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【読書感想文】予算に思いを馳せながら読む「ブラックサマーの殺人」

ブラックサマーの殺人

M.W.クレイヴン(著)東野さやか(訳)
ハヤカワ・ミステリ文庫
感想文です。原作は洋書。ネタバレは最後尾。

1巻の事件から3カ月以内ですね。
フリンに任された予算会議が三カ月だから…。
夏か〜!カンブリアの夏。湿気の夏ですね。
結構な大事件だったのに、ポーの中では優先度が著しく低いので笑ってます。200文字しか言及がない!そういうとこだぞ。
書いてないのでそれを踏まえて想像すると、危惧していた事は起こらず、順調に隠蔽した人々はあるべきバッシングを受けているという感じなんですね。
それよか目下のポーの人生の事件、ホワイトハウス母レイプ事件を調べるのが難しくて大変。国外の最高機密機関の事件て!!
FBIかCIAの知り合いがほしいね、ポー。

今回の新キャラたち

エステル・ドイル

凄いロックな解剖医の!女医!!
首から腕に掛けて刺青びっしり、高身長(170オーバーはある)、ゴスメイク、ルブダンのハイヒール。怖い!美人!確かアラフォー。法医学の世界的権威の内の一人と言っても差し支えない方。好き。
ポーがめちゃくちゃエステル・ドイルのこと怖がってておもしろ。彼女は普通に奇人変人なので、奇行にびびり散らかすのもあるけど、何か女医に好かれてて、その好意の正体がわからなくて怖いんだな…。

「やせたんじゃないの、ポー。似合ってる」
「大変な一年だったからな」
「新聞で読んだよ。けっきょく、あんたのキャプラスクな性格の勝利ってわけね」
「ええと……なんだって?」
エステル・ドイルを前にするたび、まともな答えを返すのに苦労する。
「あんたは永遠の落ちこぼれってこと。それがあんたをかき立て、ほかの人がやらないようなことをやる力になっている」

ブラックサマーの殺人

褒められてても明確にディスってる風なので訳分かんないよね〜!
これは私が1巻感想で書いたことと、おそらく似たような感じ。
出世よりも、己の公平さに準じているから良いよねーっていう…。
やったね同担です女史!
つまり「あんたはオモシレー男」だと言われているんだよ、ポー。

ところで、彼女が捜査のためにやってくれる超割高検査がありまして、ポーは後先考えず4000ポンドを経費で支払ったんですよ。
これを日本円にすると751,240円。
75万〜〜??!!
そんな少ない金額じゃないよね?!前の事件で手当ての予算使い切ったと言っていたけど…。
三人分の14日程度(正確な期間はわからないのでおよそ)の出張費用は大体
時間外手当てで一人一日三万くらい。126万円
宿泊費の手当て(シャップウェルズホテル一日2万)
ティリー一人分+フリンとポーちょっとで20日分くらい。40万円
およそ合計186万で一項目の予算が底をついたわけですよ。
それを1回の検査で75万…重大犯罪分析課の検査予算、生きてる??

イアン・ギャンブル

しおしおのおじさん。カンブリア州警察警視。
前作の事件で自分の部下から犯人を出しちゃって監督不行き届きであわや辞任か、というところを一階級降格で済んだ。

主席警視から警視ってどのくらいの降格なんだ?と調べた

  • お給料は年収200万円弱下がる

  • 昇進は絶望的(定年退職までここ)

  • 権限が州警察の最高責任者レベルから、一部署か課に。主席警視に報告義務がめちゃ増える。実務多い。

  • 社会的地位が失墜(イギリス警察はめちゃくちゃ管理者に厳しい)

窓際おじさん……。

そりゃあポーが、俺もきづかんかったからしゃあない、とかいったらちょっと仲良しになるわな…。作中でも割とみんなギャンブルさんを空気扱いするもん〜怖いよ〜。でも今回は(も?)ポーも針の筵なんでね。鼻つまみおじさんたちは相互扶助する。

「ポー、大変なことになった」第一声の人。
前作で自分がポーを目の敵にしていて痛い目を見たので、新たなポー目の敵おじさんヴォードルに生暖かい視線を向けるのがおもしろ。

そんなギャンブルおじさんが、何かわけわからん事が起きて、頭を悩ませて、最終的にポーに言ったのが
「きみが納得すれば、わたしも納得する」
って凄い。
その件に関してポーが一番こだわりがあるからお前が納得したら、それはしゃあない、というのが沁みる。

あとは、違和感についての抜群の嗅覚を買われているんですね。
何せポーはエンドウ豆のお姫様だからね。
何のことかというと、前作の事件のこの描写

理由はわかっている。マットレスの下にエンドウ豆がひと粒あるのと同じで、カーマイケルの金が引っかかっているのだ。

ストーンサークルの殺人 

アンデルセン童話に「エンドウ豆の上に寝たお姫様」という話があります。

要約すると「何十枚も敷いた布団の下においたエンドウ豆で、寝たときに背中に痣ができるほど育ちが良いなら、本物のお姫様だわ」っていう話なんですけども。
かすかな異物を敏感に感じ取ってしまって痣ができるお姫様も大変だな…とは思うんですが
これを
「布団」=「事件」
「エンドウ豆」=「証拠の違和感」
におきかえると…優秀な猟犬系刑事というわけです!
38歳のおじさんにこういう例えを使う作者のセンスが好きだな…。


ここから結末ネタバレ



エンティティBの経理のおじさんが偽娘を演じて、その娘に危害を加えたお前に報復するであろう、という仕掛けで、
ウッカリ「え…ポーったら私刑じゃなくて司法に委ねることを選んだの…?」と感心しかけたら、全部真っ赤な嘘だった。ちくしょう!
変わらぬ恐喝と欺瞞の申し子達よ。
あなたたちそのメタ認知力の高さ、そこで使う~??

今回一番好きなポーの悪事

クッション封筒にブラックベリーを入れて、田舎の郵便屋さんにえっちらおっちら運ばせてGPSを攪乱させたところ。
あまりのスローライフ利用にカンブリア州舞台の意味を見いだした瞬間で。
ウォードルがお冠すぎてあわや居住権の危機がきてわろてます。
いやだ!せっかく近所に生物学者がいるんだ!引っ越しとうない!


#読書感想文

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