銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (13)
・第一話のスタート版
・永世中立星の叛乱(12)
ガロン技師長に続いてエレベーターホールへと入る。
ずらりとエレベーターが並んでいた。
「皆さま御承知のように弊社の地下の検査場では広大な空間を利用した高重力実験が行われています」

エレベーターが動き始める。
「私どもは多くの政府や企業から実験や検査を請け負っており、フロアごとに分かれています。御社は地下四十二階になります」
「うちのライバルのギーラル社やイグート社の未発表新型船もこの検査場にあるということですね」
フレッド先輩が身を乗り出す。
「もちろんありますが、お客さまごとに検査場は独立しています。地下四十二階以外はご案内できません」
「それは残念」
先輩は本当に残念そうだ。
その様子を見てガロン技師長は真剣な顔で言った。
「このIDカードで制御しています。もう一度言っておきますが許可のないエリアに入ったら、十Gに潰されます」
脅しじゃない、本当に大変なことになるのだろう。
「我々ラール人は企業秘密を厳守します。独自の重力制御装置の技術が物理的にも経済的にもこの星を支えておりますので、中立と信用が絶対です」
「どこにも属さず永世中立か」

レイターがつぶやくように言った。
「そうです。そのかわり我々にはラール王室があります。教皇が重力制御装置を管理しこの星の運営全てを行うことで、銀河連邦にもアリオロン同盟にも属さなくても我々の星は成り立っています。ラールの御心のままに」
地下四十二階にエレベーターが到着した。
セキュリティーゲートを抜けて、白衣を着た四、五人の研究員が作業する検査室へ案内される。
大きな窓の向こうに新型の高級船が置かれていた。その横をロボットアームが動き回っている。
研究員の一人がフレッドに説明をはじめた。
「もう最終チェック段階です」
「来期の予約はどうしてできないんですか?」
フレッド先輩は隙をついて理由を調べようとしている。答えにつまる研究員の代わりにガロン技師長が答えた。
「先ほどアドゥールが申し上げた通り、その件については何もお話しできません」
話の途中にレイターが割り込んだ。
「なあ、技師長さん。俺、エアカーに戻りたいんだけどさあ」
ガロン技師長が困った顔をした。
「ここ女っ気ねぇし」
し、失礼な。

「今、案内できる者がいないのですが、お一人で戻れますか?」
「エレベーター上るだけじゃん」
ガロン技師長がわたしたちの方を見て尋ねた。
「戻ってもらってよろしいのですか?」
わたしもフレッド先輩もレイターがいなくても困らない。それどころか厄病神はいない方がいいと思っているからレイターを止めようともしない。
「では、必ず一階で降りてくださいよ。他の階で降りてもゲートは開きませんが、誤って入ると十Gにつぶされますから。気をつけて下さいね」
「あいよ」
レイターはエレベーターに乗って駐車場へと戻って行った。 (14)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」