
「えっ?」
 驚きを通り越すとはこのことだ。

 フェニックス号の入り口に着いた。
「マザー、レイターいる?」
「取り込み中ですけど、どうぞ」
 ドアが開いた。

「勝手に入っていいの?」
 ベルが驚いている。

「マザーがいい、って言えばいいのよ」

n14ティリー振り向き逆

 この船のメインコンピューターのマザーは、勝手に判断する。まるで人格があるようだ。
 わたしは、勝手知ったるリビングへと入っていく。

「ティリーさんは、いつものコーヒーでいいですか?」
 マザーがたずねる。
「ええ」
「そちらのお嬢さんは、どうされますか?」
「ベル、飲み物どうする? コーヒーはお勧めよ」
「じゃ、あたしもコーヒーで」

 マザーが出してくれるコーヒーは、いつ飲んでもおいしい。お茶うけに焼きたてのクッキーも出してくれた。
「おいしい」
 ベルが目を丸くした。

「下手なカフェに行くより、よっぽどいいわよ。居心地もいいし、本も読み放題。厄病神さえいなければね」
 
 調理師免許を持っているレイターは、料理が上手い。そのレイターが細かくプログラミングしているのだろう、マザーの作るスイーツもまたおいしい。

 わたしは聞いた。
「マザー、取り込み中って、レイターは何してるの?」
「トレーニングです」
 フェニックス号の後方には、トレーニングルームがある。
「ふ~ん、行ってみよっか」

 わたしが立ち上がると
「ダメです」
 とマザーが止めた。
 でも、駄目と言われると余計に行きたくなる。わたしはベルと一緒にトレーニングルームへ向かった。

 トレーニングルームに鍵はかかっていなかった。

 そっとドアを開ける。
「開けるな!」

n24レイター横顔@叫ぶ

 レイターの真剣な声に驚いた。

 バスケットボールぐらいの大きさの、ボール型ロボットが空中に浮いていた。
 テレビの通販番組で見たことがある。トレーニングボールロボだ。
 ゲーム感覚で反射神経を養えるフィットネス商品。

 ベルと二人で、そろりと中へ入った。
「な、何で入ってくんだ。そこから動くなよ」

 ピュンッ

 ボールロボから緑のライトが、レイターに向かって飛び出した。

画像5

 ボールロボは三体浮かんでいて、次々とレイターを狙う。

 レイターは光線を素早くよけながら、ボールロボについている赤いボタンを蹴ったり叩いたりしている。

 ボールロボの動きが止まるまで、赤いボタンを何度も押して下さい、と深夜の通販番組でやっていた。
 番組で、インストラクターが対応していたボールロボは一つだった。

 すごい。職人芸だ。
 思わず見とれる。
 よく、あんな高さまで足が上がるものだ。

 三つのボールロボが、いろいろな角度から攻めてくるのに、まるでレイターは後ろにも目があるかのように正確に対処していく。

「バスケが上手いはずだわ」
 ベルが感心している。

 とその時、
「危ねぇ!」
 ボールロボの一つが、わたしたちの方へ向かってきた。
 (3)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
イラスト集のマガジン

いいなと思ったら応援しよう!

48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」