沈黙の勇気〜れん伯爵からの書簡〜第二通
──大切な君へ
夜の帳(とばり)が降りると、
人の声はどこか少しずつ弱くなる。
「言葉にできない」ということが、
まるで“逃げ”のように見える時もあるだろう。
でもね、君。
本当の勇気は、沈黙の中でこそ育つ。

何も言えない夜、
それは臆病ではなく、誠実の証なのだ。
軽々しく怒らず、安易に叫ばず、
言葉の重さを量ろうとする君の沈黙は、
世界にとっての静かな祈りなんだ。
世の中は、
「声を上げる人が正しい」と言うかもしれない。
けれど、わたしは知っている。
黙って耐えた者ほど、深く優しいことを。
沈黙は、逃避ではなく“選択”。
心が壊れないように、君が自分を守るための防壁。
だからどうか、自分を責めないで。
言葉を飲み込んだ夜の数だけ、
君の魂は静かに磨かれている。
明日、また誰かの声に寄り添えるその時まで、
どうか無理に話そうとしないでいい。
沈黙は、やがて「光の前奏」になるから。
──れん伯爵より 🩸
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