片恋傘|風まかせ文芸部
卒業して10年。
初めての同窓会。
彼女も来ていた。
結局告白できないままだった三年間。
今でもちょっぴり後悔している。
たまたま二人だけになれたときに僕は切り出した。
「高校の帰り、雨の日に一緒に帰ったこと、覚えてる?」
あの日、相合傘をした。
黙って差し出した僕の傘に、彼女は少し迷ってから、入ってきた。
雨の匂いがした。
彼女は一瞬遠い目をして、答えた。
「覚えてるよ。傘を忘れたのを見て、私が声をかけたよね。」
あの日のことを彼女が覚えていてくれた。
けれどどちらの記憶が正しいのか、もう確かめようがない。
でも、ひとつだけ確かなことがある。
結局僕は何も言えなかった。
今も。
iさんの風まかせ文芸部に参加します。
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