夢枕 獏が「熱愛する漫画」を語る『ガキのころから漫画まんがマンガ』(1987年)
小説家の夢枕 獏(ゆめまくら・ばく|1951-)氏が、批評ではなく大好きな漫画について語り明かした『ガキのころから漫画まんがマンガ』(1987年/講談社)。私はこの方の小説は1冊も読んでいません。友人3人(男2/女1)と共に夢枕氏が漫画作品について語った「座談」集。『孔雀王』が有名な漫画家の荻野 真(1959-2019)氏は、『孔雀王』第1巻の「あとがき」で、強く影響を受けた作家として夢枕氏への謝辞を書いていたと思います。第二章「やはりどうしても結局手塚治虫なのだった」では『火の鳥』や『きりひと讃歌』
『シュマリ』、短篇集『空気の底』、短篇「安達が原」などについて語っている。夢枕氏の一番は『火の鳥』で、中でも「鳳凰編」が最も好きらしい。
自身が編者を務めたアンソロジー『夢枕 獏少女マンガ館』(1992年)の解説には、1976年(昭和51年)から1982年(昭和57年)頃まで、少年マンガ、青年劇画と同じくらいに狂ったように少女マンガを読みふけった時期があった事などが書いてある。奇しくも、その時期は「80年安保」とも符合していますね。
『ガキのころから~』の目次。「※」は引用者(=私)による作者名の加筆。
まえがき
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プロローグを始めてみるか
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第一章 ガキのころから漫画まんがマンガ
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● へんとうせんをはらすと「サンデー」「マガジン」が読めたのだった
●「少年」「漫画王」の付録の量を見よ
●『七色仮面』を知っておるか ※川内康範+一峰大二
●「漫画王」「まんが王」「小学生画報」
● 城山大作の大噴火投げでごわす ※梶原一騎+永島慎二『柔道一直線』
●『矢車剣之助』と『赤胴鈴之助』、乱れ矢車と真空斬り
● マンガ本を捨てられた晩は蒲団の中で泣いたなあ
● 池田憲章少年にマンガをゆずってしまったよ
● これが魔球の元祖『くりくり投手』のドロッカーブだ!! ※貝塚ひろし
● かくして魔球戦争に突入していったのだった
● テレビではやった『サインはV』よ ※神保史郎+望月あきら
● 怖い絵の夢をマンガで見なおしてしまったぞ
● 怖かったよ、初期の少女マンガは
●『ストップ! にいちゃん』がおもしろかったな ※関谷ひさし
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第二章 やはりどうしても結局手塚治虫なのだった
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● メジャーなマンガ家はいないのだろうか ※『ぱふ』の手塚インタビュー
● 文芸書として扱われる『アドルフに告ぐ』 ※この章は全て手塚作品
● いつも最先端にいるのは手塚治虫
● キャラクターがしっかりしてるのだ
● 流されないマンガ家のすごさ
● 色っぽかった三蔵法師のお尻
●『どろろ』は影響を受けたなあ
●『シュマリ』にはるばるとした男の夢を見たねえ
●「ブッダ」は連載中から読んでいたのだった
● なんて怖い話なんだろう「バイパスの夜」
● おどろおどろの様式美「安達ヶ原」
● 医学ものの傑作『きりひと讃歌』
●『火の鳥』は何度も何度も読み返したのだよ
● 完結までぜひ続けてほしい『火の鳥』
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第三章 白土三平の「カムイ」と横山光輝の「影丸」
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●『火の鳥』と対極的な『カムイ伝』 ※白土三平『カムイ伝』
●『カムイ伝』は「ガロ」、『カムイ外伝』は「少年サンデー」
● いろいろムツカシイことを言ったやつもいた『カムイ伝』
● 決闘シーンはリアルだったねえ
● 伝説の人、白土三平
● 異様なシーンの連続だった『サバンナ』 ※白土「神話伝説シリーズ」
● キャラクターが魅力的な『伊賀の影丸』 ※横山光輝
● 白土三平とは違う横山光輝の忍者もの
● 影丸のあとから『仮面の忍者赤影』参上 ※横山光輝
● 分身の術――本物は影で見分けるべし
● ネーミングがすごかった『鉄人28号』 ※横山光輝
● 映画化してほしいのだよ『ワイルド7』 ※望月 三起也
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第四章 永井豪のハレンチと石ノ森章太郎の詩
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● 筋肉はゴリラ、牙は狼『バイオレンス・ジャック』 ※永井 豪
● 残酷マンガとハレンチマンガはパワフルだぜえ
● マカロニ先生好き! ※永井 豪『ハレンチ学園』
●『デビルマン』はすげえ話だぜ ※永井 豪
● 不運だった永井豪
● 石ノ森章太郎で好きな『おかしなおかしなおかしなあの子』
● いくつもある作品群を追って『幻魔大戦』 ※平井和正+石森章太郎
● 幻魔のイメージも変化するのだった
● 小説とマンガとは分けて考えているのです
● マンガ家に影響を与えた『ジュン』 ※石森章太郎
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第五章 格闘技編、男はみんな強くなりたい
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● 何度読んでも感動するぞ『あしたのジョー』 ※梶原一騎+ちばてつや
● 原作とマンガがうまく調和した傑作
● 好漢西の鼻からうどんが出たのだった
●「あんたにもらってほしいんだ」ジョーの愛の告白は血染めのグローブだ
った
● ただ、ただ『ジョー』の続きが読みたくてねえ
● リアルだったクロスカウンター
● 梶原一騎の知られざる傑作『斬殺者』 ※梶原一騎+小島剛夕
● 大山倍達伝記『空手バカ一代』にときめいた ※梶原+つのだ&影丸譲也
●「わたしは強いよ」と大東徹源は静かに言った
● 格闘技ファン必読の『空手三国志』 ※古山 寛+峰岸とおる
● ンナロー『柔俠伝(※柔侠伝)』はいいぞ ※バロン吉元
● ジョーとは違うボクシングマンガ『がんばれ元気』 ※小山ゆう
● ヒンズースクワットをしながら読め『1・2の三四郎』 ※小林まこと
● 筋肉がきちんと描けている『拳神』 ※小池一夫+松森 正
●『ナックル・ウォーズ』を再開しなさい ※狩撫麻礼+谷口ジロー
●「おれは奴ほどにミステリアスでセクシーだったか?」とチャンピオンは
言った ※狩撫麻礼+谷口ジロー『青の戦士』
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第六章 洒落たおもしろマンガ
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● 深町丈太郎を愛す『新 事件屋稼業』 ※関川夏央+谷口ジロー
● いやらしくて品のある『秘薬淫薬』 ※村野守美(♂)
● 誰もがみんな五代くんだった ※高橋留美子『めぞん一刻』
● 気持ち悪くておもしろい『喜劇新思想大系』 ※山上たつひこ
● 今はいったい何を怖がっているんだ『ジロがゆく』 ※真崎 守
●「おねえちゃん、あちきとあそばない」『浮浪雲』 ※ジョージ秋山
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第七章 不思議な魅力、少女マンガ
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● 葉脈の線に感動『秋のおわりのピアニシモ』 ※内田善美
● かっわいいんだよおお『ふたりの童話』 ※岩館真理子
● 日常を描写しながらしんと美しいメルヘンを『空の色ににている』 ※内田
● アイビーマンガと呼ばれた『たそがれ時に見つけたの』 ※陸奥A子
● 好きなんだよなあ『菜の花畑のむこうとこちら』 ※樹村みのり
● メッセージが伝わってくる樹村みのり
● 足の長くない少女マンガ『チリリンふたりのり』 ※赤座ひではる
● 結婚している人はよくわかる『おかめはちもく』 ※ささや ななえ
● 新緑よ……。『草冠の姫』 ※大島弓子
●『いちご物語』にわしは泣いてしまったよ ※〃
● 大好きなゴミドリくん『一万十秒物語』 ※倉多江美
● 寒くなるほどすごいシーンがある『日出処の天子』 ※山岸凉子
● なんと怖い話を描くのですか『メデュウサ』 ※〃
● これはなかなかよろしいぞ『河よりも長くゆるやかに』 ※吉田秋生
● 小説家として刺激された『ポーの一族』 ※萩尾望都
● ぼくはこれで少女マンガにのめりこ込んだ
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第八章 おもしろマンガあれこれ
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● 不気味を線に説得力『妖怪ハンター』 ※諸星大二郎
● 先にやられてしまってわしはくやしい『孔子暗黒伝』と『暗黒神話』 ※〃
● 僚平くん元気ですか『僚平新事情』 ※六田 登
● シンプルだからこそいいのだ『夜と薔薇』 ※森 雅之
● 何故かおもしろいのだよ『秋竜山のロビンソンクルーソー』
●『まねして悪いかっ』悪くないっ! ※伊達めがね&DATE企画
●『ネ暗トピア』は灯りを消して読め ※いがらしみきお
● わしもこれくらいイヤラシく生きてみたかった『怪人アッカーマン』
※新田たつお
● とんでもないキャラクターだよ『ビッグ・マグナム黒岩先生』 ※〃
● SF心を刺激された『2001夜物語』 ※星野之宣
● いい話だねえ『寄席芸人伝』 ※古谷三敏
● いい夢を見させてもらったよ『ヒッパルコスの海』 ※西岸良平
● わしもめんこや月光仮面が好きだった『夕焼けの詩』 ※〃
● 動物と会話のできる少年の話『ケンとすてきな仲間』 ※関谷ひさし
● 腕力でマンガの流れを変えた『童夢』 ※大友克洋
● 永遠に空想少年、藤子不二雄『ドラえもん』 ※藤子・F・不二雄
● 大人向けの短編『やすらぎの館』 ※〃
● 誰もが浜崎くんになりたい『釣りバカ日誌』 ※作画:北見けんいち
● ちょっとムラサキを取っておくんなせえ『料理人』 ※昴すまる+小島剛夕
● ベッドで喘いだことのない男『ゴルゴ13』 ※さいとう・たかを
● 楽しいぞォ『忍術使いがやってくる』 ※岩本久則
● 不気味な仙人の世界『青春の尻尾』 ※小池一夫+平野 仁
● きちんと山が描けてる『岳人列伝』 ※村上もとか
● どこまでもマンガにこだわってるぞ『赤塚不二夫一〇〇〇ページ』
あとがき――梶原一騎の死を惜しみつつ――
私が「夢枕獏」という名前を初めて目にしたのは、多分荒木飛呂彦『バオー来訪者』単行本(ジャンプコミックス/全2巻)の「解説」での絶賛評だった。


SFアドベンチャー漫画『コブラ』で知られる寺沢武一氏の荒木飛呂彦評。

◆短編漫画集『夢枕 獏少女マンガ館』(1992年/文春文庫ビジュアル版)表紙

収録作品(10作品)

◆『ガキのころから漫画まんがマンガ』(1987年/講談社)の「帯付き」書影


↑の巻末に村上春樹+川本三郎『映画をめぐる冒険』(絶版)の自社広告掲載。
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