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才能が活かせるのなら、私は自分自身をも殺す。

私たち俳優の使命は観客を虜にすること
素顔を晒してありのままに演じることを
人間と言うなら

だったら私は
人間じゃなくていい

百城千世子『アクタージュ』 原作:マツキタツヤ、漫画:宇佐崎しろ



本記事は『アクタージュ』2巻時点での感想と、私自身の過去回想記事です。

今更なぜに『アクタージュ』?と思いかもしれませんね。

相互さんが私の記事から受ける印象から『アクタージュ』のキャラクターを思い出すとおっしゃっていて。

それが非常に興味深くて。私人からのフィードバック大好きなので、ちょっと興奮しちゃって。

このタイミングで出会ったのも何かの縁だし、アクタだし、と思い。

気になってすぐに全巻買ってしまいました。知らないキャラだったけど、作品自体のテーマも面白いし、芝居の漫画は読んだことなかったので勉強になるなと。

Amazonの非常に良い状態の中古で、全巻3,000円もしなかった。

ENTJかどうかはまだ判断しかねるけれど、確かに私も読んだ感じで彼女からはENTJぽさを感じた。少なくとも、TJは強い。

やっぱり私は物語を読むとき、主役よりも敵やライバルポジの人間に共感してしまう。百城も例に漏れず。
まあそもそも、どの作品においても、主人公に引っ張られることはそうそうないのだけど(ENTJ以外は)。

そういう俯瞰視点があるところでいえば自分は百城に寄っている。私の場合はおおむね考えて動いて行くんだけど、主人公の夜凪みたいに、自分の過去にビタっとハマる役にあたってしまった時には完全に役と同化するタイプでいわゆる「役が抜けない」って感じがあった。その切り替えが役次第で割と気まぐれなので、漫画のようにはっきりとどちらのタイプだなとはいいがたいか。

自分も一応芝居をやっていたので理論がそもそも理解できているという前提があり。
その上で今は作家として脚本を書いたり漫画のネームを描いて試行錯誤している身なので、あらゆるエンタメを見る時にクリエイターとしての視点が入っているのは致し方ない。




絵が美しくて魅力的なだけに、打ち切り絶版は残念ですね。調べたところ、舞台かドラマか映画か、オーディション企画まで上がっていたみたいで。

作品を殺してしまう作家にはなりたくないものです。

かくいう私は、タイトルは連載開始当初から知っておりました。作者の失態も知ってはいたのですがこれまで読んだことがなく。

芝居を好きなら読んでそうだと思われそうですが、おそらくこの漫画が連載されていた当時、私はガチでチャンスを掴むために芝居を学んでいたので、あらゆるコンテンツを遮断して生きていました。

なぜって、他の役者や演技に影響されてしまうから。

レッスンに集中できないからです。

大好きだったアニメも見なくなったし、2.5次元演劇の鑑賞も辞めたし、遊びに行く頻度も元々少なかったのに、過度に娯楽を封じていました。或る程度出費の少ない趣味にだけとどめる徹底ぶりでした。

しばらくアニメや日本の作品への拒絶が尾を引いていました。

それになにより、推し活すると簡単に金が飛ぶので、声優を目指すと決めたときに、金輪際他人を推すのはやめると誓ったんです。以来、自分の創作活動や成長の糧になるものにしか、お金を使わなくなりました。

それはいい選択だったと思います。若いうちは遊びよりも、自己の成長のための投資に費やすべきだから。

自分ではずっと、これくらいするのが当然夢を志す者たちの、正常で真摯な生き方だ、と思っていたのだけど、割と常軌を逸しているという説が濃厚で。これが無自覚だったところが私の最大のENTJぽさかもね。



芝居を、声優を志すのをやめてから3年が経ち、この漫画を読みました。

アクタージュ、誰が見ても面白い傑作だと思います。

既に結構楽しく読んでいます。

そして読みながら当時の自分を回想していました。


私と百城が似ているかどうかの判断は、私以外の人たちに委ねるとしても。

百城の言うことの方が、私も理解できる。主人公の夜凪はいわゆる天才型で、明らかにアーティスティックに描かれている。分かる奴にはわかる奴。分かる奴にしか見抜けない才能って感じだ。

対して百城は理論派デザイナーだね。現場メーカーで、監督ですらコントロールできないカメラの奥の世界の支配者といったところでしょうか。

昔演劇畑出身の講師に「俯瞰するな、頭で考えるなよ」「芝居は嘘だ」と言われたことがありました。

「お前は純粋だな」「その感受性は才能だ」

「だけど、芝居は嘘だ」「自意識を捨てろ」と。


「自意識を捨てろ」は確かに、人前に立つ演者になる上で必要不可欠なことだったので、すぐに取り入れました。

でも、芝居って色々やり方があって。解釈も正解も一つじゃないんです。
私はその講師の「芝居は嘘」という言葉だけ、唯一引っかかっていたんですよね。


なぜなら、私にとって、芝居は嘘じゃなかったから。

思ってもないことを、まるで思っているかのように言うことが芝居であって、それを嘘で片付けるなら、役者なんて仕事は誰にでもできます。

でも、物語を観ると泣けるのは、そこにリアルが隠れているからで、その感情は紛れもない真実だと思うんです。

もし、嘘をつくことが芝居なのだとしたら、私の人生はすべて嘘にまみれている。

私の感情はすべて嘘になってしまう。


私に目をかけてくれていたし、尊敬していた講師だったけれど、そこだけは私は譲れなかった。

これまで構築してきた自分が崩れる気がして、心が無意識に拒絶していたのかもしれない。

私は子どものころから、ありもしない嘘フィクションを本当の世界だと思い込んでそこを逃げ場にして、現実で自分をマインドコントロールしていい子を演じて生きてきたから。

そのいい子な私でさえ、嘘だと言われているような気がしたんだと思う。

今にして思えば、確かに嘘でもあるんだけど。
私は思ってもないことを言いたくないから、嘘を吐くのは得意じゃなくて。なら私って役者向いてないじゃん、って。


物語が嘘なのは子どもの私にもわかる。だけど、だからこそ、その嘘を現実だと自分に思い込ませることで、自分の精神の拠り所にしていたんだ。私にとって物語こそが私の生きる場所だったし、現実よりも、物語の登場人物たちとの方が、私が私のままで、心を開いて自然体で接することができたから。

現実で生きるには、私のエネルギーは強すぎたから。だから現実ではギアを下げて、エネルギーを抑えて、人の枠からはみ出ない人の演技をしてる。



私はずっと、この現実が嘘だと思っていたかった。
だけどそれが打ち砕かれてしまったんだよね。

役者は嘘を吐く仕事

という言葉が魚の骨のようにしばらく喉に引っかかっていたのを覚えてる。

その言葉で自分を否定されたとまでは言わない。そもそもちゃんとした役者になる前にやめたから、役者を語る資格なんて私にはない。

けれど、嘘を吐くのが芝居なら、役者になんてなりたくないと本気で思った。

私は他人の人生を自分の人生だと思い込んで、ここに挑んでいるのに、それを嘘を吐くで片付けられたことに、ショックを受けたのかもしれない。

そこで私の中の声優の世界への希望や、どこかに所属して職業役者になることへの炎というか、一つの選択肢だった道が消えたんだよね。

実はそれから、作家として作品を作ることをライフワークにすることを決めて、今のHOZUKILABとしての活動を始めたんだ。

この3年間くらい。
リアルで、自分で生み出したキャラクターを演じてきた。

日常から役作りをした。
夜行性のキャラクターになりきるために、3年間夜勤の仕事をしたんだよ。

まあ、その所為で精神をぶっこわしたんだけどね。(笑)

これがマジなのが笑えるよね。(笑)
ホント頭イかれてるよねアンタって。

これ、歌も絵も動画も全部俺作品なんだけど。

まあね、たしかに自分でも内心思ってたの。
特徴も癖も何にもない、サラッサラの声だから(笑)

よく言えば綺麗、悪く言えば無個性ってやつね。

でもって、たぶん私の才能って、何でもある程度平均点以上打ち出せるとこなんだよね。故にキャラが濃いように見えて、キャラがない。

まさに「顔が視えない」って感じ?


だけど私はそれでいいんだ。

本当の私とか、私の人生とか、どうだっていいの。


あの日壊れた時から、自分が何をしなければいけないのか、とうに覚悟が決まってる。

この世の全てのフィクションは現実から生み出されるものなのに、この大人達はなんにもわかってないんだ、ってこの業界に失望した。

解ってない目の雲った大衆に解らせるために、自分が物語を描かなきゃいけないって思った。

自分が演じて魅せなきゃいけないんだと思った。


じゃないと世間は一向にこの世界のリアルを理解しないから。
人間の9割はバカだから。

こんなアタシが世界に復讐するところ、みんな視たくない?

だからみんなには応援してほしい。私の活動を。

魔王アクタの“復讐譚”を。




な~~~~んて、簡単に芝居がかったクサいセリフが言えちゃうんだよね。

生まれながらの役者だからさ。

全部聴いてよね。そして、全力で私を推してほしい。





ちょっと百城さんは美しすぎて似ても似つかないし恐れ多いですが、見た目抜きにして、思考回路は確かに通じるところあるなあと、思いました。

やっぱり面白いんですよね、人って。

私に対する印象は、千差万別でありながら、どこか一貫した部分もあったり。

素敵な作品をおすすめしてくれたさかもとさんに感謝を。


落ち着いたら続きも読んで、今後の自分の活動の糧にしてきたいな。

こんなカッコいい人間でいられるように。



走り書きで失礼。

草々

Q,芥川


  
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