【読書感想文】スパイと大乱闘「グレイラットの殺人」
最初からかっとばしてあらゆる権力と喧嘩するポーとかいう男…。そのスパイ味方だよ!1年ぶりの積読崩し読みにふさわしいドタバタだった。
グレイラットの殺人
著者:M.W.クレイヴン
訳:東野さやか 早川書房
売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。ポーは3年前の強盗殺人事件との関連を疑い……
カンブリアとかいうド田舎でサミットやるんですか??
交通網はそこそこ良いのか…ほんまか?ほんまにか?でも確かに…
・M6号線(イギリスの東名高速)沿い
・ウェスト・コースト本線(ロンドン3時間)
・最寄り空港はマンチェスター
というのは交通網はしっかりしてるのか…。
過去にコーンウォール州でもサミットが実際開催されていたようなので、現実的ではある。田舎の警備しやすいしね!デモ参加者6名というド田舎。でも基本的な計画は規模がでかいから地元警察は大変そう。
日本で言うと、北海道で開催くらいの感じらしい。
確かに、日本でも北海道洞爺湖サミット、伊勢志摩サミット、広島市サミットがあったのでそれはそうか….
スカーネス・ホール
そんなサミットの開催場所。架空のホテルである。
いわゆるマナーハウスを改装した元邸宅ホテルといったやつかな。デッケーホテルなんだろうな!
料理、とりわけアフタヌーンティーの評判がいい場所だ。
本館はツタに覆われた趣のある二階建ての屋敷で、童話から抜け出たような外観だった。赤色砂岩の壁はとっくの昔に陽射しで色あせていたが、シャップ・フェルの植物とちがい、ツタはいまも青々としてつやがあった。
コテージ、ゲストハウス、雑然と並ぶ改造した厩舎、離れと職員宿舎がスカーネス・ホールの広大かつ、一分の隙もなく整備された敷地におさまっていた。ホールの前を小川がゆったりと流れ、最後は大きなアヒルの池に注ぎこんでいる。芝は短く刈ってあるが、いまだ緑色をたもっている。
ほーん、この辺の地方はマナーハウス改装ホテルが沢山あるらしい。その辺を総合的にモデルにした感じなのかな。
要人が泊まっても遜色なく、雰囲気がありそうなホテルたちを調べてみた。

リジックホールホテル
豪華!!
おとぎ話みたいなお屋敷で起こる事件素晴らしいね!
田舎の森にあるゴシックっぽい建物たまらんな〜。
喧嘩売りまくりのポー
今回の喧嘩売った人リスト
民事の訴訟代理人
刑事事件の法廷は大嫌いだけど、民事で自分が被告人ならどんとこいって血の気が多すぎる。MI5のひと。上役、出迎え2人、フィンチ、会議にいた人。
今回所轄があんまり出てこなかったのでスパイに喧嘩売りまくってるんだよな…スチールアイ
ポーというより、メロディ・リーが怖い。縮地からの鋼鉄のペン先で腋の動脈とらえるのめちゃくちゃ怖いな?!試しに知り合いに当てて貰ったら怖くて泣くところだった。スチールアイは臆病なんかじゃないよ。
ここからネタバレ
嘘つきおじさんアラスター
MI5の人!
ポー、最初めっちゃ嫌ってるたやん。日本警察も公安とはなかわるいもんね!しゃあないか〜!
私は常々「誠実さは行動でしか示せない」と思っています。
その点で言うと、アラスター氏の行動面白い!
部下がヤンチャして埋め合わせしないといけない時に、埋め合わせ用の詫び証拠は持ってくるけど、ポーが警察に拘束してる部下は裏を通じて保釈手続きをしている。
50:50だ。
ポーに拠らず、自身の保身のみにも拠らず
そもそも詫び証拠がないと依頼している捜査が進められないので、詫びはせんといかんのやけど…。弱味である部下は相手の意向を聞くまでもなく助ける。このバランスが絶妙に信用できそうでできなくて良い!
彼は本文中にもこう言っている。
わたしの世界が黒と白にくっきり分かれることはめったにない。さまざまな色調の灰色が寄り集まってできている。
50:50の達人だぜ!
ポーシリーズでのおもろサブメンになりそう!
(事件には本当に困ってそうだから黒幕ではないと踏んでいた)
最終的にポーを利用しつつ、イギリスの解毒をしようとしていた姿勢を思うと、ポーよりはお行儀よくするふりができる、ポーと同じくらい自身の公正の物差しと向き合ってる人だったなあ〜。
外圧と情報提供という飴と鞭を使い分けるの、相手を意のままに動かしたい花魁みがある。手練手管で言わせたいこととやらせたいことを操る、スパイらしいね…。
今回のポー
今回らポーも軍知識担当として活躍していたのが印象深い。
一般人には判らないことがおおい!
犯人が軍関係であると証言を残すために、地元の犯罪組織を軍人関係でまとめるの怖すぎるけどね。統率された犯罪組織、怖い。イギリスの軍隊独特のスラングなんてあるんやな〜。
あと機械音痴なおじさん担当。パスワードは絶対初期設定から変えないし、そこらへんに書いておく。さすがのプロファイリングだよ。
殺人犯のショーンの復讐に対しての姿勢が!凄い!!
これが十九世紀イギリスならいざ知らず、服役というチャンスのある現代において、「お前を守りたい」という説得の仕方はポーしか出来ない…!!!と思った。
やってしまった咎は背負わなければならないが、それ以外は背負わなくても良い、という公正の番人ぶりが沁みる〜!!
これはルーシー・ノースの対応にも言えることで、あらゆる復讐のために椅子の人をしていたルーシーへのポーからの罰…償いは、ほぼ利用された離婚したいレディへの補填というのが、細かい!けどその細かさがなければ取りこぼされた人々を救えない。だから微に入り細を穿ち事件の全容をしる必要があるんだな、ポーは。
法の下で裁けないなら私的に裁いてもよいが、それなら法の下で裁くのと同様に他の部分をも補填しなければならない。という逆説的な復讐論は新鮮!
何一つ取りこぼしてはいけない。悪事を働くには悪事が必要だからそこの見極めがいるというのは、常に刑事事件の法廷や悪事の枝葉を知っている熟年刑事ならではの倫理観だな〜。
この探偵役としての「真相を知るべき」という強い欲求が、単なる知的好奇心ではなく、裁くためにはすべてを知らなければならない、という責任感からきているのが凄い!マメな探偵役!
普通みんな尻ぬぐいしたくないもんな〜。
また秘密を抱えてしまったな…ポー……。
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