見出し画像

【DTM】ミックスのゲインステージングは「耳」?「メーター」?(音量バランスの調整方法)

ゲインステージングとは、各トラックの音量を調整して全体のバランスを整える作業です。
この際、「自分の耳」で判断するのか、「DAWのメーター」で判断するのか、という2種類の方法が考えられます。

それぞれにメリットとデメリットがありますので、その点について触れておきたいと思います。


【「耳」を頼りにゲインステージングする方法】


メリット

この方法の最大のメリットは、リスナーの聴覚に寄り添った自然なバランスを作りやすい点です。
音楽は最終的に耳で聴かれるものですから、聴き手が不自然に感じないよう仕上げることが重要です。
耳を頼りにすることで、数値だけでは判断しづらい微妙なニュアンスなども考慮することができます。


デメリット

人間の耳は環境や体調に大きく左右されるため、不安定な要素が多いというデメリットがあります。

  • 体調や時間帯による影響: 朝と夜、体調が良い時と寝不足の時とでは、音の聴こえ方が変わります。昨日「完璧だ」と思ったバランスも、次の日には「何かが違う」と感じてしまうことがあり得ます。

  • 再生環境による影響: スピーカーやヘッドホンによっても、音量バランスの聴こえ方は大きく変わります。例えば、「低域が強調されるヘッドホン」でバランスをとった音源を「低域が控えめなスピーカー」で再生すると低音が物足りなく聴こえるといった現象が起こります。常に同じスピーカーやヘッドホンを使っている人であれば良いのですが、集合住宅に住んでいてスピーカーとヘッドホンの両方で作業をしているような場合には、音量バランスを画一的に判断することが難しいこともあるかも知れません。



【「メーター」を頼りにゲインステージングする方法】

メーターを頼りにする方法はいくつかありますが、代表的なものとして「各トラックのピーク値を一定の値に揃える」というものがあります。
DAWのマスタートラックに表示されるピークメーターを見ながら、各トラックの音量を調整し、特定の数値に合わせるという手法です。

どの数値に合わせるかは楽曲のジャンル、構成、目指すべき方向性などによって異なりますが、例えば以下のような数値を目安として調整をするという方法があります。

キック -5dB
スネア -5dB
タム -5dB
ハイハット -20dB
オーバーヘッド (シンバル) -20dB
ルーム -30dB
ベース -10dB
ボーカル -10dB
バックボーカル -15dB
バッキングギター -20dB
ギターソロ -10dB~-15dB
キーボード -20dB


メリット

この方法の最大のメリットは、体調や再生環境に左右されず客観的かつ一貫したバランス調整ができる点です。
プロのエンジニアの中にも、主にメーターを基準に音量バランスを整える人は存在します。


デメリット

メーターを頼りにする方法には以下のようなデメリットがあります。

  • メーター上の数値と聴こえ方が異なる: メーターで同じピーク値を示していても、音の周波数成分や倍音の量によって耳で聴く音量が違って感じられることがあります。例えば、同じピーク値のキックでも、低域成分が多ければ大きく聴こえ、少なければ小さく聴こえる、といった現象が起こります。

  • 豊富な経験が必要: メーターを基準にバランス調整を成功させるには、「この音ならこのくらいの数値が適正だ」という経験則が不可欠です。プロのエンジニアがメーターを活用できるのは、膨大なミックス作業で培われた経験があるからです。初心者がメーターだけでバランスを調整するのは難しいこともあります。



【プラグインを頼りにゲインステージングする方法】

最近では、自動で音量調整をしてくれるプラグインも登場しています。

例えばiZotope社の「Neutron」 のアシスタント機能は、その一つです。

  1. 各トラックに「Relay」というプラグインをインサートします。

  2. マスタートラックに「Neutron」をインサートします。

  3. 「Mix Assistant」から「BALANCE」機能をクリックすると、各トラックの音量を自動で調整してくれます。

この機能は「自分の耳や、フェーダーの操作に自信がない」という人にとっては便利な機能かも知れません。


メリット

  • 初心者でもバランス調整ができる ミックスの経験が浅い方でも、ある程度客観的な基準でバランスを整えることができます。

  • 高品質なプラグインをまとめて入手できる 「Neutron」のようなプラグインは、自動調整機能だけでなく、高性能なEQやコンプレッサー、サチュレーターなどをバンドルしていることが多いです。アシスタント機能で基礎を学びつつ、慣れてきたら個別のプラグインを自分で調整する、というステップアップが可能です。


デメリット

  • 手間がかかる場合がある 各トラックにプラグインをインサートする作業自体が面倒に感じられることがあります。また、プラグインをインサートすることで、DAWのフェーダーの位置が音量と直接結びつかなくなり、直感的な操作が難しくなる場合があります。

  • バスルーティングとの相性 複数のパートをまとめたバストラックにコンプレッサーなどのエフェクトをかけている場合、各トラックにプラグインをインサートすると、コンプレッサーの挙動が変わってしまうことがあります。逆にバストラックに挿すと、バストラック内のパートごとの音量調整はできません。

  • 最終的な調整は必須 プラグインによる自動調整は、あくまでミックスの土台を作るためのものです。より楽曲の意図に沿った仕上がりにするためには、最終的に自分の耳で微調整を行う必要があります。

慣れてくると「自分の耳で音量バランスを調整したほうが効率的だ」と感じる人も多いと思われます。




いいなと思ったら応援しよう!