銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (最終回)
・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20) ③~(30) ④~(40) ⑤~(50)
・ 永世中立星の叛乱 (51) (52) (53) (54)
白い天井。ここは・・・医務室か。
レイターは目を覚ました。身体が重い。
「気が付いたのね。よかった」

ティリーさんがうれしそうに俺を見てる。なんて可愛い笑顔なんだ。
「俺、どのくらい寝てた?」
「丸二日よ」
結構寝たな。だが、まだ寝足りねぇ。
「何がかすり傷よ! 熱は引かないし、炎症起こして危険な状態だったんだからぁ! ばか! ばか!」
怒った顔もかわいいが、けが人の耳元であんまり騒ぐなよ。
俺は目を閉じてかすかに響くエンジン音に集中した。
快調だ。順調に進んでるな。

「レイター?」
心配そうな声がした。
俺は目をあけてティリーさんを見た。
「もう、無理しないで。わたしあなたのこと信じるから」
信じるから。
その一言で俺の身体は幸福感で満たされた。
「ああ」
俺はうなづくと、そのまままた眠りに落ちた。
* *
フェニックス号のリビングでわたしは本をフレッド先輩は新聞を読んでいた。
帰りはソラ系まで一週間かかる通常航路を通っている。
フレッド先輩は、あっという間に出張報告書を作成し提出した。
契約できなかったことが問題になるどころか、わたしたちに危険地域出張手当が出て、特別休暇ももらえることになった。
有能なビジネスマン恐るべし。
「みなさ~ん。明日の午後三時。あと二十四時間でソラ系へ到着ですよぉ」
すっかり元気になったレイターが入ってくる。
学生リーダーのマイヤさんの言葉を思いだした。

『非常時の行動で人間としての幅や器の大きさがわかるというものです』
レイターの顔を思わず見つめる。
「なんでぇ、ティリーさん。俺の顔に見とれてんのかい」
「ち、違うわよ。レイターって幅があるのかなって」
「失礼な、俺は太ってねぇぞ。鍛えてんだからな」
そういう意味じゃないんだけれど。
レイターが冷蔵庫を開けると大きな声を出した。
「あっ。俺のプリンどうした?! 最後の一個が無いっ!!!」
「知らないわよ」
確かにアーサーさんがお見舞いに持ってきてくれたプリンはおいしかったけれど、そんなに大騒ぎすることじゃないでしょうが。
「フレッド!! てめぇ、喰っただろう」
「い、いいじゃないか、プリンの一つや二つ」
デジタル新聞の向こうから頭を少しだけ出したフレッド先輩のおびえた声がする。
「仕事が終わったら食べようととっておいたんだよぉ。楽しみにしていた俺のプリンを・・・ 許さん!!」
レイターが殴りかかろうとする。
「ま、待て暴力反対」
フレッド先輩が立ち上がって逃げ回る。
「レイター、止めなさいよ!」
どこからどう見ても、レイターが器の大きい人間とは思えないわ。
ティリーは頭に手を当てた。
フレッドとレイターの足音が船内に響く。
フェニックス号には、政変をくぐり抜けたばかりとは思えない平和でのんびりとした時間が流れていた。 (おしまい)
第二話「緑の森の闇の向こうで」
もしくは 一年後のお話 第十六話「永世中立星の誕生祭」へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」