銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (8)
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フレッド先輩と別れてレイターと空港へ戻るとフェニックス号の入り口に若い男性の人影があった。
レイターと同じくらい背が高い。
モデルの様に立ち姿が格好よくて目が吸いつけられる。長い黒髪を後ろで束ねていた。

整った美しい顔立ちの男性だ。どこかで会ったことがある様な気がする。
その人を見た瞬間にレイターの機嫌が悪くなった。
「あんた何しに来たんだよ」
「父上から、届け物を預かってきた」
低い落ち着いた声の人だった。
「ちっ、家賃の取り立てかよ。俺の部屋で話を聞くぜ。ったくよぉ。せっかくいい気分でデートしてきたのに。なぁティリーさん」
わたしはあわてて否定した。
「デートじゃありません。仕事です」
* *
レイターの部屋は全く変わっていないな。アーサーは部屋に入るなり、ため息をついた。
どうしたらこんなに汚せるのか。自分には全く理解ができない。
とりあえず、ソファーの上にある雑誌やらディスクやらをどけて座る場所を発掘する。
レイターは昔と変わらずベッドに腰かけた。ベッドの上も散らかっている。
「あんたがわざわざこの船に来るとは、大変なことが起こってるって感じだな。アーサー・トライムス少佐殿」

わざと敬称を付けておちゃらけている。
「今、この星の回線はすべて盗聴されている。直接会って話すのが一番安全だ」
「何か変だと思ってたぜ。三日で辺境まで飛べとは。あんたの差し金かよ」
レイターが気づいていたのなら話は速い。本題から話そう。
「永世中立が崩れる可能性がある」
「へ~ぇ。永世中立星じゃなくなっちゃうんだ。教科書、書き変えだ」
軽い返事だが、ことの大きさは理解したな。
「アリオロンの工作員がラール王室と接触している。銀河連邦としてはラールシータがアリオロン同盟に加盟されては困ると考えている」
「で、連邦軍の特命諜報部がおでましってわけかい」
私はうなづいた。
「アリオロン軍からは工作員の彼が来ている」
私はレイターに携帯通信機に入っている写真を見せた。
「げげ、ライロットのじいさんじゃねぇか」
写真にかろうじて写っている男、ライロット・エルカービレ中佐。

とにかく腕の立つ男だ。レイターが反応したのには訳がある。
「俺を囮にして『暗殺協定』を発動させようってことかよ」
「そうだ」
連邦軍の特命諜報部に所属するレイターとアリオロン軍の工作員であるライロットの間には『暗殺協定』が結ばれている。
二人にはお互いの殺害命令が出ており、どちらがどちらを殺害しても罪に問われない。
「笑えるな。さっきアリオロン料理を食ったばかりだぜ」
笑える話ではないがレイターは笑っていた。腹をくくったのだろう。
ライロットが動けば、敵の監視がたやすくなる。
「わかっていると思うが、暗殺協定は民間人を巻き込まない約束になっている。人通りの少ないところでは気をつけることだ」
「へいへい」
「ここ数年、この星ラールシータは政情不安だ」
「独裁がうまくいってた珍しい星だったのにな」
「学生を中心に国民議会の開催を求めてラール王室に対するデモが起きている」
「へぇ、神さまに楯突いてんだ」
「そこにアリオロンがつけ入っている」 (9)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」