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母の日の贈り物

『なるほど~、こういう展開になるのかぁ』

と、

やけに感心してしまう事がある。

そんな出来事に出会うと、

まるで、
パズルの最後のピース

ぴったりと
ハマった様な爽快な気分だ。

特に

今年の母の日に起こった出来事は、
ひとしおな思いも重なったのである。



5月11日 
母の日
の朝、

寝室からリビングへ降りてみると、
高校一年生の息子が、
何やら台所の片づけをしている。

いつもの日曜日なら
彼は未だ寝ている筈の時間だ。

どうしたのかと聞いてみると

冷蔵庫から
かわいらしいショートケーキを取り出す。

初仕事とは思えない出来のケーキ

若干15歳の息子が、
朝5時に起きて
初のケーキ作りに挑んだのだという。

それは息子からの、
母の日のプレゼントだった。

自分の分も含めて3個
家族全員の分が揃っている。

母親が起きて来るまでに
密かに完成する事が出来た事への
安堵の笑み
口元からこぼれている。

中学卒業時に息子が学校で書いた抱負

母親にとっては
思いがけない母の日のサプライズ。

そして、

初めての作品とは思えない
ケーキの出来栄え大喜び

息子にとっては、
見事に抱負通りに
作戦成功となったのである。

と、

ここまでの話であれば、

『親孝行な優しい息子のお話』

という感じの美談である。

母の日のネタ話としては充分。

でも、

最後のピースがハマるのは
この後の展開での事だった。



早速、
朝食を終えた我が家は、
息子作ケーキの試食会
行う事となった。

その美味しさを、
味わおうとした瞬間、

息子が
思い出した様に言った。

息子) 『そういえば、クラスメートの誕生日が近いから
僕の分のケーキは、おすそ分けにしようかな。』

そのクラスメートとは、

先日高校に入学して知り合ったばかりだったのだが、
席が近かったことで
仲良くなった相手だった。

『それは良いアイディアだ』

ということで、
小さな箱に保冷剤と共にケーキを詰めて、
そのクラスメートが住む学生寮へと
配達する事になった。

学生寮までは結構遠く、
車でも1時間程の距離だ。

道中の車の中では、
ケーキの入った小箱が
ひっくり返らない様に
息子は
しっかりと手で抱えて大切に運んだ。

その後、
慎重に運ばれた
息子特製ケーキ
は、
学生寮の前で待っていたクラスメートへと
無事に配達された
のだった。

そして、その晩、
クラスメートのSNSには、
息子からもらった
ケーキの写真が投稿された。

見ると、

『嬉しくて涙が出そう

泣いても良いですか?』

『僕の大親友、ありがとう』

と言葉が添えられている。

その投稿を見た母親が気が付いた様に言う。

『あ~、これも私へのプレゼントだぁ



約2年前、
中学二年生でアメリカから本帰国した
息子は、
結局、友達が出来ないまま
中学生生活を終えた。

既に人間関係が出来上がっているクラスの中に、
日本語がおぼつかない帰国子女の息子
入り込むのは難しかったのだ。

コロナも追い打ちを掛けた。

そもそも
帰国子女を受け入れた経験が無い田舎の学校では、
息子をどう扱ったら良いのかが分からない様子だった。

時折掛かってくる担任からの電話では、

「社会の先生と口論になって、
先生の目の前で教科書をゴミ箱へ投げ捨てました」

「精神不安になっている様なので、
精神科で薬を処方してもらったら如何でしょうか?」

そんなネガティブな報告ばかりだった。

結局は学校を休みがちになってしまった。

でも、

「高校に進学したら、知らない者同士が入学してくるから、
きっと友達が出来るかも」

と自分に言い聞かせ、
一旦は気持ちを切り替えて、
受験勉強に集中することにしたのである。

しかしながら、

どこか寂しそうに中学校へ登校する息子の姿を、
母親は
不憫な思いで眺めていた。

母親は息子を助けられない親としてのふがいなさに、
心が沈む日々を送ったのである。

そして、この春、
無事に高校に入学して
母の日を迎えた今日。

『僕の大親友、ありがとう』

息子の事を

『大親友』と呼んでくれたクラスメートの言葉は、
母親の胸のつかえを取り除く様な台詞だった。

実際のところ、
本当の大親友になるかどうかは分からないし、
単にケーキを貰った社交辞令の御礼として
言ってくれただけの台詞なのかもしれない。

でも、

今の母親にとっては
この上も無く絶妙なタイミングでの
プレゼントになったのだ。

息子が

母の日の早朝から決行した大作戦は、
単に母親へケーキを贈くるという
物理的な話で終わるのでは無く、
母の胸のつかえを取り除いてくれるという
思いもよらない
精神的なプレゼントとなった

ひょっとすると、
母へのケーキは、
最初からそれが目的で
作られたのかもしれない。

もちろん、
息子は無意識である。

やっぱり
世の中の出来事は、
関係する人達の想いが
巧妙に作用し合って
起こっている

まるで、

360度に張り巡らされた蜘蛛の巣の様
緻密に相互に作用し合って
因果関係を織りなしているようだ。

その巧妙な美しさに
気が付けた瞬間こそが醍醐味。

まるで

パズルの最後のピースがハマったような
喜びを感じてしまう。

そんなことを学んだ
息子からの
贈り物だった。


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北海道の武父さん チップに見合った内容だったことを祈るばかりです。 次稿も頑張ります。