第110話 【爆笑】“猫好きアピール”したら相手がガチ勢で秒で論破された話
【もとしの爆笑日記 第110話】
導入|「猫、好きなんですよね」の一言が、地雷になるとは思わなかった
「猫、好きなんですよね」
この一言が、
あんな沈黙を生むとは、1ミリも思っていなかった。
27歳、独身。
名前は、もとし。
父・母・弟と4人で暮らし、
趣味は読書、朝の散歩、プラモデル作り。
恋愛経験は少なめだが、
「誠実さ」と「聞き役」だけは自信があるタイプだ。
そんな僕が、
“好印象を取りに行っただけ”の一言で、
あの空気に追い込まれるとは——。
今でも思い出すと、
耳の裏がじんわり熱くなる。
第1章|プロフィール欄の「猫好き」は、最強カードだと思っていた
婚活イベントやマッチングアプリを使っていると、
必ず目にする項目がある。
「好きな動物」
正直に言おう。
ここは安全地帯だと思っていた。
犬派・猫派論争はあれど、
猫を嫌いな人は、ほぼいない。
実際、
・「猫かわいいですよね」
・「癒やされますよね」
・「動画、つい見ちゃいますよね」
この辺の会話は、
今まで何度も場を和ませてきた。
だから今回も、
深く考えずに書いた。
好きな動物:猫
理由?
・実家で飼ってたわけでもない
・アレルギーでもない
・ただ、動画を見るのが好き
それだけだ。
だがこの時点で、
僕はすでに“ある前提”を勘違いしていた。
第2章|相手の女性は、落ち着いた笑顔の「話しやすそうな人」
当日、向かいに座ったのは、
落ち着いた雰囲気の女性だった。
年齢は同じくらい。
声も柔らかく、リアクションも丁寧。
「話しやすそうだな」
「今日はいけるかもしれない」
そんな淡い期待が、
胸の内で静かに膨らんでいく。
序盤の会話は順調だった。
仕事の話。
休日の過ごし方。
最近読んだ本。
僕は例によって、
“聞き役7割・相づち2割・自分の話1割”の
安全運転スタイル。
相手もよく笑ってくれる。
——よし。
ここで一つ、共通点を出そう。
そう思って、
例のカードを切った。
第3章|「猫、好きなんですよね」と言った瞬間、空気が一瞬だけ止まった
「ちなみに、好きな動物とかあります?」
相手がそう聞いてきた瞬間、
内心ガッツポーズだった。
来た。
ここだ。
「猫、好きなんですよね」
自然なトーン。
盛りすぎない。
ドヤらない。
完璧だと思った。
……のだが。
相手の女性は、
ほんの一瞬だけ、間を置いた。
0.5秒くらい。
でも、確かにあった。
そして、
にこっと笑って、こう言った。
「猫、好きなんですね」
その言い方が、
なぜか少しだけ——
確認するような響きだった。
気のせいだと思いたかった。
第4章|“猫好き”の定義を、僕は何も考えていなかった
「猫って、見てるだけで癒やされますよね」
僕は、
いつもの“無難フレーズ”を重ねた。
すると相手は、
少し身を乗り出して、
穏やかな声で聞いてきた。
「どんなところが、好きなんですか?」
……あれ?
この質問、
今まで何度もされた。
だから、
いつも通り答えた。
「自由な感じとか、
ツンデレなところとかですかね」
間違ってない。
むしろ教科書どおり。
だが次の瞬間、
相手の目が——
ほんの少しだけ、鋭くなった。
第5章|会話は穏やかなのに、なぜか汗が出てくる
「ツンデレ、確かにそうですね」
相手は笑っている。
声も優しい。
なのに、
なぜか僕の背中には、
じわっと汗がにじんでいた。
「ちなみに……」
そう前置きして、
相手は続けた。
「もとしさんは、
猫の“ツン”と“デレ”って、
どういう行動のことだと思います?」
……え?
急に、
小テストが始まった気がした。
頭の中で、
猫動画が高速再生される。
・すり寄ってくる
・急にどっか行く
・撫でると嫌がる
——よし、大丈夫。
「えっと、
甘えてきたかと思ったら、
急に離れていくところとかですかね」
無難。
無難なはず。
だが、
相手はうなずきながらも、
こう続けた。
「なるほど……」
その“なるほど”が、
なぜか全然、安心できなかった。
第6章|「猫好き」の会話が、なぜか専門ゾーンに入っていく
「ちなみに、
猫って“気分屋”って言われがちですけど、
実は理由があるんですよ」
相手はそう言って、
少し楽しそうに話し始めた。
専門用語は出ていない。
でも、
話の密度が一気に上がった。
僕は相づちを打つ。
「へえ〜」
「そうなんですね」
「知らなかったです」
だが、
内心ではこう思っていた。
——あれ?
この流れ、
“雑談”じゃなくない?
相手は、
悪気ゼロの表情で、
さらに続ける。
「もとしさん、
猫って夜行性って言われますけど、
完全な夜行性じゃないの、知ってました?」
……え?
さっきまで、
ツンデレの話してたよね?
第7章|期待 → 不安 → 安心 → 混乱 → 絶望(の入口)
ここで、
僕の感情はこう揺れていた。
期待
→ 猫好きトークで盛り上がるぞ
不安
→ あれ、質問が深くない?
安心
→ まあ相づちでいける
混乱
→ これ、どこまで答えればいい?
そして今、
うっすら見え始めたのが——
絶望の入口だった。
相手の女性は、
にこやかなまま、
こう聞いてきた。
「もとしさんは、
猫と実際に暮らしたことはありますか?」
——来た。
ここで、
僕は一瞬だけ、
選択肢を誤った気がした。
だが、
それが何を意味するのかは、
この時点ではまだ分かっていなかった。
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