生成AIで会議を効率化する方法|議事録以外に使う7つの工程
公開日:2026年8月1日/最終更新日:2026年8月1日
※生成AIの機能、料金、データ利用条件は変わることがあります。本記事は執筆時点の情報です。
結論:議事録の完成を速くしても、会議が改善したとは限りません
生成AIの会議活用というと、録音、文字起こし、議事録の要約がよく挙げられます。
確かに、会議後の記録作成を短縮できる可能性があります。しかし、目的が曖昧な会議を正確に文字起こししても、長い記録が早く完成するだけです。決まったことが実行されず、同じ話を翌週も繰り返すなら、会議全体は改善していません。
AIよろず室では、会議の成果物を長い議事録ではなく、次の5点と考えます。
何を決めたか
誰が行うか
いつまでに行うか
何が決まらなかったか
何を根拠に判断したか
生成AIは、この5点を整理する補助に使えます。ただし、AIに「何が決定事項か」を会話から推測させるだけでは危険です。
会議中に、人が「これは決定」「これは宿題」「これは未決」と明示し、AIはその記録を整える。この役割分担が重要です。
この記事では、会議前・会議中・会議後の7工程、コピペして使えるプロンプト、架空の完成例、安全に運用するための確認項目を解説します。
この記事で分かること
生成AIを議事録以外に使う方法
会議前・中・後をつなぐ7工程
決定事項をAIの推測にしない記録方法
会議改善を測る指標
AIに「合意があったか」を推測させない
会議の発言には、賛成、反対、提案、質問、保留、雑談が混ざります。
例えば、次の会話があったとします。
Aさん:「来月から新しい受付方法に変えたいです」
Bさん:「現場の準備が間に合えば、よいと思います」
Cさん:「マニュアルの更新が必要ですね」
司会者:「では、その方向で進めましょう」
この会話だけでは、正式に変更を決めたのか、検討を続けるのか、誰が何をするのか、開始日はいつなのかが分かりません。
生成AIが「来月から新しい受付方法へ変更することを決定」と要約しても、参加者全員の認識と一致する保証はありません。
会議中に司会者が、次のように言葉で確定させます。
「決定:受付方法の変更方針は承認します。開始日は未決です」
「宿題:Cさんが8月8日までにマニュアル更新の工数を確認します」
「未決:開始日は、工数確認後に決めます」
AIよろず室では、この3つを短く「決・宿・未」と呼びます。
決:会議で確定したこと
宿:担当者と期限を伴う次の行動
未:決められなかったこと、追加情報が必要なこと
これはAIよろず室が整理した実務上の方法であり、公的な基準ではありません。重要なのは記号ではなく、人が合意の状態を明示し、AIに推測させないことです。
会議の成果物を5点に絞る
議事録には、発言の経緯を詳しく残す必要がある会議もあります。一方、すべての定例会議で全文に近い記録が必要とは限りません。
日常的な社内会議では、まず次の5点が残れば、実行へ移しやすくなります。
1. 決定事項
決めた内容と適用範囲を書きます。「進める」ではなく、「誰に、どの業務へ、いつから適用するか」を可能な範囲で明確にします。
2. 担当者
部署名だけではなく、次に動く担当者を決めます。複数人の場合も、最初に進捗を確認する責任者を一人置きます。
3. 期限
「早めに」「次回までに」ではなく日付を入れます。期限が決められない場合は、期限を決める日を設定します。
4. 未決事項
決まらなかった理由、追加で必要な情報、次に判断する人と日を残します。決められなかったことを議事録から消すと、次回また最初から話すことになります。
5. 判断根拠
すべての発言を残す代わりに、決定へ影響した主要な数値、顧客要望、制約、比較案を残します。後から前提が変わったとき、決定を見直すために使います。
生成AIを会議へ使う7つの工程
工程1:そもそも会議が必要か判断する
生成AIへ過去の議題と目的を渡し、次のように分類させます。
共有だけで済む内容
個別確認で済む内容
複数人で判断する必要がある内容
判断材料が不足し、今は会議を開けない内容
AIの分類を人が確認し、共有だけなら文書やチャットへ変えます。生成AIで会議を効率化する最初の方法は、議事録を速く作ることではなく、不要な会議を開かないことです。
工程2:会議の終了条件を決める
「新商品の進捗確認」のようなテーマだけでは、会議がいつ終わるか分かりません。
終了条件を「発売日を決める」「追加調査の担当者と期限を決める」「3案から次に検証する1案を選ぶ」のように書きます。
生成AIには、目的から終了時に必要な判断を洗い出させます。最終的な終了条件は主催者が決めます。
工程3:論点と事前資料を整理する
過去の決定、現在の数値、選択肢、制約を基に、論点案を作らせます。
このとき、AIへ一般的なアジェンダを作らせるだけでは不十分です。各論点に「会議で何を決めるか」「判断に必要な資料」「資料の責任者」を付けます。
必要な資料がそろっていなければ、会議で結論を求めず、情報収集の担当者と期限を決める会へ変更します。
工程4:会議中に「決・宿・未」を明示する
録音や文字起こしがあっても、司会者は決定の瞬間に言葉で確認します。
決定内容はこれでよいか
担当者は誰か
期限はいつか
まだ決まっていないことは何か
参加者が異議を述べられる短い確認時間を取ります。AIは合意を作る人ではなく、明示された合意を整理する人です。
工程5:AIに5点の下書きを作らせる
会議後、文字起こしや確認済みメモから、決定事項、担当者、期限、未決事項、判断根拠を抽出させます。
「不明な箇所は推測せず、不明と表示する」「決・宿・未と明示された発言を優先する」と指示します。
工程6:人が元記録と照合する
主催者または指定された確認者が、固有名詞、数字、日付、担当者、決定と提案の違いを確認します。
AIが作った自然な文章を読むだけでなく、元のメモや録音の該当箇所へ戻ります。確認できない決定事項は確定扱いにしません。
工程7:次回会議ではなく、実行へつなぐ
確認済みの宿題をタスク管理表へ移し、担当者と期限を設定します。未決事項は、必要な情報、確認担当、再判断日を付けます。
次回の会議で全議事録を読み返すのではなく、未完了の宿題と未決事項から始めます。
コピーして使える「会議前プロンプト」
次のプロンプトへ、会議の目的、参加者、過去の決定、今回使える資料を付けてください。
会議前プロンプト
あなたは会議設計の補助者です。以下の情報だけを使い、会議を開く必要性とアジェンダ案を整理してください。
守る条件は次のとおりです。
情報共有だけで済む内容と、複数人の判断が必要な内容を分ける
情報不足の論点は、推測せず不足資料を示す
会議終了時に何が決まっていればよいかを、論点ごとに書く
各論点に必要な資料、資料の責任者、想定時間を付ける
過去に決定済みの内容を再び議題にしない
参加する必要がない可能性のある役割を示す
会議を開かず文書共有や個別確認で済む場合は、その案を先に示す
出力順は、会議の必要性、終了条件、事前に不足している情報、アジェンダ案、参加者ごとの準備、会議以外の代替案としてください。
コピーして使える「会議後プロンプト」
会議後プロンプト
あなたは会議記録の補助者です。以下の確認済みメモまたは文字起こしから、実行に必要な情報を整理してください。
守る条件は次のとおりです。
「決定」「宿題」「未決」と明示された発言を優先する
提案や賛成意見を、決定事項へ変えない
担当者または期限が不明な宿題は、推測せず「要確認」とする
入力にない日付、数値、固有名詞、理由を追加しない
判断根拠は、記録にある主要な事実だけを書く
発言者の評価、感情、意図を推測しない
個人情報や機密情報を、入力以上に広げない
次の順番で出力してください。
決定事項
宿題:担当者、期限、完了条件
未決事項:不足情報、確認担当、再判断日
判断根拠
次回確認する項目
人が元記録と照合すべき箇所
最後に、担当者・期限・決定の有無が曖昧な箇所だけを一覧にしてください。
架空の会議で完成形を見る
次は説明用の架空例であり、実在の企業・人物・AIよろず室の支援実績ではありません。
会議の終了条件
営業会議後の記録方法について、8月中に試す範囲、担当者、確認指標を決める。
会議中に人が明示した内容
決:8月は営業担当2人だけで試す
決:AIは議事録全文ではなく、決定・担当者・期限の下書き作成に使う
宿:営業課長が8月5日までに架空データで入力例を作る
宿:情報管理担当が8月7日までに利用可能なアカウントを確認する
未:実際の顧客名を入力できるか。情報管理担当の確認後に判断する
未:全営業担当への展開。8月末の試行結果を見て判断する
会議後の5点成果物
決定事項:8月は営業担当2人で、会議後の決定・担当者・期限の下書き作成を試す。議事録全文の自動作成は対象外とする。
担当者:営業課長は架空データによる入力例を作成する。情報管理担当は利用可能なアカウントを確認する。
期限:入力例は8月5日、アカウント確認は8月7日。
未決事項:顧客名を入力できるか、全営業担当へ展開するか。
判断根拠:最初から全員へ広げず、対象業務と利用者を限定し、確認負担を測るため。
長い議事録を作らなくても、これだけあれば次の行動を開始できます。発言経緯を保存する必要がある場合は、5点成果物とは別に原記録を保管します。
自社の定例会議を「記録する会議」から「決定が実行される会議」へ変えたい場合は、AIよろず室の30分の無料相談で、会議の終了条件または5点成果物を一つ整理します。売り込みや、その場での契約のお願いはいたしません。
導入前に、録音・情報・確認のルールを決める
会議へ生成AIを使う場合、便利さだけでなく、入力情報と記録の扱いを先に決めます。
録音・文字起こし
録音や文字起こしを行う場合は、参加者への説明・同意、社内規程、取引先との契約、会議の性質を確認します。録音開始前に、目的、保存場所、閲覧者、保存期間を案内します。
録音への対応は状況や法域で異なるため、「社内会議なら常に自由」「一人が同意すれば十分」と一律に判断しません。必要に応じて法務・専門家へ確認します。
生成AIへ入力する情報
利用するサービス、プラン、管理設定、データ利用条件を確認します。顧客情報、人事情報、健康情報、契約条件、未公開の経営情報などを含む会議は、入力の可否を個別に判断します。
個人情報保護委員会は、生成AIサービスへ個人データを入力する場合、利用目的の範囲内か、提供事業者が機械学習へ利用しないこと等を十分確認するよう注意喚起しています[1]。
AIの出力を確認する人
議事録担当者だけでなく、決定責任者または会議主催者が、決定・担当者・期限・未決事項を確認します。AIの要約を自動で全社配信しません。
総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」は、AI利用者を含む関係者がリスクを理解し、適切に運用するための考え方や確認資料を提供しています[2]。自社の会議用途へ合わせて利用目的、入力、確認、問題発生時の連絡先を具体化します。
効果は「議事録作成時間」だけで測らない
議事録の作成時間が減っても、会議時間が延びたり、AIの誤り確認に時間がかかったりすれば、全体の改善は小さくなります。
最初の30日間は、次を記録します。
参加人数を掛けた会議時間
事前準備、会議、確認、共有を含む総時間
会議終了時に担当者と期限が決まった宿題の割合
期限までに完了した宿題の割合
次回、同じ論点を再び説明した回数
AI出力の日付、担当者、決定事項の修正数
録音、入力、共有に関する問題や懸念
「参加人数を掛けた会議時間」は、例えば6人が1時間参加すれば6人時間です。人件費へ単純換算するだけでなく、意思決定に本当に必要な参加者だったかを見直す材料にします。
生成AIを使わない方がよい会議
生成AIを使わない、または利用範囲を限定した方がよい会議もあります。
人事評価、懲戒、健康、個人的な相談を扱う
法的責任、契約、紛争、事故対応を扱う
高度な営業秘密や未公開情報を含む
参加者が録音や外部サービスへの入力へ同意していない
感情や関係性への配慮が中心で、要約が文脈を損なう
正式な記録方式が法令、規程、契約で定められている
こうした会議でも、公開可能な範囲だけを使ってアジェンダ案を作るなど、会議前の補助に限定できる場合があります。
個人の議事録作成から、会議の運用へ広げる
一人の担当者が便利なプロンプトを使うだけでは、会議全体の手順は変わりません。
最初は1種類の定例会議を選び、次を共通化します。
会議の終了条件
「決・宿・未」の確認方法
5点成果物の書式
録音と入力のルール
AI出力の確認者
タスク管理先
30日後の見直し日
AIよろず室では、業務の棚卸し、会議手順の整理、利用ルール、プロンプト、軽微な実装、定着までを支援しています。
月額39,800円(税別)はサービスの入口となるプランの一つです。このプランだけでなく、課題やご希望に応じた支援もご案内しています。会議システムとの外部連携や大きな開発などは、対応範囲と費用を着手前に確認します。
よくあるご質問
Q. AI議事録ツールを導入すれば、この記事の手順は不要ですか?
ツールが文字起こしや要約を行っても、何を決める会議か、何を決定と扱うか、誰が確認するか、宿題をどこで管理するかは別に決める必要があります。機能と会議運用を分けて考えます。
Q. 録音せずに生成AIを使えますか?
使えます。会議中に人が「決・宿・未」だけをメモし、会議後にその確認済みメモをAIへ渡して整える方法があります。録音が難しい会議では、むしろ始めやすい方法です。
Q. AIがリアルタイムで進行役をできますか?
論点、残り時間、未回答の質問を示す補助は考えられます。ただし、参加者の意見を調整し、合意を確認し、議論を止める責任は人の司会者に残します。最初はリアルタイム介入より、会議前後の補助から試す方が管理しやすくなります。
Q. 議事録は短いほどよいですか?
一律ではありません。法令、契約、監査、引き継ぎのために詳細な記録が必要な会議もあります。5点成果物は実行用の要約であり、必要な原記録を置き換えるものではありません。
Q. 最初はどの会議で試すべきですか?
毎週行われ、議題が定型的で、機密性が比較的低く、決定事項や宿題の漏れが起きている会議が候補です。経営会議や人事会議より、影響の小さい部門定例から始めます。
まとめ
生成AIで議事録を速く作るだけでは、会議全体が改善したとは限らない
会議の成果物を「決定・担当者・期限・未決事項・判断根拠」の5点にする
会議中に人が「決・宿・未」を明示し、AIへ合意を推測させない
会議前の必要性判断から、会議後のタスク実行まで7工程でつなぐ
効果は議事録作成時間だけでなく、総時間、宿題の完了、論点の再発で測る
生成AIを会議へ導入する目的は、会話をすべて保存することではありません。必要な人が、必要な判断を行い、決めたことが期限までに実行される状態を作ることです。
「自社の会議では、どこにAIを使うと効果が出やすいか」を整理したい方には、AIよろず室の30分の無料相談をご用意しています。現在の会議手順を伺い、最初に変える工程を一つ具体化します。売り込みや、その場での契約のお願いはいたしません。
この記事を書いた人
AIよろず室。
中小企業を対象に、業務診断、AI活用ロードマップ、実装、社内定着までを支援しています。代表は、IT業界20年以上のエキスパートです。
[1]個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/
[2]総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_shakai_jisso/20260331_report.html
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