HRBP9 マトリクス2段目:As-Isのディスカッションを行い新たなGAPを解決する
HRBP9マトリクスの2段目では、どのようなアクションを取るべきか?
本記事では、2段目の各ポジションごとの具体的なアクションや注意点を整理しました。ご自身の立場や周囲の状況を思い浮かべながら、読み進めてみてください。
なお、HRBP9マトリクスの基本概念について理解を深めたい方は、以下の記事をご参照ください。
では、いきましょう!
2段目⇒対応するエリアLv.2 ~As-Isのディスカッションを行い新たなGAPを解決する~とは
2段目については、As-Is(現在)に注目し、組織文化に沿いながらアプローチを変えていくことを整理いただければと考えております。
初めに、2段目へ登るタイミング(目安)についてですが、
・組織文化レベルの理解において、どのポジションにいるのか現状を整理する
・到達している組織文化レベルの真上にチャレンジする
というステップを踏むと活動しやすいです。
例えば、ご自身の組織文化レベルの理解が1(マトリクスの左)にある場合は、そのまま上に上がるイメージです。
※組織文化(横軸)の整理
Lv.1: “Artifact” 見える化されたモノ
「目に見える組織構造とプロセス」
Lv.2: “Espoused Beliefs and Values” 標榜される信条と価値観
「戦略、目標、哲学」
Lv.3: “Underlying Assumptions” 背後に潜む基本的仮定
「無意識のうちに当たり前となっている信念、認識、思考、感情など」

2段目で意識する”As-Isが変わると、GAPが変わる”ということ
1段目では『担当部門から信頼を獲得するため、クライアントが求めていることを対応する』(詳細はこちらの記事)ことを意識するのがポイントになりますが、2段目のアプローチで意識することは『クライアントにHRの立場として、新しい目線を提供して新しい気づきを得てもらうことで、信頼を獲得する』ことがポイントになります。
そして、新しい気づきを得ていただき、As-Isが変わりGAPが変わるのですが、イメージを持っていただくために以下の図2-1, 2-2をご覧ください。


2段目で大切なことは、図2-1のように現状の姿があいまいで捉えられていないときに解像度を上げるサポートや、図2-2のようにクライアントが捉えている現状の姿に対して左から右にシフトしていただくことです。
現実的にはこのようにはっきりと2つに分かれることは少ないと感じていますが、このイメージを持つことでヒントになるはずです。
ただし、図2-2を見てお気付きかと思いますが、なんでもかんでもシフトさせるのではなく、図2のように目指す姿/To-Beに向かう道である問題/GAPに倒木(障害)があるときに有効であることを忘れないでください。
障害が無い、もしくはクライアントが障害をさほど気にしていない際に、無理に現状の姿をシフトするようなアプローチは逆に信頼を失うことに繋がりますのでご注意ください。
そして、このように現状の姿/As-Isが変わることで問題/GAPが変わることもそれぞれの図から読み取れるかと思います。
図2-1の場合は、解像度が低いゆえに道(GAP)が途中から始まっているのが、はっきりと見えてくるでしょう。結果として取るべきアクションが変わってきます。
図2-2の場合は、現状の姿がシフトすることで、道が大きく変わっています。これによって問題/GAPのとらえ方が変わり、アクションが変わります。
これらのサポートにより、ビジネスが前進・加速することが期待され、HRBPとしての価値をより感じてもらえるはずです。
”対応するエリアLv.2”×”組織文化の理解Lv.1”
ここからは、具体的にそれぞれのポジションでアクションのポイントと注意点をご説明します。
Lv.2:「As-Isのディスカッションを行い新たなGAPを解決する」
Lv.1: “Artifact” 見える化されたモノ
「目に見える組織構造とプロセス」
このポジションで意識することは、組織の理解が深まっていないが、客観的な定量、定性を用いた情報提供を行うということです。
つまり、図2-1をイメージして、今まで解像度が甘かった部分に対して、ご自身の知見を活かしてHRBPとしての価値貢献をすることをお勧めします。
~アクションのポイント
システムが整備された組織では、人事関連の情報がダッシュボード等で一目で確認できる環境が整っている場合があります。しかし、まだそうした環境が整っていない組織も多いのが現状です。
また、ダッシュボードがあったとしても、情報の粒度が大きいために、クライアントからは現状を理解するために粒度の細かい情報が求められることも多々あります。
そこで、HRBPとしてHRチームと共同しながら、時には自身で社内に存在する人事データの分析・加工を行うことで、クライアントが求める情報を提供し、現状As-Isの解像度を上げるサポートをしていきましょう。
そして、新たに見えてきたActionの解決を行い信頼関係の強化ができるはずです。
ここでは、私が新しい組織を担当する際に取り組む分析の一例をご紹介します。個人的には手間はかかりますが、自分で分析をすることで理解が深まるのでお勧めです。
・基本的な統計分析
平均・中央値・分散:給与、勤続年数、評価スコアなどの分布を把握
クロス集計:部署ごとの離職率や年齢層別の平均給与を分析
・人事KPI分析
離職率分析:期間ごとの退職者数を計算し、原因を探る
勤続年数分析:平均勤続年数を調べ、長期雇用の傾向を把握
採用効率分析:応募から採用までの期間やコストを評価
他にも、情報があれば、各種の回帰分析を用いる事、サーベイなどを実施している場合はサーベイ分析などを行うことができます。
~注意点
組織文化が深まっていない可能性がありますので、初めて情報を提供する際はクライアントの反応を伺いながら議論を進めていくことをお勧めます。
また、すでにクライアントが把握している情報ばかりを提供していては、逆に信頼関係を失うことに繋がります(知っている情報しか提供してこない≒必要のない人材)
そのため、情報を提供した際には「この情報に加えてどういった情報があれば有効か」ということを踏み込んでヒアリングしてみてください。
この一言を加えることで、クライアントのニーズを把握し、組織文化の理解を深めることができます。
”対応するエリアLv.2”×”組織文化の理解Lv.2”
Lv.2:「As-Isのディスカッションを行い新たなGAPを解決する」
Lv.2: “Espoused Beliefs and Values” 標榜される信条と価値観
「戦略、目標、哲学」
このポジションでは、組織文化の理解も進んできておりクライアントとの信頼関係も築かれ、ご自身の考察も加えやすくなります。
そして、図2-1だけでなく図2-2の価値提供も少しずつ進めていくフェーズです。
~アクションのポイント
図2-1のような解像度を上げるサポート以外として、図2-2に関わる部分としては以下のようなものがあります。
・社内外の比較を元に
-人員配分の見直し
-育成プランの見直し
・異動、採用計画の見直し
・他部署を含めた候補者の提案 など
ここに記載している内容は「すでに設計されていたモノを組み替える」というのが主なアプローチです。
まさに、現状が変わり、GAPが変わったことで、すでに設計していた各種活動(Action)を変えながら解決していくアクションです。
これは、組織文化の理解がある程度進み、信頼関係が生まれているからこそできるアプローチといえ、クライアントの個別事情に合わせて対応が求められるHRBPだからこその動きに入り始めていると考えています。
~注意点
一番の注意点は「本当に自分がこのポジションに位置しているのか」を客観的に評価できるかです。
考察を踏まえた提案は、組織文化の理解が深まっているからこそクライアントに受け入れられ、次のステップに進むことができます。
気持ちが焦ってしまい、自分がこのポジションにいると思い込んで踏み込んだアプローチをすることでかえって逆効果になることもありますのでご注意下さい。
ただし、矛盾したことを記載しますが、このアプローチにチャレンジしていかなければ、HRBPの価値提供は進まないので、修正ができる範囲でトライ&エラーを繰り返しながら活動いただきたいと感じています。
”対応するエリアLv.2”×”組織文化の理解Lv.3”
Lv.2:「As-Isのディスカッションを行い新たなGAPを解決する」
Lv.3: “Underlying Assumptions” 背後に潜む基本的仮定
「無意識のうちに当たり前となっている信念、認識、思考、感情など」
このポジションに入ってくると、組織文化の理解も深まっており、クライアントのことも深く理解できてきています。そのため、HRBPが提供する情報への信頼度も高まっているといえます。
~アクションのポイント
このポジションにいるHRBPは、こちらから情報を提供するだけでなく、クライアントから相談を持ち掛けられている状況でもあるはずです。
そのため、以下の2点が実行できるように日々情報収集を意識してみてください。
・責任者が把握できていない流動的な現場情報の共有
・難解な局面における外部情報の提供を行い解決のサポート など
責任者は立場上、細かな現場の情報や社員の本音などが聞こえてこないこともありますので、時にはHRBPが責任者の目となり耳となり現場の情報を提供することが求められます。
ここはHRBPが担当組織とどのように関わるか、という点で意見が分かれるところではありますが、個人的には責任者から見て1階層下の管理職とは関係構築を図っている状態が望ましいと感じています。(場合によっては2階層下もですが、担当組織数や業務量を見ながら判断)
~注意点
クライアントの組織文化の理解も進み、信頼関係も構築できつつありますが、部門責任者やクライアントとの関係構築が進んでいるからこそ、より一層にHRの立場を忘れないようにし、現場からの提案に対して「できないものはできない」と言えるように心がけてください。
大切なことはHRBPとして、全社戦略の中で個別組織の戦略をHRの立場でサポートしていくことなので、HRとしての一貫性を見失わないことが大切だと私は考えております。
2段目のまとめは以上となりますが「As-Isのディスカッションを行い新たなGAPを解決する」ということのイメージが深まっていると嬉しいです。
現状/As-Isに対する客観的な情報を提供することがHRBPに求められており、HRBPが時に社内人事コンサルタントと表現されるゆえんだと感じています。
最後に、この記事全体のまとめです。
■HRBP9マトリクスの2段目で重要なこと
・As-Isの解像度を上げることで、GAPの本質が見えてくる
・クライアントの現状を適切にシフトさせることで、新たなアクションが生まれる
・提案のタイミングと内容を慎重に見極めることが信頼獲得のカギ
また、HRBPとしての価値を高めるために、社内外の情報収集を意識的に行うことが大切だと日々感じています。
情報交換や意見交換をしていただける方は、ご連絡いただけると嬉しいです!
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