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MI(マテリアルズインフォマティクス)勉強ログ③ MIはどこで使われているのか?


はじめに

前回の記事では、
「そもそもマテリアルズインフォマティクス、略してMIって何?」
というところを整理しました。

今回はその続きとして、
MIが実際にどんな分野で使われているのか
を調べてみました。


MIが使われやすい分野の共通点

MIが使われている分野を調べてみると、
電池、触媒、高分子、半導体・電子材料、環境材料など、いろいろな例が出てきました。

一見すると別々の分野に見えますが、
共通しているのは、考える組み合わせがとても多いということだと思いました。

例えば電池材料では、正極、負極、電解質、バインダー、コーティングなど、たくさんの材料が関わります。

環境材料では、性能だけでなく、分解性、リサイクル性、コスト、安全性なども考える必要があります。

こうして見ると、MIが使われやすい分野には、

・候補材料が多い
・組成や配合の組み合わせが多い
・製造条件や処理条件が効く
・複数の物性を同時に考える必要がある
・全部を実験で試すのが難しい

という共通点がありそうです。

材料開発では、
「この元素を入れたらどうなるか」
「この配合を少し変えたらどうなるか」
「温度を変えたら物性がどう変わるか」
のように、試したい条件がどんどん増えていきます。

でも、全部を実験で確認するのは現実的ではありません。

そこでMIを使って、過去のデータや計算データをもとに、
「まずはこのあたりを試すと良さそう」
という候補を絞ることができれば、かなり助かります。

つまりMIは、
組み合わせが多すぎて手当たり次第には試せない材料開発で、探索の順番を考えるための道具
として使われているのだと思いました。

組み合わせの沼が深い分野ほど、地図がほしくなる。
MIは、その地図を少し詳しくするための方法なのかもしれません。


事業として見るMI

ここまで調べてみて、MIは単に
「材料研究にAIを使う」
という話だけではないと感じました。

事業として見ると、MIには次のような意味がありそうです。

・開発期間を短くする
・試作回数を減らす
・研究者の経験をデータとして活かす
・候補材料を早く絞る
・開発コストを下げる
・技術継承に使う
・企業間のデータ連携に使う

特に面白いと思ったのは、企業間データ連携です。

材料開発では、サプライヤーとユーザー企業がそれぞれ重要なデータを持っています。

でも、機密情報なので、そのまま共有するのは難しいです。

三菱ケミカルと大塚化学の取り組みでは、秘密計算を活用したMIにより、通常であれば早くても2〜3年かかる開発期間を1年未満に短縮し、ビジネスレベルの材料開発に成功したと発表されています。また、同資料ではMIによる材料開発期間を従来比で30〜50%短縮できる事例も報告されていると説明されています。

https://www.mcgc.com/news_release/pdf/02395/02654.pdf?


MIは、社内の研究データを使うだけでなく、
企業同士がデータをどう安全に使うか
という話にもつながっているようです。

ここまで来ると、材料開発だけでなく、事業戦略、知財、データ管理、サプライチェーンまで関わってきます。


プラットフォーム事業としてのMI

MIはプラットフォーム事業にもなっています。

材料メーカーが自社の研究開発でMIを使うだけでなく、材料探索やシミュレーションを支援するサービスとして提供される例も出てきています。

国内の事例として分かりやすいものに、ENEOSとPreferred Networksが開発した「Matlantis」があります。
ENEOSの紹介ページでは、Matlantisは2021年からSaaSとして提供され、日本国内だけでなく米国・欧州でもクラウドサービスとして展開されていると紹介されていました。

Matlantisは、AIとシミュレーションを組み合わせて、分子や結晶などの構造や物性を高速に計算するためのプラットフォームです。

従来の実験やシミュレーションだけでは時間がかかる材料探索を、AIの力も使いながら効率よく進めることを目指しているようです。

ENEOSの紹介ページでは、触媒、潤滑油・グリース、機能性ポリマー材料などへの活用事例が紹介されていました。

特に、メタノール合成触媒の開発では、従来のシミュレーションでは数年かかる計算が数週間で完了した例も紹介されています。

この事例を見ると、MIは「研究者が個別にデータ解析するもの」というだけでなく、材料探索を支えるサービスや基盤としても広がっていることが分かります。

材料開発にも、ソフトウェアやクラウドサービスを活用する流れが本格的に入ってきているのだと感じました。


最後に

今回、MIの活用分野を調べてみて、かなり印象が変わりました。

最初は、MIというと
「機械学習で新しい材料を予測する技術」
くらいに思っていました。

でも実際には、それだけではなさそうです。

MIは、

・どこを試すか決める
・開発期間を短くする
・試作回数を減らす
・データを社内外で活用する
・材料開発の意思決定を支える

ための技術として使われ始めているように見えました。

MIは実験をなくすものではなく、「実験に行く前の探索を賢くするもの」
という印象です。

最終的には、今までのようにやっぱり作って、測って、確認する必要があります。

でも、その前に「どこを狙うと良さそうか」
を考えられるなら、かなり心強いです。

これは、材料開発の地図を少し詳しくする技術なのかもしれません。

次回は、MIで使う「材料データ」について整理してみようと思います。


まだ勉強中なので、もし認識が違っているところや補足があれば、コメントで教えていただけるとうれしいです。

アドバイスをもらいながら、少しずつ理解を深めていけたらと思っています。



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