第120話 【爆笑】婚活パーティで「将来の夢」を言ったら笑われた日
【もとしの爆笑日記 第120話】
導入|「将来の夢」を聞かれるだけで、こんなに怖いとは思わなかった
「将来の夢は何ですか?」
この質問を聞いただけで、
心臓がドクンと音を立てたのは、27歳になってから初めてだった。
就活でもない。
面接でもない。
なのに、なぜか一番答えに詰まる質問。
それが、
婚活パーティの自己紹介タイムだった。
名前は、もとし。27歳。独身。
父・母・弟と4人暮らし。
趣味は読書、朝散歩、プラモデル作り。
人生で一度もモテ期を実感したことはないが、
「いつかはちゃんと結婚したい」と、
人知れず本気で思っているタイプだ。
そんな僕が、
この日、たった一言で会場の空気を変えてしまうことになる。
ただし――
その理由は、まだ言えない。
第1章|「普通に話せば大丈夫」その油断がすべての始まり
婚活パーティ当日。
会場は、駅前の小さなホテルの会議室。
白い丸テーブルが並び、
番号札とプロフィールカードが置かれている。
開始10分前。
すでに何人か座っていて、
男性陣はなぜか全員、同じような緊張顔をしていた。
(大丈夫だ、今日は普通に話そう)
最近読んだ恋愛系の本には、こう書いてあった。
「婚活では、無理にウケを狙わないこと」
「誠実さと等身大が一番」
その言葉を信じ、
今日は“盛らない自分”でいくと決めていた。
実際、最初の自己紹介は順調だった。
「もとしです。27歳です」
「趣味は読書と、朝の散歩です」
女性たちは、にこやかにうなずいてくれる。
(いけてる…?)
少しだけ、
胸の奥に安心が広がった。
このときの僕は、
まだ何も分かっていなかった。
第2章|プロフィールカードに潜む「静かな地雷」
自己紹介のあとは、
プロフィールカードを見ながらのフリートーク。
カードには、こう書かれている。
趣味
休日の過ごし方
好きな食べ物
将来の夢
……最後の項目。
「将来の夢」
ここを見た瞬間、
僕の指先が、ほんの少し冷たくなった。
周りを見渡すと、
他の男性たちは、すでに書き終えている様子。
チラッと見えた文字。
「安定した家庭を築きたい」
「温かい家庭」
「幸せな結婚」
……なるほど。
正解例が並んでいる。
(じゃあ、僕も同じでいいか)
そう思った、
ほんの一瞬のあと。
なぜか、ペンが止まった。
(でも、それって…本音か?)
頭の中に、
毎朝の散歩中に考えていることがよぎる。
本を読みながら、
プラモデルを組み立てながら、
ひとりでニヤニヤしてしまう、あの妄想。
――いや、やめておこう。
今日は“普通”でいくんだ。
そう決めて、
ゆっくりとペンを動かした。
第3章|「いい人そうですね」その言葉が、なぜか刺さる
最初に話した女性は、
柔らかい雰囲気の人だった。
「趣味、読書なんですね」
「朝散歩って、健康的ですね」
会話は穏やかで、
特に盛り上がりもしないが、
悪くもない。
(こういうのでいいんだよな…)
そんな空気の中、
彼女が、カードを指さして言った。
「将来の夢、書いてますね」
その瞬間、
胸の奥が、ズンと重くなった。
「はい…一応」
自分で書いた文字なのに、
なぜか他人事みたいに感じる。
「いいですね。堅実そう」
そう言われて、
なぜか素直に喜べなかった。
(堅実…?)
安心が、
少しずつ不安に変わっていく感覚。
周囲のテーブルからは、
楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
(僕、ちゃんとここにいていいのか?)
そんな考えが、
頭をかすめ始めていた。
第4章|そして来た「全員が聞く時間」
スタッフの声が響く。
「では次に、
“将来の夢”について一言ずつお願いします!」
――来た。
心臓の鼓動が、
急に速くなる。
周りの男性が、
次々と答えていく。
「温かい家庭を築きたいです」
「家族を大切にできる人になりたいです」
女性たちは、
うなずきながらメモを取る。
(みんな、ちゃんとしてる…)
そして、
順番が僕に近づく。
喉が、
カラカラに乾いていく。
(書いた通りに言えばいい)
頭では分かっているのに、
なぜか胸の奥がザワつく。
そして、
ついに僕の番が来た。
「えー…もとしさん、お願いします」
会場の視線が、
一斉に集まる。
その瞬間――
ある違和感に、気づいてしまった。
(……あれ?
これ、本当に今言いたいことか?)
第5章|口を開いた瞬間、空気が変わった(気がした)
深呼吸をして、
口を開いた。
「僕の将来の夢は――」
ここで、
ほんの一瞬、間が空いた。
なぜか、
会場が静かになった気がした。
(しまった、間が空きすぎた)
頭の中が、
一気に真っ白になる。
そして次の瞬間、
自分でも予想していなかった言葉が、
口から出かけた――
……が。
ここから先は、
今は書けない。
なぜなら、
このあと数秒で起きた出来事が、
この日のすべてを決定づけたからだ。
無料部分のラスト|この空気、気のせいじゃない
言い終えた直後。
誰かが、
小さく息を吸う音が聞こえた。
視線が、
一瞬だけ揺れた。
笑い声か、
沈黙か。
どちらでもない、
妙な間。
(あれ…?)
自分の顔が、
じわっと熱くなる。
でも、
まだこの時点では分からなかった。
なぜ、
笑われたのか。
誰が、
何を聞いていたのか。
そして、
あの一言が、どんな連鎖を生んだのかを。
――続きは、有料部分で。
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