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迎え火

草木の焼ける匂いがする。
その匂いで、お盆の季節が近いことを思い出した。

そういえば、東京でのお盆の風習を体験したことがない。
お盆の飾りだけなのだろうか。

実家のある地方では、お盆は8月中旬だ。
そこではお盆に入るときに迎え火が行われる。
文字通り、玄関先で火を焚いてご先祖様を迎え入れる風習だ。

ご近所さんに声かけをして、3~4軒が集まり、みんなで迎え火をする。大抵集まるのはお爺お婆が多く、「暑いねぇ」「元気か」と声をかけられる。
小さいころから知った顔ばかり。
遠い親戚に会うようで、気恥ずかしい。

藁に火をつけ、煙が空に上がるのを見届ける。
藁の焼ける匂いがあたりに広がり、誰ともなく「今年も帰ってきたな」と話すころには火が燃え尽きる。
ミソハギという草花の小さな束を水に浸し、その水を振り落とし消火する。

毎年同じことをしているが、年々顔触れが変わるのが寂しい。その後、灯篭をもってお墓まで歩いて迎えに行くのが決まりだ。

実家からお墓までは歩いていける。
農道の細い道を通り、名もない花を摘みながらのんびり歩く。蚊に刺されるので虫よけは必須だ。

多くの人がお墓に向かって歩いているのが見える。
手前には田んぼがあり、その間をいろんな家族が向かう。
灯篭に火をともし、帰路に就く家族も見える。

このなんでもない光景に、大切なものが詰まっているような気がした。

田舎とはいえ、近所付き合いも希薄になってきている。
人も減り、なかなかこうした光景も見られなくなってきた。

素敵な風習だが、それだけでは続けるのは難しいのかもしれない。

今年のお盆は実家に行けるのかな。



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