菊地姫奈さんのグラビア表現論 #2──インタビュー記事から分かること
菊地姫奈さんは、自分のグラビアについてこれまで何を語ってきたのでしょうか?
この記事では、菊地姫奈さんのデビューから最近までのインタビュー記事を丹念に追うことで、彼女のグラビアに対する考え方を考察します。写真1枚で勝負するグラビアの世界では、文字情報が重要な補足になります。ポージングの意図、表現しようとイメージしていたこと、などが分かれば、2次元の写真に「奥行き」を与えてくれます。ネット上でも、グラビアアイドルの発言がたくさん読めるので、令和のグラビア語りでは欠かすことのできないツールになっていると思います。
ネット上で見つかる菊地さんの記事を見つかる限り読みましたが、どれもとても面白かったです。ただ、ここでは彼女のグラビアに対する考え方が分かる部分に絞ってピックアップします。インタビュー記事のリンク先を時系列に沿ってリストアップし、重要な発言内容をその下に引用していきます。私が特に重要だと思う部分は太字にしています。そして一番最後に、私がそこから考察したこと書きます。
16歳(2020年10月~2021年9月)
「どうしたら今の年齢ならではの若さや初々しさ、自分らしさがうまく出せるのか」と研究することもあるという。
自宅用のエアロバイクを購入したといい、「自粛期間中にヒップアップと脚のラインをキレイにしたいなっていうのもあって」と理由を説明。
17歳(2021年10月~2022年9月)
グラビアのお仕事って大変そうだなって思っていたんですが、いざやってみるとすごく楽しくて。私、マンガを読むことが好きなので、いつも読んでいる作品が掲載されている雑誌に出られるなんて夢のようでしたね。
グラビアをもっともっと頑張って、いずれは女優としてドラマや映画にいっぱい出たい。いろんな役に挑戦してみたいです!
撮影の時は、"自分の世界"に入り込んでいる感じ。物語がつけられる様な表情を心掛けている。感情が表に出ないタイプなので、無表情だけど心の中はメッチャ笑っている。
もともと私は笑顔より落ち着いた顔のほうが好きなんです。撮影中は儚(はかな)げな表情も意識していたのですが、それも褒めてもらえたし、大人っぽいグラビアの方が自分には合っているのかなって思いました。
ふわっと少しだけ口を開いたり、遠くを見ているような目を意識するとそういう表情になるんです。
18歳(2022年10月~2023年9月)
受け身ばかりでは、やっぱり成長できないと思いますし、自分の意見を持つことも大切だなっていうのを段々気付けて。これからも少しずつでもいいので、本当の自分を出していけたら
他の人の演技を見たり、いろいろと教えてもらったりしてきた中で、『演じるっていうのは、その役の一番の共感者にならなきゃいけない』という言葉がすごく印象に残っていて。そこからは、こういうことを考えたからこういう行動をしたんだって役からくみ取れるようになってきたのですが、まだなりきれない部分とか、どうしても共感しづらいときもあるので、やっぱり演技って難しいと思います
じつを言うと胸が大きいのはそれまでずっとコンプレックスだったんです。でも絶対、グランプリを獲りたいし、そのためにいかせるのなら水着になろうって。
芸能界だし、思い切ってやらないと生き残れないだろうなって。水着になったことで、今後、悩む時もあるかもしれない、でもその時はその時になったら考えよう! まぁ、最後はどうにかなるだろう! って思いました。
他の女のコもいるので。恥ずかしいより「周りと比べて、自分の体型ってこんな感じなんだ」って客観的に見ちゃって。みんなすごくキレイな方ばかりですからね。見とれちゃいました。
現場に素敵なポージングしているコが何人もいたんです。そのコの動きを見つつ、あとはカメラマンさんの言われた通りにやって。今思えばものすごくぎこちなかったけど、自分なりに精一杯やりました。
だってわざわざ水着になったわけですから、絶対に負けたくないと思ったので! 落ちたら脱いだ分だけ損というか(笑)。少しでもアピールしておこうと。
苦手というか、自分の笑っている顔がもともと好きじゃなくて。あと前に他誌のグラビアで「笑って!」と言われて、撮ったんですけど、そのカットが自分的に良くなかったんです。友達から「イマイチ」みたいに言われて、ちょっと残念な思いをしちゃって。でもグラビアに笑顔はつきもの。それでもっとちゃんと笑おうって決めたんです。
笑いたくない時に無理に笑うのはやめよう、楽しいと思ったら笑おうって。でないと、どこかぎこちないというか、なんだか可愛くない気がして。でもそうしたら笑顔がだんだんできるようになって、最近、自分の笑顔が好きになりました。
「一枚の写真」を意識するようになりました。顔だけ、ポーズだけじゃなくて、一枚の写真として綺麗に見えるよう気を遣うようになったというか。
表情も以前に比べると豊かになった気がします。それは笑顔と似ていて、その時の気持ちをそのまま出すようになったというか。かき氷を食べて美味しいとか、その時の気持ちをそのまま出すって、なかなか難しいんですけどね。
グラビアって等身大の自分を撮影してもらうもの。たまに自分が載っている雑誌を見返して、「この頃は表情が硬いな」とか「ポージングがイマイチだな」とかいろいろ思うんですけど、見ると必ず自分の成長を実感して自信になるんです。自分のグラビアを見返す度、まだまだやるぞって気になります。
グラビアの仕事に対しては「全然抵抗感もなく、楽しくやっていました」という。
グラビアをやらせていただいた時からミスマガの期間は、初めてって感じで、すごくぎこちなかったり、緊張したりというのが写真を見ても分かります。ただ最近は経験を重ねてちょっとずつポージングであったりと成長できたのかなって思います。表情の作り方、見せ方も出来るようになったのかなとは感じています。
写真集は高校最後ということで、ファーストとは違った雰囲気での私らしい写真集になっているかなっていうのと、私が着てみたかった衣装とか好きな衣装を事前にスタイリストさんが色々選んできてくださって。撮影中も可愛い可愛い言いながら撮影させていただいて、すごく楽しかったです。
衣装の一押しについては「チュールであったり、フリルだったりちょっとお洒落な水着も着させていただいています。私の一押しはピンクのチュールのトップスを着た、中が星柄の水着。ぜひ注目して見ていただけたら嬉しいです」と話す。
19歳(2023年10月~2024年9月)
実は私けっこうエゴサが好きで、SNSで自分の名前を検索したりするのですが、そこに書き込まれるネガティブな意見は全然気にならなくて。自分のことをよく知っていて、信頼している人の意見以外はどうでもいいって思っちゃいます。みんな、私のことをあまり知らないで言いたい放題言っているだけなんで(笑)。逆に、ファンの人の「この写真がよかった」みたいな反応はすごく嬉しいですし、「もっといい写真を撮ってもらえるよう頑張ろう」っていう原動力になっています。
私がグラビアのお仕事を続けていられるのも、皆さんが雑誌を買ってくださるからだって改めて思います。だから、応援してくれる方々にしっかり応えていきたいですし、グラビアのお仕事はオファーしていただける限りやり続けたいなって思っています!
今年はカラダ作りに取り組もうと思っています。『ルパン三世』の峰不二子みたいな男性の理想のカラダになれたらなって。私、二次元の女性キャラクターのフィギュアを鑑賞するのが好きなんです。カラダのラインがいいなってキュンキュンしちゃう♡
グラビア撮影のときも自信がないし、撮られ慣れていないのですごく不安だったんですけど、出来上がった写真を見て、こんなにキレイに撮ってもらえるんだ!って感じて。それに、みなさんからの反応がすごく大きくて、少しずつ自信が持てるようになりました。今では、写真を撮ってもらう度に新しい自分に出会えることがすごく楽しいです。
(自慢のパーツはどこ?という質問に対して)首の長さと、鎖骨にかけてのデコルテまわりが気に入ってます。特に水着のときにすごく重要で、そこがキレイに見えていると素敵に見えるなって。なので、なるべく首をのばすように心がけています。バレエを習っていたことも役立っているなって思うことがあって、指先の作り方もグーよりも伸びている方が美しく見える気がします。
俳優は自分じゃない自分になるというか、役の人生を生きるという感覚で、グラビアはありのままの自分、等身大の菊地姫奈を表現するので全然違うかもしれないです。ただ演技のお仕事はすごく難しいし経験が浅いので、どう表現したら見ている方たちに伝わるかな、感動を与えられるのかなって模索しています。スチール撮影でのポージングは感覚派なんですが、もともと絵を描いたり見るのがすごく好きなので、1枚の絵に収まったときにどんな風になるのかを考えて動いているかも。例えば「ここに手があったら空間がうまくまとまりそうだな」とか。今回のようにファッションの撮影はまだまだ経験が少ないですが、グラビアとはまた違ったポージングや、小物使いも可愛いなぁって思っていて、すごく楽しかったです。
ずっと声優のお仕事をしたいと思っているのですが、声優アイドルを目指す学生役で『Maybe 恋が聴こえる』というテレビドラマに出演させていただきました。これから演技のお仕事やモデルとしても活躍したいのはもちろんですが、大好きな下着のプロデュースもしてみたいです。それで、いつか自分のブランドを持てたらいいな。
20歳(2024年10月~2025年9月)
グラビアを撮られる私を思い出すのが、中々大変でしたね。どれだけ長くやっていても、離れたら忘れちゃうんですね。けど、面白いことに、一度「こうだったよね」と思い出すと、体って覚えてくれていて、「この向きで立ったから次は反対。立ちを撮ったから次は座りだ」ってスムーズに動けました。
(「グラビアの学びは、今の仕事にどう活きていますか?」という質問に対して)表現力でしょうか。例えば私はグラビア撮影になると、「このロケーションで、この衣装。なら、この表情が良いかな?」と、自分が撮られた際の画を想像して、どうすればまとまりの良いものが撮れるかを考えながら表情や雰囲気を作っているんです。その表現力は演技にも活かせているのかな、と。あと、表情管理はグラビアでの想像の仕方がすごく役にたっています。割と昔はカメラの前では慌てちゃって、ぎこちなさが前面に出ちゃっていたんです。今はゆっくりと表情を動かせて、落ち着いて表情を作れるようになりました。
(「グラビアを5年続けてみて、菊地さんにとってグラビアとは?」という質問に対して)性格面で大きく変えてくれたものですね。それこそ子どもの頃は引っ込み思案で、何かをしたいと自分の考えを口にできなくて。それに1人でいることが好きで、周りから少し遠い人間だったんです。そこからこの仕事を始めて、自分に自信を持てるようになりました。それは応援してくださる方の存在や、スタッフさんとカメラマンさんが毎回ステキな作品を作ってくださるからこそ。自分でも作品を見る度に、どんどん表情から雰囲気が明るくなっていくのが写真を通してでもわかるぐらい、前に進んでいて。こうした経験を積み重ねられなかったら、「私はこうしたい」と口にすることもできなかったと思います。
(「写真集の撮影に向けて、ボディメイクはされましたか?」という質問に対して)私の中での王道な体型があって、あえてちょっと増量しました。メリハリがあって、キュッと引き締まった感じがいいなと思ってたんですけど、ヒップアップは映画の撮影中に偶然いい感じになって。その偶然については写真集に収録されているインタビューでお話してるんですけど、ラッキーでした(笑)。
(「グラビアを5年間やられてきたかと思いますが、今回初めて気づいたグラビアの魅力はありますか。」という質問に対して)グラビアは唯一、自分自身で勝負できる場所だなと改めて思いました。モデルだとファッションが主役なので自分を消す作業があり、演技だと自分じゃない誰かになり切るので自分が一番要らなくなるんです。ある意味、自分自身で勝負できる場は、グラビア以外になさそうだと思っていて。実は一年間くらいグラビアをやっていなくて、その間non-noの専属が決まりファッションのお仕事をさせていただいたり、ドラマや映画に出させていただいて、自分を抑える仕事に取り組んで来ました。その中で今回の写真集の撮影でグラビアに帰って来た時に、自分自身で勝負できる場があることは面白いですし、楽しいと思えたんです。
(「違う世界を経て、グラビアの良さに気づけたわけですね。」という質問に対して)そしてそこで評価してもらえることは、自分に自信がなかったからこそ、安心しましたし、うれしかったですね。グラビアは、自分のメンタルケアをしてくれる場所でもあるんだって。
(「発売後、みなさんの感想で印象に残っているものはありましたか。」という質問に対して)「素敵!」「期待以上だった!」という声が届いたことはうれしかったです。それと写真集の中にわたしのインタビューが掲載されているのですが、それを見たファンの方が「前向きな気持ちになれた」「元気をもらえた」と反響があったので、載せてよかったなと思いました。インタビューはこれまでにもありましたけれど、ありのままの自分のことを話したことはなかったなと思っていて、それが今回写真集というカタチで、素の自分、飾らない自分を答えることができたので、それで救われたと言ってくださる方がいたことはうれしかったです。
(「令和の完売クイーンと呼ばれることもありますが、この人気はどう受けて止めているのですか。」という質問に対して)とてもうれしいですが、自分のことじゃないような感じもしていて、自分が自信をもって世に出しているものがこれだけ評価されているということは、やって来てよかったなと思いますが、実感はあまりないかも知れないです。菊地姫奈とプライベートの菊地姫奈は違うので、自分でもあまり分かってないというか、不思議な感じもしています。
自分の信念というか、譲れない軸みたいなものをしっかり持てば、取り繕わず自然体でいられるんじゃないかなって
グラビアに出会ってから学校から逃げた自分を丸ごと受け止められたし、逃げた先(グラビアのお仕事)で自分のやりたいことを素直に言えるようになって自然と前向きになっていきました。昔は周りが理想とする自分でいたいと思うような子どもだったけど、今は素の自分を認めてあげられて、自己ベストを更新するために努力ができる人でありたい。
ノンノモデルとしては洋服をきれいに着られるようになりたくてもう少しカラダを絞りたいけど、グラビアのお仕事的には女性らしい丸みのあるボディラインも大切でそのジレンマを抱えた時期は確かにありました。
ウエストがきゅっとくびれた、アニメキャラのような“二次元ボディ”が昔からずっと理想。胸とお尻は残しつつ、くびれや二の腕、太ももは引き締めるように試行錯誤する日々が始まりました。
有酸素運動や縄跳びなどは胸やお尻の丸みが削がれちゃうと聞いて、脚パカ運動や腹筋などで自然とお尻と胸が大きく見えるようなボディバランスを目指してお家でのトレーニングを徹底! 暇さえあれば、くびれ運動をしていました。バランスのいい食生活と筋トレを始めてから、やった分だけ体は変わることができると知れたし、体調もめちゃくちゃよくなって個人的にはいいこと尽くめだった! 圧倒的ウェーブという骨格自体を変えることは難しいし、“あの人みたいになりたい”と理想を追いかけるんじゃなく、数字に踊らされすぎず“今までで一番好き”って思えるベストなシルエットを目指すことで心もちょっと楽になった気がする。
インタビューから見えてくること(考察)
ここでは、インタビュー記事全体のまとめと考察を行います。
菊地さんは、自分のグラビアを少しでも良いものにしようと、学ぶ姿勢を常に持っています。また、苦手だった笑顔を頑張って克服するなど、かなりの努力家という印象です。そして、色々なことに挑戦しようとする姿勢も一貫していて、挑戦したものから必ず何らかの学びを得ているようです。グラビア活動の中で「挑戦→努力→学び」のサイクルがうまく回っているところが素晴らしいなと思います。グラビアの仕事をはじめたことも挑戦でしたし、ドラマ・映画での演技の仕事もそうです。そして、演技の仕事をする中で、「グラビアはありのままの自分、等身大の菊地姫奈を表現する」ことが可能だという、グラビアの意味を再発見することになります。
カメラの前で被写体としての役割を果たすだけでなく、自分をどう見せるのか、自分がどう見られているのか、を考えて、グラビアでの自己表現の方法を追求しています。その一つの到達点が、1回目の記事でも紹介したグラビアを「1枚の絵」と考えてその完成図を想像してみる、という考え方です。これは、自分のグラビアを見る読者の視点を自分の中に作っている、とも言えそうです。かなり高度な技術だと思われます。
積極的に「身体づくり」を行い、自分の身体を自分の理想に近づけることで、自らの表現手段とする意識も強いです。ただ、『non-no』のモデルとして活躍し始めたころから、モデルとして求められる体形とグラビアアイドルとして求められる体形の違いに悩むことになります。彼女は、どちらの視点で見ても高いレベルであることを目指して自分の身体を磨くことを選択しているわけですが、「ウエストがきゅっとくびれた、アニメキャラのような“二次元ボディ”」や「自然とお尻と胸が大きく見えるようなボディバランス」が理想と語るなど、一読すると男性向けグラビア誌的な身体が一つの理想であることを感じさせる発言が多いようです。ただ、これは、女性ファッション誌的な美しさと無関係というわけでもなさそうなので、この発言の意味は慎重に検討する必要がありそうです。
菊地姫奈さんのグラビアアイドルとしての成長と成功は、持って生まれた素質に加えて、挑戦・努力・学びを継続的に続けてきたことの結果と言えるでしょう。そして、彼女の成長は、グラビアアイドルとしての職業的成長に留まらず、グラビアという場を「自己表現の芸術(アート)」へと昇華させようとする方向に彼女を向かわせているように思われます。
第1回と第2回の記事で、菊地姫奈さんのグラビア表現を考察する土台が一応できたと考えることにしましょう。これをベースにして、次回(第3回)からは、彼女の代表的なグラビア写真を取り上げて、彼女がそこで表現しようとしているものを具体的に探ってみたいと思います。
1回目の記事はこちら↓
