見出し画像

【海外カリキュラム研究 003】AI時代だからこその——「なぜ生きる?」「どう生きる?」人格と倫理観を育てる、イギリスの画期的な科目 \\イギリスで国定化を議論中//【必修科目「比較宗教教育」RE(Religous Education】



本日6月12日、noteスタートから一周年
フォローしてくださった皆様、いいね!くださった皆様
記事を読んでくださっているすべての皆様、
ありがとうございます💗

前回までに、イギリスで昨年からスタートした、
たいへん新しく、またいま現在の子どもたちに必須の科目としての

【メンタルウェルビーイング分野】のカリキュラムの概要をご紹介しました。
記事はこちらから

PSHEは、日本でいう、道徳・保健体育・家庭科などを総合したようなかなり幅の広い分野をあつかう科目です。
わたしはこの中でも、メンタルウェルビーイングの分野に着目しています。

イギリスの新科目、PSHEの紹介はこちら


この【メンタルウェルビーイング分野】のカリキュラムを土台にして、
今後、変化のはげしい現代社会で
子どもたちにとってより必要となってくるだろうとここ数年感じている分野を今回は概要としてレポートします。

それが RE (Religous Education) =(比較・宗教教育)です。

「宗教教育」と聞くと、特定の宗教についてそれぞれ学んでいく授業をイメージするかもしれませんが、それだけではなく、
さまざまな宗教を学び、さまざまな相違点から
「人はどう生きるべきか」を子どもたちが自分自身で考える力を育てる科目
です。このため、日本語訳では今回、「比較」を挿入しました。

AIが急速に社会を変えつつある今、この科目の意味はますます大きくなっていると感じています。



REとは何か——「なぜ生きる」「どう生きる」の問いを探求

イギリスのRE(宗教教育)は、

「人生の意味と目的とは何か」
「神とは何か」
「善悪とは何か」
「人間であるとはどういうことか」

といった深い問いを子どもたちに投げかける科目です。

子どもたちはさまざまな宗教を学びながら
これらの問いに対する答えを探求していきます。

そして、さらには多様な宗教や価値観をもつ社会の中で、他者と対話し、ともに生きていく力を育てることも目的にしています。

娘はマレーシアのイギリス系の小学校で2年間、この科目を学びました。
このときの体験が、このレポートに直接につながっているわけですが、

低学年のうちは、お祝いなどの宗教行事を、みんなで体験・楽しむようなところから始めているようでした。
こちらは、ヒンズー教の正月にあたる「ディワリ」「ディパバリ」のお祝いをする日の様子です。


イギリス全土で必修--その背景

もともとイギリスでは
「人はなぜ生きるのか」
「どう生きるべきか」
といった倫理観や人生の指針を学ぶ場は、
キリスト教の教会が担ってきました。

しかし、時代とともに教会に通う人の割合は大きく減少し、その役割を学校教育が引き受けるようになっていきました。

REはそうした社会的な背景のもとで、公教育の中に位置づけられてきた科目で
現在は、すべての公立学校に在籍する生徒に法律で義務づけられた必修科目です。

ただし、地域ごとでそれぞれ少しずつ異なる名称と内容で実施されています。これらは、もともとの国教であるキリスト教をどう扱うか、で主に対応をわけています。

現在、これらを統一した内容で「国定化」するかが議論されています。

イングランド・北アイルランド:「Religious Education(RE)」として実施。キリスト教を中心としながら、イスラム教・ヒンドゥー教・仏教・ユダヤ教・シク教など、イギリスで信仰されている主要な宗教を幅広く学びます。
ウェールズ:2022年から「Religion, Values and Ethics(RVE=宗教・価値観・倫理)」に刷新。宗教だけでなく、非宗教的な世界観も含め、より幅広い視点をカバーすることを目指しています。また2023年からは保護者による授業免除の権利が段階的に廃止されており、それだけ「すべての子どもが学ぶべき科目」として位置づけが強まっています。
スコットランド:「Religious and Moral Education(RME=宗教・道徳教育)」として実施。キリスト教・他の世界宗教・そして哲学的・道徳的教育を含む「個人の探求」という3つの柱で構成されています。


なぜ今、この科目が重要なのか——AI時代の「生きる指針」を求めて

AI時代。情報はあふれ、価値観は多様化し、「何を指針に」「どう生きるか」の答えはますます見えにくくなっているのではないでしょうか。


最新のプログラムでは
「Religion and Worldviews(宗教と世界観)」という

「世界観」を探るアプローチが取り入れられました。

これは、宗教だけではなく
「人間が世界をどのように意味づけてきたか」という文化的・哲学的な営みとして理解する立場も、広く導入したということかと思います。

宗教的な世界観も、非宗教的な世界観(無神論・人文主義など)も、等しく学びの対象として扱う方向で、

宗教の中にも、非宗教的な世界観のなかにも

「なぜ生きる」「どう生きる」

という問いに対して、人々が「さまざまな問いとこたえを見出してきた」ことを出発点として、では自分はどう考えるか?と、自分自身の考えを深めていく、そこが最新の流れかと思います。


日本にとってのヒントは?


日本でも、
宗教に関する知識を一般教養の一環として扱い、
社会における宗教の役割や歴史的な意義を教えることは、法的に認められています。

つまり、比較・教養としての宗教理解は公教育の中でも可能な枠組みになっています。
イギリスの先進的な取り組みは、今後の日本の教育でも、大きな参考になるかと思っています。

また、感情教育と宗教教育——一見すると別々のテーマに見えますが、目指すところは同じ設定です。

「自分を知り、理解し」最終的には「どのようによりよく生きるか」を探求する。

そのためのカリキュラムです。

👆イギリス  宗教教育分野<NATRE>の公式サイト:

今回は、文字がたいへん多くなってしまいました。

長文お読みいただき、ありがとうございます。

これまでの記事は「感情教育」「メンタル・ウェルビーイング」をテーマにこちらにまとめています。

自己紹介・私の想いはこちらから

宗教教育につながるアクティビティブックも
自社オンラインショップで販売中。
こちらのテーマである、Eid(イード)とは、イスラム教の断食(ラマダン)明けの祝祭のことです。

来週からマレーシアに取材にいってきます!

マレーシア訪問は2年ぶり。
教育関連の新しい動きをキャッチして、
こちらでお届けできたらと思っております。

次回は
6月19日(金)
【企業分析002】<マレーシア・フォトレポート>10代~Z世代に人気⭐Typoストアの📚ジャーナル&カードシリーズ📚 

をお届けします!


いいなと思ったら応援しよう!