中小企業に専任のAI担当者は必要?採用・兼任・外部支援のコストと向き不向き
中小企業に専任のAI担当者は必要?採用・兼任・外部支援のコストと向き不向き
公開日:2026年7月13日
最終更新日:2026年8月2日
※本記事で紹介する調査結果やサービス内容は、最終更新日時点の情報です。
結論:専任者は必須ではない。ただし「責任者」は必要です
中小企業に、専任のAI担当者が必ず必要とは限りません。
ただし、AIを使う業務を決め、安全な使い方を整え、効果を確認し、改善を続ける責任者は必要です。
その役割を確保する方法は、専任者の採用だけではありません。既存社員による兼任、特定課題だけを依頼するスポット支援、継続的な伴走支援など、会社の業務量や目的に合わせた選択肢があります。
判断の順番は、「誰を採用するか」からではありません。
> まず必要な仕事を明らかにし、その仕事量と責任範囲に合う体制を選ぶ。
これが、中小企業におけるAI担当者選びの基本です。
この記事では、4つの方法を同じ基準で比較し、自社に専任者が必要かどうかを判断する方法を整理します。
この記事で分かること
本記事でいう「AI担当者」の仕事内容
専任採用・社内兼任・外部支援の違い
金額だけでは見えないコストの比べ方
採用を決める前に確認したい7項目
90日間で必要性を検証する方法
本記事でいう「AI担当者」とは
「AI人材」や「AI担当者」という言葉は、会社によって意味が異なります。
AIモデルを開発するエンジニアを指すこともあれば、生成AIの利用ルールを作る担当者、社内の業務改善を進める担当者を指すこともあります。役割が違えば、必要なスキルも給与水準も変わります。
本記事でいうAI担当者は、AIモデルを開発するエンジニアではありません。次の役割を担う「社内のAI活用推進者」を指します。
現在の業務を棚卸しする
AIを試す業務を選ぶ
入力してよい情報や確認手順を整える
経営者・現場・外部支援会社を調整する
作業時間や手戻りの変化を確認する
使い方を見直し、次の改善へつなげる
プログラムを書けることよりも、自社の業務を理解し、関係者を動かし、改善を続けられることが重要な役割です。
そのため、「AI人材の平均年収」をそのまま採用予算の根拠にするのは適切ではありません。AIエンジニア、DX責任者、社内の業務改善担当者では、任せる仕事も必要な能力も異なるからです。
先に仕事内容を決め、その仕事に必要な経験と給与水準を確認してください。
専任担当者がいる中小企業は、まだ少数です
中小企業基盤整備機構が2026年3月に公表した「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」では、無作為抽出した中小企業・小規模事業者1万社へ調査票を送り、1,668社から有効回答を得ています。
この調査で、AI・ITの導入や活用を推進する「専任担当者がいる」と答えた企業は3.0%、「専任ではないが推進担当者がいる」は11.1%でした。一方、「特定の担当者はおらず、経営者や現場従業員が個別に推進している」は85.9%でした[1]。
これは、生成AI担当者だけを調べた数字ではありません。AI・IT全般の推進体制について尋ねた調査です。それでも、中小企業で専任者を置くことが一般的とはいえない現状を知る参考になります。
同じ調査では、AI導入後の運用課題として「運用担当者の負荷が重い」が29.1%、「従業員による活用が進まない」が28.9%でした[1]。
ここから読み取るべきなのは、「専任者が少ないから、担当者を置かなくてよい」ということではありません。
専任者を採用しない会社ほど、誰が、どの仕事について、どこまで責任を持つかを決める必要があります。
すでにChatGPTなどを導入したものの社内で使われていない場合は、別記事「ChatGPTを導入したのに使われない7つの理由」で、対象業務・利用ルール・推進役の確認方法を解説しています。
AI推進の役割を確保する4つの方法
代表的な方法は、次の4つです。
1. 専任担当者を採用する
給与、賞与、会社負担の社会保険料等、採用費、機器・ツール費などが発生します。募集前に、任せる業務、必要な能力、判断権限、評価方法を定める必要があります。
複数部署の調整や継続的な改善が常に発生し、AI活用が事業の中核になる会社では有力な選択肢です。
2. 既存社員が兼任する
新たな採用費を抑えやすく、自社業務を理解していることが強みです。一方、AI推進に使う時間を正式に確保しなければ、本来業務が優先され、改善活動が後回しになりやすくなります。
「AIに詳しそうだから」という理由だけで任せず、役割、活動時間、権限、相談先を決める必要があります。
3. スポット型の外部支援を利用する
研修、業務診断、特定ツールの開発など、解決したい課題が明確な場合に利用しやすい方法です。
契約前に、成果物、実装範囲、追加費用、支援終了後の運用担当者を確認します。
4. 継続的な伴走支援を利用する
何から始めるか決まっていない場合や、診断から改善まで継続して相談したい場合の選択肢です。
ただし、外部支援を使っても社内の仕事がゼロになるわけではありません。業務内容の説明、資料の提供、成果物の確認、利用ルールの承認、社内への周知、最終判断は社内に残ります。
「丸投げできるか」ではなく、社内と外部の役割をどう分けるかで考えることが大切です。
研修、コンサル、開発、伴走支援の違いは、別記事「AI導入支援の選び方」で詳しく整理しています。
金額だけでは見えない、4つのコスト
専任採用と外部支援は、稼働時間・権限・責任・対応範囲が異なります。そのため、給与と月額料金だけを並べても、公平な比較にはなりません。
以下は選択肢を比較するための概算項目です。会計・税務上の正式な原価計算ではありません。
専任採用のコスト
> 給与+賞与+会社負担の社会保険料等+採用費+機器・AIツール費+教育・管理工数
年収だけでなく、採用活動、入社後の教育、評価やマネジメントにも時間がかかります。
社内兼任のコスト
> AI推進に使う時間×社内時間単価+本来業務への影響+教育・AIツール費
兼任は追加の現金支出が少なく見えます。しかし、担当者の時間は無料ではありません。
本来業務を後回しにする影響まで含めて判断する必要があります。
スポット支援のコスト
> 契約料金+追加作業費+AIツール費+社内の説明・確認工数
課題が明確な場合に利用しやすい一方、支援が終わった後に誰が運用・改善するかを決めておく必要があります。
継続的な伴走支援のコスト
> 月額料金+個別見積り+AIツール費+社内の説明・調整・確認工数
月額内の作業量、対応時間、実装範囲、追加費用が発生する条件を確認します。
どの方法でも、手順や判断理由を残さなければ属人化します。専任者を採用しただけでも、外部支援を契約しただけでも、知見が自動的に会社へ蓄積されるわけではありません。
仕事量と責任範囲から選ぶ
現在の状況ごとに整理すると、次のように考えられます。
まず1業務だけ検証したい:社内兼任またはスポット支援
毎週数時間の相談・改善が必要:社内兼任または継続的な伴走支援
複数部署を継続的に調整する:権限を持つ社内責任者と外部支援の併用
AI活用が中核事業で、常時取り組む仕事がある:専任採用を検討
独自AIシステムを開発・運用する:エンジニア採用または開発会社への依頼
兼任から始める場合は、本人の意欲だけに任せないことが重要です。
経営者が役割を正式に認める
毎週一定の活動時間を確保する
最初の対象業務を絞る
関係部署へ確認や改善を依頼できる権限を与える
利用ルールや判断理由を文書化する
困ったときの相談先を用意する
この条件がないまま任命すると、担当者個人の善意に依存した活動になります。
採用を決める前に確認したい7項目
専任者の募集を始める前に、次の質問へ答えられるか確認してください。
[ ] 任せたい業務と責任範囲を説明できるか
[ ] フルタイム相当の業務量があるか
[ ] 必要なスキルと採用予算が合っているか
[ ] AI活用を始めたい時期と、採用に使える期間が合っているか
[ ] 担当者に判断権限・予算・経営者の支援を与えられるか
[ ] 担当者が変わっても知見が残る仕組みを作れるか
[ ] その人の成果を、どの数字で評価するか決まっているか
成果指標は、ChatGPTの利用回数だけとは限りません。
対象業務にかかる作業時間
修正や手戻りの回数
処理できる件数
AIを利用する部署や社員の範囲
実装・改善した業務の数
残業時間や顧客対応時間の変化
毎日AIを開いていても、業務が変わっていなければ成果とはいえません。反対に、月1回の業務でも、半日かかっていた作業を短縮できれば、会社にとって意味のある改善になり得ます。
採用の前に、90日で必要性を検証する
専任者が必要か分からない場合は、先に小さく試し、実際の業務量を記録する方法があります。
90日は公的な採用判断基準ではありません。短期の試用だけで終わらせず、判断を長く先送りしないために、AIよろず室が提案する目安です。会社の業務周期に応じて調整してください。
1〜30日目:対象業務を1つ決める
毎週・毎月発生する業務を棚卸しし、最初に試す業務を1つ選びます。正確性を人が確認でき、失敗した場合の影響が小さい業務から始めます。
31〜60日目:担当者を仮置きして試す
社内兼任、スポット支援、継続的な伴走支援のいずれかで試します。担当者には、活動時間と確認を依頼できる権限を与えます。
61〜90日目:必要だった仕事を記録する
次の項目を記録します。
週に何時間必要だったか
相談や判断が何件発生したか
関係した部署はいくつか
実装やツール変更が何回必要だったか
作業時間や手戻りはどう変わったか
社内だけでは判断できなかったことは何か
今後も継続して担当すべき仕事は何か
90日後に、実際の仕事量と必要な権限をもとに、専任採用、社内兼任、外部支援の継続を判断します。
採用ありきで人を探すのではなく、先に仕事を明らかにしてから、その仕事に合う体制を選ぶ考え方です。
「自社の場合、90日間で何を試せばよいか」を整理したい場合は、AIよろず室の30分無料相談で、最初に試す業務と担当体制を一緒に整理します。売り込みや、その場での契約のお願いはいたしません。
AIよろず室の「AI担当者の外部化」
AIよろず室では、継続的な伴走支援を「AI担当者の外部化」と表現しています。
月額39,800円(税別)のプランには、次の内容が含まれます。
月1回60分の定例ミーティング
チャットでの相談
業務診断・AI活用ロードマップ
3時間以内で完結する軽微な実装
初期費用と最低契約期間はありません。解約は前月末までのご連絡で受け付けています。
外部システム連携や複数部門をまたぐ開発など、規模の大きいものは内容を確認したうえで個別に見積もります。追加費用が必要な場合は、事前に見積書を提示し、合意いただいてから着手します。
個別に実装したツールの利用権は、納品後にお客様へ帰属します。利用権の具体的な範囲、ソースコードや設定情報の引き渡し、第三者サービスやオープンソースソフトウェアの扱いは、個別の契約内容によります。
月額39,800円のプランは、支援の入口となる選択肢の1つです。月額の範囲に収まらないご要望についても、内容に応じた支援をご案内します。
金額だけで、採用と比べないでください
専任採用と月額の外部支援は、稼働時間・権限・責任・対応範囲が異なります。
AIよろず室は、フルタイム社員の仕事をすべて代行するサービスではありません。月額で定めた範囲から、診断・相談・軽微な実装などを支援するものです。
業務情報の共有、成果物の確認、社内への周知、最終判断には、お客様側の協力が必要です。
すでに専任のAI・DXチームが機能している会社や、大規模システムの一括開発だけを依頼したい会社、社内の協力なしで全てを丸投げしたい会社には向いていません。
料金と支援範囲の詳しい考え方は、別記事「月3万円台のAI導入支援で、どこまでできる?」でも解説しています。
よくある質問
外部支援を使うと、社内にノウハウが残らないのでは?
外部支援を使っただけで、知見が自動的に社内へ残るわけではありません。契約前に、手順書、利用ルール、設定情報、判断理由など、支援終了後に何が引き渡されるかを確認してください。
AIよろず室での具体的な成果物も、対象業務と支援内容に応じて事前に確認します。
採用と外部支援は併用できますか?
併用できます。外部支援で対象業務や必要な役割を整理し、その後に採用した担当者や社内兼任者へ移行する方法もあります。
ただし、引き継ぎ資料の作成や移行支援が契約に含まれるかは、事前に確認してください。
兼任担当者にAI研修を受けさせれば十分ですか?
研修は基礎知識や操作方法を学ぶうえで有効です。ただし、研修だけで日常業務への利用まで定着するとは限りません。
研修とあわせて、対象業務、活動時間、利用ルール、相談先、改善担当を決める必要があります。
最初から専任者を採用したほうが早く進みませんか?
AI活用が中核事業で、任せる仕事と権限が明確なら、専任採用が合理的な場合があります。
一方、対象業務や仕事量が分からない段階で採用すると、採用要件も成果の評価方法も曖昧になります。まず90日間で仕事量を確認し、それから採用へ進む方法も検討してください。
まとめ
中小企業に専任のAI担当者が必ず必要とは限らない
ただし、対象業務・利用ルール・効果測定・改善に責任を持つ役割は必要
採用、兼任、外部支援は、金額だけでなく社内工数と対応範囲を含めて比較する
専任採用を決める前に、90日間の試行で実際の業務量を把握する方法がある
外部支援を利用しても、社内の説明・確認・意思決定は必要
AI担当者を採用すべきか、兼任で進めるべきか、外部支援を使うべきか迷っている場合は、AIよろず室の30分無料相談で、現在の業務量と必要な役割を一緒に整理します。
相談後にその場で契約を求めたり、繰り返し無理な勧誘をしたりすることはありません。
この記事を書いた人
AIよろず室。
中小企業を対象に、業務診断、AI活用ロードマップ、実装、社内定着までを支援しています。代表は、IT業界20年以上のエキスパートです。
参考資料
[1]独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月)
[2]独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」(2025年10月9日公開)
※[2]は執筆者の見解に基づくディスカッション・ペーパーであり、IPAの公式見解を示すものではありません。また、DX人材全般を対象とした資料であり、生成AI担当者や中小企業だけを示すものではありません。
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