銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (53)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40) ⑤~(50)
・ 永世中立星の叛乱 (51) (52)
「何で、あいつら、俺を待てねぇんだ」
やべぇ、体中が熱い。ソファーに倒れこむ。
「・・・おふくろさん。痛み止めを頼む」

「出せません。けがの治療が先です」
「うるせぇ。つべこべ言わずに出せ!!」
「これ以上、体へ負担をかけるのは危険です」
「くそばばあが。・・・わかった。もういい」
俺はゆっくり立ち上がった。くっそぉ、足元がふらつく。
「どこへ行くのですか?」
「決まってるだろうが、西ゲートだ」
「駄目です」
「俺の自由意志だ」
*
西ゲートでは学生自警団が立ち入りを制限していた。
現場の様子をうかがうレイターの前に黒髪の男が姿を現した。
アーサーかよ、嫌な展開だ。
「何であんたがここにいるんだよ」
「マザーから連絡が入った。お前を止めて欲しいと」
「止めても無駄だぞ」
「今のお前なら止められる自信があるぞ、やってみるか」

そう言いながら、あいつはすっと構えた。
マジかよ。この状態であいつとやりあうのか。
俺は久しぶりに心が折れそうになった。
そんな俺の顔を見てアーサーは満足そうに笑った。
「冗談だ」
「あん?」
「マザーには悪いが、これを持ってきた」
アーサーが取り出したのは簡易注射器だった。痛み止めか。
「ったく、あんたにしちゃ気が利くじゃねぇか」
腕に痛み止めを打つ。即効性だ。脇腹の痛みが引いていく。
「私も一緒に行こう」
気持ち悪いな。こいつの親切はロクなことがない。
「これは俺のボディーガードとしての仕事だ。あんたにゃ関係ねぇ」
「わかっている。私もできるだけ介入したくないんだが・・・。私の船が西ゲートにあって出せないんだ」
「なにぃ?」
こいつの自分のためかよ。
「警察は何やってんだよ。あんなちんけな立てこもり特殊部隊なら五分でカタのつく話だろうが」
「特殊部隊がいないんだ。お前が神殿で倒しただろ」
「まじかよ」
言葉に詰まる。
「とりあえず逮捕令状は預かってきた」
連邦軍の特命諜報部員は逮捕権を持っている。けど、ここは永世中立星だぞ。こいつ俺よりめちゃくちゃだ。
「あんたとやるなら三分で終わりだな」
「そういうことだ」
* *
まるで手品かイリュージョンを見ているようだ、とティリーは驚いた。
どこから入ってきたのだろう。
ハイジャック犯の後ろに男性が二人立っていた。

レイターとアーサーさんだった。 (54)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」