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建築端材の循環から生まれた、偶然の出会いと暮らし──「薪ストーブのある平屋」開発の裏側

SDGsは、今や多くの企業が向き合うテーマの一つです。東北に根差した老舗工務店・株式会社あいホームもまた、持続可能な地域を目指し、SDGsプロジェクト「捨てない」に取り組んでいます。

ただ、その活動は“環境保全”の枠にとどまりません。地域に眠る資源を生かし、新たな価値を生み出すことの比重が日に日に大きくなっています。価値がないと見なされていたものや、これまで注目されてこなかったものに光を当て、そこに潜む可能性を掘り起こす。それは、まさに「価値を再発見する」営みです。


捨てられるはずだった端材が生んだ出会い

「捨てない」思いから生まれた端材のチェア。

家をつくると、端材が出ます。本来であれば、その多くは捨てられるはずのものでした。

しかし、ある時ふと疑問が浮かびます。

これは本当に捨てられるべき無価値なものなのだろうか。私たちは、その価値を見落としてはいないだろうか。

そうした問いから、クリエイティブ・リユースを掲げた「捨てない」プロジェクトが立ち上がりました。端材をはじめとした地域資源の価値を見直し、生かすための取り組みです。

これまで、端材の無償提供をはじめ、燃料としての活用や、子ども向け木工ワークショップなど、さまざまな活動をしてきました。

端材を使ったベンチの制作も、その一つ。以前は制作したベンチやチェアの販売もしていました。

朝6時より、代表の伊藤謙自ら売り子を担当。
持参した約30脚のチェアは完売。

株式会社ディーエルディーの小畑彰平さん(以下、小畑さん)に出会ったのは、ちょうどその端材ベンチを販売していた朝市でのことです。

薪ストーブの販売・施工を手がけるディーエルディーとの出会いは、端材の価値を追求していた私たちにとって、まさに運命的なものでした。もし端材を、端材のまま捨てていたら、決して生まれなかった出会いです。

しかし、約2年前に小畑さんと出会い、その後も交流は続いていたものの、具体的なコラボレーションには至りませんでした。

その関係に変化が生まれたのは、2025年に入ってからのことでした。

電気代が200万!?薪ストーブのある職場へ

当社に衝撃が走りました。

近年の電気代高騰の影響を受け、昨年度の本社では寒さが厳しい10月から3月にかけて電気代が合計200万円にまで膨らみました。そして今年も同様の傾向が続いており、9月の電気代は前年同月比で16,321円上昇しています。

しかも、これほどのコストをかけて暖房しているにもかかわらず、社内からは「寒い」という声がちらほら……。

「なんとかしなければ」

そう危機感を抱いた私たちは、来たる冬に備えて、今年10月半ばに本社ショールームへ薪ストーブを導入。目指すは、電気代100万円削減です。

もちろん電気代の圧縮も大きな目的ですが、それ以上に、お客様と打ち合わせを行うこの大切な空間を、より心地よいものにしたいという思いが根底にありました。

薪ストーブのある暮らしは「あたたかい」

「仕事」も暮らしの一部と捉えるなら、私たちは今まさに「薪ストーブのある暮らし」を体感している真っ最中です。

では、その暮らしはどのようなものなのか。

朝、出社すると、まずは前日の薪が燃え尽きてできた灰の掃除から始まります。

煙突の空気が冷えたままだと逆流が起きやすいため、細い木から火をつけ、少しずつ煙突内を温めていきます。

その際に使うのが、当社の端材から作った「焚き付け剤」。建築用の木材は十分に乾燥されているため、実は燃料として理想的なのです。薪を割って乾燥させる手間をかけずに薪ストーブを使えるのは、私たちならではの利点でもあります。

火が安定したら、40分に一度ほど薪をくべる。退社時には火を消さず、自然に燃え切るのを待つ。薪ストーブのある暮らしとは、そんな丁寧な営みの積み重ねです。

実際に体験してみて、電気代を削減できること以上に感じた価値があります。それは「間違いなく、あたたかい」ということ。厳密に温度を測らずとも、体感だけでそう断言できるほどの違いがありました。

温かく心地よい空間を、東北地域へ広めたい

暮らしを手がける私たちにとって、暖房器具は「ただ部屋を暖めるためのもの」であってはなりません

大前提として、心地よく過ごせる空気の循環があること。そして、暮らしに自然と馴染むデザインであることが欠かせません。

薪ストーブを使わない季節であっても、ふと視線を向けたときに空間の佇まいをほんの少し整えてくれる存在であってほしい。そんな薪ストーブこそ、私たちが理想とする暖房器具です。

その理想に応えてくれたのが「HWAM 4620c(ワム 4620c)」でした。

和とも洋ともいえない、シンプルで美しいデザイン。さらに、独自の吸気システムによって、手動で空気調整を行う煩わしさから解放してくれます。デザインも機能も、暮らしの邪魔をしない。その思想が一台に宿っています。

自分たちが体感したこの心地よい暮らしを、地域のお客様にも届けたい──。そうした思いから、薪ストーブのある暮らしの探求が本格的に始まりました。

2年前の出会いが熟し、今、かたちに

その探求を共にしているのが、前述で登場した小畑さんです。

現在、私たちは「薪ストーブのある平屋」を開発中。既存の家に後から薪ストーブを入れるのではなく、薪ストーブを据えることを前提に、最適な建物とは何かを考えるところから始めています。

いかに心地よい空間に整えるか。その一点を、丁寧に、深く探り続けています。

まとめ:端材から広がる暮らしの循環

「捨てない」から始まった私たちの取り組みは、いま確かに「最高の暮らし」をつくることへとつながっています。

その中心にあるのは、本来なら捨てられていたはずの建築端材。今や端材は、新たな価値を生み、新たな出会いを呼び込み、暮らしの中で循環しながら、静かにその輪を広げ続けています。

捨てないという選択が、未来の暮らしを豊かにしていく。私たちは、その確かな実感と共に、次の一歩を踏み出していきます。

表紙ロゴ制作/前原圭佑さん(前ちゃん)
編集/三代知香

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