遠くを見つめる眼差し(続・視線)|片想い文芸部
よそ見をすることがいつしか僕にはできなくなっていた。
彼女から目を話すことができない。
彼女を見つめる僕の視線の意味に、いつか彼女は気づいてくれるだろうか。
彼女はいつもじっと何かを見つめている。あるいは遠くを見つめる眼差しをしている。
今日も。
「おはよう」と声をかけた。彼女は優しく返事をしてくれたが、どこか遠い眼差しをしている。それはとても艶っぽい。
昨日の放課後、廊下で彼女とすれ違った。僕は、せめてもの思いで微笑みかけた。彼女は慌てたように靴箱の方を向いた。嫌がられたのかもしれない。僕は、なんとかして視線を外した。
図書室でもそうだった。僕は思い切って彼女の近くの席に座って、さりげない風に横顔を見つめた。彼女は少し頬を赤らめながら一心に本を読んでいた。何を読んでいるのだろう。その瞳をひと時でも僕に向けてくれるのなら、僕はなんでもするだろう。
友達に言われたことがある。
「彼女のことが好きなんだろ?思い切って告白しちゃえよ」
考えたことがないわけじゃない。けれど彼女に嫌われてしまったら、その横顔を見ることさえできなくなってしまうだろう。独りよがりな思い込みだと分かっていても、できるだけ近くにいたい。少しでも長くその瞳を見つめていたい。
普通を装いながら、勇気を振り絞って今日も彼女に話しかける。彼女は、優しく応じながらも、僕の肩越しのどこか遠くを見ているようだ。
彼女の瞳が求めているものを、今日も僕は探し続けている。
この作品は、こちらの続編というか、サブ・ストーリーです。是非、合わせてお読みください。
ナルさんの片想い文芸部に参加させて頂いています。
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