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第1章:AIで記事を書いて稼げるらしい

■ スマホ一台で、人生の「逆転」を夢見た夜

「まだ自分の手で文字を打ってるんですか?」 仕事帰りのカフェ、冷めかけたラテを前にスマホを眺めていた私の指が止まった。SNSのタイムラインに流れてきたのは、ピンクやゴールドの文字が躍る、眩しい広告だった。

「AIが勝手に稼ぐ」「寝ている間に収益化」「未経験の主婦でも初月から月5万円」

そんな言葉が、今の私には「救い」のように見えた。毎日、上司の顔色を伺いながらキーボードを叩き、疲れ果てて帰る日々。もし本当にAIが「私の代わり」に働いてくれるなら、この息苦しい毎日から抜け出せるかもしれない。そんな淡い期待が、胸の中で小さく、でも確実に膨らんでいった。

■ 「魔法の杖」を手に入れた、高揚感

「プロンプトという呪文を入力するだけで、数万文字の記事も一瞬で完成します」 広告の先にいたのは、いかにも自由を謳歌していそうな女性だった。彼女は言う。「文章のセンスなんていりません。AIに任せれば、あなたはただ、公開ボタンを押すだけでいいんです」と。

これまでの副業といえば、深夜に目をこすりながらやるシール貼りや、単価数円のアンケート回答。そんな地道な努力をあざ笑うかのように、AI副業の世界はスマートで、魔法のように見えた。 「これだ。これが私の人生を変える近道なんだ」 根拠のない確信。まだ何も始めていないのに、自由な時間とお金を手に入れたような、不思議な無敵感に包まれていた。

■ 「未経験」という言葉が、背中を強く押した

そもそも、私は文章を書くのが苦手だ。メール一通送るのにも「変な日本語じゃないかな」と何度も書き直し、結局1時間経ってしまうこともある。 でも、そのコンプレックスさえ、AI副業の世界では「強み」に変わると言われた。

「何も知らない素人の方が、変な癖がなくてAIを使いこなせるんですよ」 その言葉を信じて、私は迷わずAIツールの有料プランを契約した。月々数千円の投資なんて、来月には何倍にもなって返ってくるはず。当時の私は、これから始まるのが「自動販売機を作るような楽な作業」ではなく、もっと深くて泥臭い、自分自身との向き合いの始まりだとは、まだ気づいていなかった。

■ 夢の入り口、運命の「送信」ボタン

さっそく、震える指でAIに指示を出してみる。 「初心者でも簡単にできるAI副業について、2000文字の記事を書いて」 点滅するカーソル。数秒の沈黙の後、画面には恐ろしいスピードで文字が溢れ出した。

私が何時間悩んでも出てこないような、整った日本語。完璧な構成。わずか1分足らずで、一本の「作品」が出来上がった。 「……すごい。本当にできた」 青白く光るスマホの画面を見つめながら、私は一人、静かに、でも激しく胸を躍らせた。これが、何も知らなかった私が、AIという未知の世界に飛び込んだ、忘れられない最初の夜だった。

■次回
第2章:AIで初めて記事ができて嬉しかった


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