銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (14)
第一話のスタート版
永世中立星の叛乱(13)
さてと、このIDカード、ほんとに使えるんだろうな。
レイターはアーサーから渡されたカードを取り出した。アーサーの奴は昨日ここで、借りたIDカードのデータをこっそりコピーして大慌てでこのカードを作ったと。
アリオロンの検査場がある地下二十六階。
俺はエレベーターを降りてセキュリティゲートに近づく。センサーにカードをかざすとゲートが開いた。
十Gで潰されるのはごめんだぜ。慎重に一歩を踏み出す。
ふむ。行けるな。
ま、天才の仕事だからな。
あいつと組んだらどこでも泥棒に入れるぞ。
俺はボディーガード、警備のプロだ。不審者を見破る仕事。裏を返せばどうすりゃ不審に見えないか分かってる。
ネクタイを締め直す。

初めて入る場所だが、いつも来ているかのように振る舞う。
十G信仰だな。
ここで働いている奴らは識別重力制御を信じているから不審者は絶対入り込めねぇと思ってやがる。
警備員は立っているがこの検査場には毎日の様に視察がやって来るから知らない奴が歩いていても気にしていない。楽な仕事だ。
*
ほう、これがアリオロンの新型艦か。
面白い形してやがる。
やべ、人が来た。
アリオロンの奴には、ガーディア社の担当者の様に、ガーディア社の奴にはアリオロンの関係者と思わせる。
堂々と振る舞ってやり過ごす。
それにしてもこの実験場、フレッドが見たがっていた他社の新型船でも何でも見られるぞ。
俺は銀河一の操縦士、船を見てるだけで幸せだ。時間がいくらあっても足りねぇ。
で、こいつは何だよ。この新型艦は。
* *
ティリーは高重力検査についての説明を感心しながら聞いていた。 ラール人の祖先はよく宇宙一世紀も前にこんな重力制御装置を開発したものだ。
高重力の実験はソラ系でもできるけれど、これだけ大規模なものはない。自然の重力を利用したこの検査場は効率的だ。
ガロン技師長は今日はこの後、ドーム市内にあるガーディア社の本社に戻るという。
「ガロンさん、車でお送りしますよ。これから市内へ戻るので」

フレッド先輩が誘った。
「それは助かります。お言葉に甘えて同乗させてもらってよろしいですか」
ガロンさんが嬉しそうに笑顔を見せた。
フレッド先輩は親切で誘ったわけじゃない。ガロン技師長から来期の情報を引き出そうとしている。
ガロン技師長を連れて駐車場に戻るとレイターはエアカーの運転席のシー トを倒して寝転んでいた。
「ふああ、お帰り」
お客様がいるのに恥ずかしい。
後ろのシートにフレッド先輩とガロン技師長、わたしは助手席に座った。
エアカーがすぅーっと走り始める。銀河一の操縦士を名乗るレイターの運転は確かに上手い。
「どうですかねぇ、ガロンさん。さっきの話だけれど僕たちの来期の契約は」
フレッド先輩が話を切り出した。 (15)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」