銀河フェニックス物語<出会い編> 第十九話(2) 恋と伝票の行方
・第一話のスタート版
・第十九話(1)
ジュディ先輩は、レイターにおつきあいを申し込むつもりだ。
レイターはどうするのだろう。
ジュディ先輩とレイター。
似合わない気がする。
でも、レイターは、ナンパした女性と一夜限りのおつきあいをしている。
そのノリでジュディ先輩とも、つきあってしまうのだろうか。
いや、レイターには『愛しの君』がいる。
しかも、特定の女性とはつきあわない主義だ。

けど、もし、ジュディ先輩が『愛しの君』だったら・・・。
自分の思いつきに一瞬、息が止まった。
そんなことあるはずがない。いや、わからない。
わたしとは関係ない。全く関係ない。全然関係ない。
ジュディ先輩とレイターがつきあえば、もう「俺のティリーさん」と、からかわれることもないのだ。
うまくいくことを願ったほうがいい。
なのに、何だろうこの気持ち悪さは。
とにかく、明日の出張がレイターの船でなくてよかった。
*
翌日、豪快なダルダ先輩と、一年ぶりにパキ星へと向かった。
現地工場を拡張する工事がスタートするのだ。
去年、厄病神のレイターの船でパキ星を訪れたわたしたちは、工場の拡張に反対する、環境保護テロ組織に命を狙われ、宿泊ホテルが砲撃されるという大変な目にあった。
その後、環境テロ組織は摘発され、一年を経て、現地工場の隣接地に第二工場を建設することが正式決定した。
工場予定地に自生していた、きのこのパキールの植え替えがうまくいったのだ。
ダルダさんがわたしに聞いた。
「ティリー君は、この件でレイターからおごってもらったかい?」

「いえ」
去年、レイターには命を助けられた。おごることはあっても、おごられる理由は無い。
「そうか。あいつもティリー君におごるぐらいしてもいいのに。マネーは時にロマンだ。ガハハハ」
意味が分からない。
今回、第二工場着工の鍬入れ式に、ダルダさんが本社代表として出席する。
わたしはそのアシスタント、主に記録係だ。
厄病神の船じゃ無いから、きっと仕事はうまくいく。
*

新興星系というのは、一年で街の姿が変わる。
去年より高層ビルが増えて、空が狭くなった気がする。
砲撃を受けたレイモンダリアホテルも、きれいに再建していた。
現地工場の隣にあった暗い森が、第二工場の建設予定地だ。
そこも、去年とはガラリと様子が変わり、整地されて鍬入れ式の会場となっていた。
わたしとダルダさんが会場に到着すると、パキ星人の工場長が出迎えた。
わたしの苦手な狐男。
切れ長の目が、冷たくわたしを見つめる。
突如、その顔が笑顔になった。ぎこちない営業スマイル。
「皆様、お待ちしておりました。えっと、レイター・フェニックス様は・・・」
レイター・フェニックス様? 様づけってどういうことだろう。

ダルダさんが答えた。
「あいつはいないよ。もう取引は終わったから、来ることもないだろうとさ」
「そうでしたか。いろいろとご相談に乗っていただき、ありがとうございました」
「気にすることはないさ。あいつは今回、大儲けしたはずだからな。ガハハハハ」
大儲け? 二人の会話がよく見えない。 (3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」