銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (54)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40) ⑤~(50)
・ 永世中立星の叛乱 (51) (52) (53)
犯人が驚いて振り向く。
「な、なんだ、お前たちは?」
気がつくと、ナイフを持つ手をレイターがねじり上げていた。
「あんた、こんな美人さんにナイフを向けるたぁ、罪は重いぜ」
アーサーさんが男に手錠をかけた。
「ハイジャックの現行犯で逮捕する」
* *
ハイジャック犯の処理はアーサーに任せて、俺たちはとっととソラ系へ帰るぜ。
西ゲートのカウンターでティリーさんとフレッドのスーツケースを受け取り、三人でフェニックス号に向かって歩く。

「ティリーさん、怪我はねぇか?」
「ええ」
「これで怪我してたら俺の責任かよ。ったくボディーガード泣かせだぜ」
俺はフレッドの野郎をにらみつける。
「あんたも元気そうだな」
「ああ」
「船から出るな、って言っただろ。なんで俺が帰ってくるまで待てなかった?」
「き、君が職場放棄するからだ」
「職場放棄だとぉ。状況把握は俺の仕事だ」
半分本当で半分嘘だ。
「ごめんなさい」
ティリーさんが泣きそうな顔をしている。

「そんなに俺が信用できないか?」
「一人になるのが怖かったの。ごめんなさい・・・」
十六歳のお嬢さんにゃいろいろありすぎたな。
「さあ。今度こそおうちへ帰るぞ」
* *
「重力制御解除まであと五秒」
隣の操縦席でレイターが航行パネルを操作している。
飛び立つフェニックス号の中でティリーは感慨にふけっていた。
この四日間、なんていろんなことがあったのだろう。
「三、二、一、成層圏、重力圏ともに離脱」

巨大惑星のラールシータが遠ざかっていく。
『厄病神』がここまで力を持っているとは思わなかった。
契約がうまくいかなかっただけじゃない。
あんな武力衝突に巻き込まれて、よく無事にこの星を出ることができた。
初めての出張は考えさせられることばかりだった。
自分が生きてきた世界と違う世界。
テレビのニュースの話だと思っていた。でも、世界はつながっていた。
レイターのことも、おちゃらけたいい加減な人だと思っていたけれど・・・。
隣に座る厄病神を見る。
何だかレイターの様子がおかしい。操縦桿を握る手が震えている。
「レ、レイター?」
「慣性飛行ルートへ突入。以後、自動操縦へ切り換える。・・・おふくろさん、くそばばあは取り消す。後は、まかせた・・・限界だ」
それだけ言うとレイターはコントロールパネルの上に突っ伏して倒れた。
「レイター!」 (最終回へ続く)
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」