見出し画像

生成AIの社内アンケート項目|利用実態を把握する12の質問と集計後の進め方

公開日:2026年7月19日/最終更新日:2026年7月19日
※生成AIの機能、料金、データ利用条件は変わることがあります。本記事は執筆時点の情報です。

結論:「使っていますか?」だけでは、次の施策を決められない

社内の生成AI活用を調べるとき、「ChatGPTを使っていますか?」だけを聞いても、実態は分かりません。

会社が許可した環境で業務に使っている人、個人アカウントで試している人、使っているが効果を感じていない人、興味はあるが安全面が不安で使えない人が、同じ「利用者」「未利用者」にまとめられてしまうからです。

次の施策を決めるには、利用頻度だけでなく、利用環境・対象業務・効果・確認方法・相談先まで分けて調べる必要があります。

この記事では、中小企業がそのまま使える12の質問と、集計後に回答を施策へ変える方法を紹介します。

この記事で分かること

  • 生成AIの社内利用実態を把握する12の質問

  • 本音を集めやすくするアンケートの実施方法

  • 回答を研修、ルール整備、業務改善へつなげる4タイプ分類

社員が不安を感じる背景は「社員が生成AIを嫌がる7つの理由」、集計結果を踏まえて方針を伝える方法は「生成AI導入の社内説明会で伝えるべき10項目」も参考にしてください。


なぜ、生成AIの社内アンケートが必要なのか

全国的な調査を見れば、生成AIがどの程度使われているかは分かります。しかし、その数字を自社の利用率と比べるだけでは、何を改善すべきかは決まりません。

総務省の「令和7年版 情報通信白書」では、生成AIの活用方針を「積極的に活用する」「活用する領域を限定して利用する」と回答した日本企業は、2024年度に49.7%でした。一方、中小企業では活用方針を明確に定めていないという回答が約半数とされています。また、日本で何らかの業務に生成AIを使用している割合は55.2%でした[1]。

ここから分かるのは、日本企業全体の傾向です。自社について知りたいのは、次のような事実ではないでしょうか。

  • 誰が、どの業務で使っているか

  • 会社が許可した環境を使っているか

  • 時間削減や品質向上につながっているか

  • AIの回答を人が確認しているか

  • 使えない理由は知識不足か、ルール不足か、必要性がないのか

  • 問題が起きたときの相談先を知っているか

社内アンケートの目的は、利用率を良く見せることではありません。活用できている業務、止まっている理由、見えていないリスクを同じ地図に載せることです。


アンケートを配る前に決める5つのこと

質問項目より先に、回答しやすい条件を整えます。

1. 原則として匿名にする

個人名を集めると、「個人アカウントを使った」「入力してよい情報か迷った」といった回答が出にくくなります。部署別の傾向を見る必要がある場合も、人数の少ない部署では個人が推測されないようにします。

個別に詳しく聞きたい場合は、最後に「ヒアリングに協力できる方は、別フォームへ連絡先を入力してください」と分ける方法があります。アンケート本体と氏名を直接結びつけない設計です。

2. 処罰や人事評価に使わないと明記する

冒頭に、目的は取り締まりではなく、安全で役立つ利用環境を整えることだと書きます。未承認ツールの利用が見つかった場合も、個人を責める前に、なぜ公認の選択肢で用が足りなかったのかを確認します。

3. 回答時間を5〜7分に収める

質問が多すぎると、AIに関心が高い人だけが回答し、実態が偏ります。選択式を中心にし、自由記述は二つ程度に絞ります。

4. 調査期間を明記する

「これまでに使ったことがあるか」と「直近1か月で使ったか」では結果が変わります。今回は直近1か月など、回答の対象期間をそろえてください。

5. 機密情報を書かないよう注意する

自由記述に顧客名、社員名、契約内容、未公開情報を書かないよう、フォーム上に注意書きを入れます。具体例は「A社」「採用候補者」などに置き換えてもらいます。


コピペして使える「生成AIの社内利用実態アンケート」12問

以下は、そのままフォームへ移せるひな形です。自社で利用を許可しているサービス名や相談先に合わせて調整してください。

アンケート冒頭文

このアンケートは、生成AIの利用状況を把握し、安全で役立つ利用環境を整えるために実施します。個人を評価・処罰する目的ではありません。回答は統計的に集計します。顧客名、社員名、契約情報などの機密情報は記入しないでください。回答時間の目安は5〜7分です。

質問1:所属する業務領域を教えてください

回答形式:一つ選択

  • 営業・顧客対応

  • 総務・人事・経理

  • 企画・マーケティング

  • 製造・技術・開発

  • 経営・管理

  • その他

  • 回答しない

部署名を細かく聞くより、業務領域でまとめる方が匿名性を保ちやすくなります。

質問2:直近1か月に、業務で生成AIをどの程度使いましたか

回答形式:一つ選択

  • ほぼ毎日

  • 週に数回

  • 月に数回

  • 一度だけ試した

  • 直近1か月は使っていない

  • 生成AIが何を指すか分からない

「使ったことがある」だけでは、定着している人と一度試した人を分けられません。

質問3:業務で使った生成AIの環境を教えてください

回答形式:複数選択可

  • 会社が契約・許可したアカウント

  • 会社が許可した無料サービス

  • 個人で契約した有料アカウント

  • 個人の無料アカウント

  • ブラウザや業務ツールに組み込まれたAI

  • どの環境か分からない

  • 利用していない

この質問で、単なる利用率では見えない「公認利用」と「管理外利用」を分けます。

質問4:生成AIを使い始めたきっかけを教えてください

回答形式:一つ選択

  • 会社・上司から案内された

  • 同僚から教わった

  • 自分で調べて始めた

  • 取引先や外部支援者から教わった

  • 使っていない

  • 覚えていない

社内の案内が届いているのか、個人の自発性だけに依存しているのかが分かります。

質問5:どの業務で使いましたか

回答形式:複数選択可

  • 情報収集、調査の補助

  • メール、案内文、報告書の下書き

  • 会議メモ、議事録、長文の要約

  • アイデア出し、企画の整理

  • 翻訳、言い換え、校正

  • 表やデータの整理・分析

  • 画像、動画、音声の作成

  • プログラム、関数、業務自動化

  • 顧客対応、営業準備

  • 利用していない

  • その他

質問6:繰り返し使っている業務を一つ教えてください

回答形式:短い自由記述

記入例:週次会議のメモを要点と担当者別のタスクに整理する。

※顧客名、社員名、金額、契約条件などの機密情報は書かないでください。

用途のチェックだけでなく、頻度のある具体的な業務を一つ聞くと、次に標準化する候補を見つけやすくなります。

質問7:質問6の業務で、作業時間はどう変わりましたか

回答形式:一つ選択

  • 半分以下になった

  • 2〜4割程度減った

  • 少し減った

  • ほとんど変わらない

  • むしろ増えた

  • 測っていない・分からない

  • 質問6に回答していない

厳密な時間を覚えていない人も多いため、最初の調査では幅で聞きます。次の実証対象に選んだ業務だけ、導入前後の分数を改めて測ります。

質問8:生成AIの回答を、どのように確認していますか

回答形式:一つ選択

  • 毎回、元資料や信頼できる情報と照合する

  • 数字、固有名詞、社外向け文章など重要な箇所を確認する

  • 読み直すが、元資料との照合まではしない

  • ほとんど確認せず使うことがある

  • 確認方法が分からない

  • 利用していない

利用者数が増えても、確認方法が共有されていなければ、会社として安全に活用できているとは言えません。

質問9:業務で生成AIへ入力した情報に近いものを教えてください

回答形式:複数選択可

  • 公開済みの情報だけ

  • 架空の例や匿名化した情報

  • 自社の一般的な業務情報

  • 社外秘・未公開の社内情報

  • 顧客、取引先、社員などの個人情報・機密情報

  • 入力した情報の分類が分からない

  • 利用していない

  • 回答しない

この質問は匿名で行い、正直な回答を責めないことが前提です。「社外秘」「個人情報」に回答があった場合は、個人探しではなく、入力ルール、許可環境、削除・報告手順を見直します。

質問10:生成AIを使ううえで困っていることを教えてください

回答形式:複数選択可

  • どの業務に使えるか分からない

  • 指示の出し方が分からない

  • 回答が正しいか判断できない

  • 入力してよい情報が分からない

  • 会社が許可するツールやアカウントが分からない

  • 利用できる端末・環境がない

  • 試す時間がない

  • 自分の業務では必要性を感じない

  • 特に困っていない

  • その他

未利用者を「意欲がない」とまとめず、知識、ルール、環境、時間、必要性のどこで止まっているかを分けます。

質問11:生成AIについて迷ったときの相談先を知っていますか

回答形式:一つ選択

  • 知っており、相談したことがある

  • 知っているが、相談したことはない

  • 相談先があるか分からない

  • 相談先はないと思う

相談窓口が存在しても、知られていなければ機能していません。窓口名を知っているかではなく、実際に相談できる状態かを確認します。

質問12:会社にどのような支援があると使いやすいですか

回答形式:複数選択可+任意の自由記述

  • 自分の業務に合う使い方の提案

  • 具体的な業務を使った短時間の練習

  • 入力してよい情報・禁止情報の明確化

  • 会社が許可するツールとアカウントの整備

  • すぐ相談できる窓口

  • 部署別のプロンプトや手順書

  • うまくいった事例の共有

  • 特に必要ない

  • その他

「AI研修を受けたいですか」と先に解決策を限定せず、必要な支援の種類を聞くのがポイントです。


アンケートで避けたい3つの聞き方

「生成AIに満足していますか」だけを聞く

満足度が低くても、ツールが悪いのか、対象業務が合わないのか、使い方が分からないのか判断できません。満足度を聞く場合も、具体的な業務、効果、困りごとと組み合わせます。

「使わない理由は何ですか」と未利用者だけに聞く

利用者にも、効果が出ない、確認に時間がかかる、安全性が不安といった障壁があります。質問10は全員へ聞いてください。

氏名つきで違反や失敗を告白させる

管理外利用や誤入力の実態を知りたいなら、処罰を連想させる聞き方は逆効果です。事故の個別報告窓口と、傾向を把握する匿名アンケートを分けます。

アンケート項目は作れても、「結果をどの業務改善につなげればよいか」で止まることがあります。AIよろず室の30分の無料相談では、集計結果や現在の業務を伺い、最初に改善する候補を一つ整理します。売り込みや、その場での契約のお願いはいたしません。


集計後は「公認利用」と「効果」で4タイプに分ける

全社員の利用率を一つ出すだけでは、研修をするべきか、ルールを作るべきか、業務を変えるべきかが分かりません。

AIよろず室では、回答をまず「会社が許可した環境で使っているか」と「具体的な業務で効果が出ているか」の二つで見ます。これは公的な診断基準ではなく、施策の優先順位を決めるための実務フレームです。

タイプ1:公認環境で使い、効果も出ている

成功例を聞き取り、対象業務、入力例、確認方法を短い手順書にします。全社へ一斉展開するのではなく、似た業務を持つ人へ共有します。

タイプ2:公認環境で使っているが、効果が出ていない

プロンプト研修をすぐ行う前に、対象業務がAIに合っているかを確認します。元資料が不足している、毎回条件が違う、最終確認に時間がかかる場合は、業務の分け方や手順を変える必要があります。

タイプ3:管理外の環境を使っている

単に禁止すると、利用が見えなくなる恐れがあります。なぜ個人アカウントが必要だったのか、会社の環境ではできないことがあったのかを確認します。そのうえで、許可環境への移行、入力禁止情報、過去の入力に問題があった場合の相談方法を案内します。

タイプ4:使っていない

未利用者を一括りにしません。「必要な業務がない」人に利用を強制する必要はありません。一方、使いたいがルール、環境、相談先がなく止まっている人には、短い説明と一つの業務での試行が有効です。

この4分類に、質問8の確認方法と質問11の相談先を重ねると、活用と安全のどちらを先に整えるべきかが見えてきます。


集計で見るべき5つの指標

経営者へ報告するときは、回答を大量のグラフにする必要はありません。次の五つを、分子と分母を明記して示します。

  1. 回答率:対象者のうち何人が回答したか

  2. 継続利用率:回答者のうち、直近1か月に月数回以上使った人の割合

  3. 公認環境利用率:利用者のうち、会社が許可した環境を使う人の割合

  4. 業務効果の把握率:繰り返す業務と時間変化の両方を答えられた人の割合

  5. 安全運用の準備率:重要な出力を確認し、相談先も認識している人の割合

特に注意したいのが、非回答者の扱いです。回答しなかった人を自動的に「未利用」と数えると、実態とは異なる可能性があります。

社内調査を公開した石丸製麺は、185人中145人の回答をもとに利用状況を報告し、全社ベースの計算では未回答者を非利用者として扱ったことを注記しています[3]。このように仮定を置く場合は、必ず明記してください。

基本は「回答者145人中○人」と示し、対象者全体の割合を出す場合は「未回答者40人の利用状況は不明」と併記します。数字を大きく見せることより、次回も比較できる集計方法を固定することが重要です。


集計後30日で行うこと

アンケート結果を報告書にして終わらせないため、最初の30日で一つだけ改善します。

1週目:4タイプと5指標で集計する

部署ごとの順位づけではなく、公認利用、業務効果、確認方法、相談先のどこに抜けがあるかを確認します。人数が少ない区分はまとめ、個人が推測されないようにします。

2週目:各タイプから1〜2人へ追加で聞く

成功している人には「実際に何を入力し、何を確認しているか」、効果が出ない人には「どこに時間がかかるか」を聞きます。管理外利用者を個人特定するのではなく、匿名回答で見えた構造を確認します。

3週目:改善する業務を一つ決める

頻度が高い、時間がかかる、手順が比較的決まっている、人が最終確認できる、安全に試せるという条件で選びます。同時に、会社が許可する環境と入力ルールを決めます。

4週目:小さく試し、導入前後を測る

利用者、期間、業務、確認者、測る数字を決めて試します。アンケートの「感覚として速くなった」を、作業時間や修正回数などの記録へ変えます。

3か月後または半年後に同じ質問で再調査すると、利用率だけでなく、公認環境への移行、確認方法、相談先の認知が改善したかを比較できます。頻度は会社の変化に合わせればよく、毎月実施する必要はありません。


よくある質問

Q. 小規模な会社でも匿名にする必要がありますか?

人数が少ないほど、部署や役職から個人が推測されやすくなります。全社で一つに集計する、所属を任意にする、自由記述を原文のまま共有しないなどの配慮が必要です。匿名性を保てない場合は、アンケートよりも、目的を説明した短い面談の方が適することもあります。

Q. 回答率が低い場合はどうすればよいですか?

未回答者を未利用と決めつけず、回答時間、実施目的、匿名性、経営者からの説明を見直します。AIに関心がある人だけが答えると、利用率が実態より高く見える可能性があります。

Q. 未承認の個人アカウント利用が見つかったら、どう対応しますか?

まず、機密情報や個人情報を入力した可能性がある場合の報告先を案内します。その後、未承認環境を使った理由を確認し、許可するサービス、入力禁止情報、アカウント管理を整えます。重大な事故が疑われる場合は、社内の情報管理責任者や必要に応じて専門家へ相談してください。

Q. アンケート結果だけで、導入するツールを選べますか?

利用環境や要望は参考になりますが、人気投票だけで選ぶべきではありません。扱うデータ、管理機能、既存環境、契約条件、対象業務での検証を合わせて判断します。

Q. 月額39,800円のプランしかありませんか?

AIよろず室の月額プランは、継続的に診断・相談・軽微な実装・定着支援を進める選択肢の一つです。ほかにも課題やご希望に応じた支援をご案内していますので、必要な範囲を無料相談でお聞かせください。


まとめ

  • 生成AIの社内アンケートは、利用率だけでなく、利用環境・業務・効果・確認方法・相談先を分けて調べる

  • 回答は「公認利用」と「業務効果」で4タイプに分けると、標準化、業務再設計、安全対策、障壁解消のどれを行うべきか決めやすい

  • 非回答者を未利用と決めつけず、分母と仮定を明記する

  • 集計後は、30日以内に一つの業務を選び、実際の改善へつなげる

「アンケートは取ったが、何から改善すべきか決められない」という場合は、AIよろず室の30分の無料相談で、回答結果や現在の業務を伺い、最初に取り組む候補を一つ整理します。月額プラン以外にも、課題やご希望に応じた支援をご案内しています。売り込みや、その場での契約のお願いはいたしません。



この記事を書いた人

AIよろず室。中小企業を対象に、業務診断、AI活用ロードマップ、軽微な実装、社内定着までを支援しています。


参考資料

[1]総務省「令和7年版 情報通信白書|企業における生成AI活用」

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112220.html

[2]労働政策研究・研修機構(JILPT)「AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査」調査画面

https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/documents/0256_02.pdf

[3]石丸製麺「生成AI活用実態調査」

https://www.ishimaru.ne.jp/our-ai-initiatives/


#生成AI #ChatGPT #AI活用 #中小企業 #DX #業務効率化 #社内アンケート #利用実態調査 #AI導入 #AI推進 #生成AI活用 #社内DX #業務改善 #働き方改革 #情報セキュリティ #シャドーAI #AIガバナンス #社内ルール #AI研修 #人材育成 #経営者 #中小企業経営 #総務 #人事 #経営企画 #DX推進 #業務棚卸し #生産性向上 #デジタル化 #AI担当者

いいなと思ったら応援しよう!