銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (52)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40) ⑤~(50)
・ 永世中立星の叛乱 (51)
レイターがちゃかしながら言った。
「あんたはこれからが本番だ、ま、適当にやれや」
「感謝している。落ち着いたら国賓として呼ぶよ」
俺の言葉にトライムス少佐が口を挟んだ。
「止めたほうがいいですよ。折角の未来に傷がつく」
「うるせぇ。それよりフェニックス号を優先的に離陸させてくれよ」
管制計器を見ながら俺は答えた。
「わかってる。今、西ゲートは立てこもりがあって閉鎖してるが、お前の船の東ゲートは大丈夫だ」
「立てこもり?」
「臨時便の中で乗務員を人質に騒いでいる奴がいるんだそうだ。この忙しいのに妻を呼んでこいとか身内のごたごたらしい」
「ふ~ん。ま、俺には関係ねぇ。じゃな」
「レイター」
帰ろうとするレイターをトライムス少佐が怖い顔で呼び止めた。

「あん?」
「アルボードは置いていけ」
「ちっ、ばれたか」
レイターは口を尖らせながらカード型の機器を上着のポケットから取り出した。
名残惜しそうに机の上に置くと「じゃな」と言って部屋を出ていった。
混乱の中忘れていた。
トライムス少佐からアルボードを俺が持って帰って来るように言われていたことを。
アルボードを見ていたら、俺はあることに気付いた。
トライムス少佐の顔を見つめた。
「あなたは最初から、レイターが教皇と交渉し永世中立を維持させると予測して、彼と俺を組ませたのですか?」
レイターが警備艇ラールゼットの爆破に向かっても良かったのだ。
だが、トライムス少佐はあえてレイターを神殿に向かわせた。
その結果、あいつは重力制御装置の管理権を盾に、アリオロン同盟の介入を防いで中立を維持させ、国民議会の設置をラール王室に認めさせた。
トライムス少佐は額の絆創膏を軽く押さえながら答えた。
「予測できたら怪我はしません」
そして、笑いながら続けた。
「ただ、あいつが私の指示を素直に聞かないことだけは確かです。まったく困ったものです」
その答えでわかった。
結果としてレイターが状況を打破する可能性に賭けていたことが。
* *
ふぅ。脇腹の傷口が熱い。ま、後はソラ系まで帰るだけだ。
レイターはフェニックス号へと戻った。
「はぁい、ティリーさん、やっとお家へ帰れるぜ」
変だ。
「ティリーさん?」
人の気配がない。
「フレッド!、ティリーさん?」
おいおい、あいつらどこ行った?
「おふくろさん。二人はどうした?」
「出ていきました」
「なにっ!? いつ? どこへ?」

「三時間前おそらく西ゲートへ、臨時避難便が出ると言う情報をフレッドさんが・・」
「西ゲートだと?」
オルダイの言葉を思い出す。臨時便の中で乗客を人質にとった立てこもりが起きてるって言ってたぞ。
「なんであんた止めなかったんだ」
「自由意志で外へ出る者は止められません。監禁罪にあたります」
「くそっつ!!」
机を拳で思いっきり叩いた。
傷口がズキンと痛む。 (53)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」