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実はこれも「コンサル本」なんです。ちきりんの4冊を読んで、改めてそう思った。

最近、改めて読み返している本があります。

ちきりんさんの本です。

「ちきりん」という名前を知らない方は少ないかもしれません。

Chikirinの日記」というブログを長年運営している、社会派ブロガー。

社会や働き方について、独特の切り口でズバッと本質を突く文章を書く人です。

私自身も以前からちきりんさんの文章が好きで、何冊か本を読んできました。

ただ、最近になって、ちょっと面白いことに気がつきました。

というより、正確には「改めて気づいた」という感じです。

この人が書いている本って、めちゃくちゃコンサル的なんですよね。

しかも、単に「コンサルっぽい」というレベルではありません。

ちきりんさんは、実は元マッキンゼーの伊賀泰代さんと同一人物として知られています。

伊賀さんは一橋大学を卒業後、MBAを取得し、1993年から2010年末までマッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパンに在籍。コンサルタントとして働いた後、人材育成や採用のマネージャーも務めた方です。

そう考えて読み直してみると、これまで「ちきりんさんの本」として読んでいたものが、少し違って見えてきます。

「なるほど。だから、こんなに思考が整理されているのか」

そんなふうに感じるのです。


ちきりんの4冊は、実は「コンサルタントの基礎トレーニング」なのではないか

ちきりんさんには、ダイヤモンド社から出ている代表的な4冊があります。

自分のアタマで考えよう

マーケット感覚を身につけよう

自分の時間を取り戻そう

自分の意見で生きていこう

出版社自身も、この4冊について「論理思考」「マーケット感覚」「生産性」「正解のない問題に答えを出す力」という流れで紹介しています。4冊目の自分の意見で生きていこうはシリーズの最終巻として位置づけられています。

この4冊を並べてみると、すごく面白い。

私には、まるで一人のビジネスパーソンが仕事で成果を出すために必要な能力を、順番に鍛えているように見えるのです。

まず、

「自分のアタマで考える」

次に、

「市場を見る」

そして、

「限られた時間で成果を出す」

最後に、

「自分の意見を持つ」

これって、かなりコンサルタント的な能力体系ではないでしょうか。

少なくとも、私が39歳でコンサルティング業界に転職してから、「もっと早く知っておけばよかった」と思ったことが、かなり詰まっています。


①『自分のアタマで考えよう』――まず「考える」とは何か

4冊の中で、最初に読んでほしいのはこれです。

自分のアタマで考えよう』。

タイトルからして、そのままなのですが、実はこの本が問いかけている「考える」という行為は、私たちが普段思っているものとは少し違います。

私たちは普段、たくさんの情報を集めます。

ニュースを見る。

本を読む。

ネットで検索する。

人の話を聞く。

そして、情報が増えてくると、

「かなり考えたな」

という気分になります。

でも、本当にそうなのか。

この本では、「知っていること」と「考えること」は別物だというところから話が始まります。出版社も「知識にだまされない『思考』の技術」という副題を掲げ、「最初に決めるプロセス」「縦と横で比較する」「判断基準はシンプルが一番」といった思考法を紹介しています。

これ、コンサルの仕事を始めてみると、ものすごく重要なことだと分かります。

コンサルタントの仕事は、情報を集めることではありません。

情報を集めて、整理して、分析して、

「だから、どうするの?」

まで持っていく仕事です。

例えば、ある商品の売上が落ちている。

では、売上が落ちているというデータを集めて、グラフを作れば仕事は終わりなのか。

もちろん違います。

なぜ売上が落ちたのか。

どの要因が大きいのか。

今後どうなるのか。

では、何をすべきなのか。

そこまで考えて初めて、分析に意味が出てきます。

ちきりんさんの本を読んでいると、「これってコンサルタントが日々やっていることと同じだな」と感じる場面がたくさんあります。


②『マーケット感覚を身につけよう』――「会社の中」だけで考えない

次が、

マーケット感覚を身につけよう』です。

これも、かなり面白い本です。

「マーケット感覚」という言葉自体、少し聞き慣れないかもしれません。

簡単に言えば、

「それって、世の中ではどんな価値として評価されるの?」

という視点です。

会社の中では評価されている。

上司からも褒められている。

長年やってきた仕事だから、自分はかなり詳しい。

でも、それが会社の外でも同じように価値を持つとは限りません。

逆に、会社の中では大したことがないと思っていた経験が、別の市場に行くと意外な価値を持つこともあります。

これも、私自身が転職して実感したことです。

17年半も食品メーカーで働いていた私は、コンサルティング業界に転職したとき、「自分はコンサルタントとして何ができるんだろう」とかなり考えました。

でも、実際に仕事をしてみると、事業会社で経験してきた営業、マーケティング、海外事業、経営企画などの経験が、思っていた以上に役に立つ。

自分の中では当たり前だった経験が、別の場所では価値になる。

これはまさに、「自分の持っているものを、市場の側から見てみる」という発想です。

本書では、市場の中で自分の持つ価値を捉えることや、「一生ひとつの専門性は無理」といったテーマまで扱われています。

40代になってキャリアを考える人にとっても、かなり面白い本だと思います。

「自分には何もない」と思う前に、

「自分の経験を、別の市場から見たらどう見えるのか?」

と考えてみる。

これだけでも、キャリアの見え方はかなり変わります。


③『自分の時間を取り戻そう』――頑張るのではなく、生産性を考える

3冊目が、

自分の時間を取り戻そう』。

これも、40代になった今の自分にはかなり刺さります。

なぜなら、40代になると、20代のように「とにかく頑張ればいい」という戦い方ができなくなってくるからです。

仕事。

家族。

子ども。

自分の勉強。

睡眠。

趣味。

いろいろなものに時間が必要になります。

でも、1日は24時間しかありません。

そうなると、「もっと頑張る」では解決できない問題が出てきます。

だから、

「そもそも、その仕事はやる必要があるのか?」

と考える必要がある。

本書では、「全部やる必要はない」「まずやめる」「最後まで頑張る場所は厳選する」といった考え方が紹介されています。

これも、私が以前書いた「40代は欲張らない」という話と、かなり近い考え方です。

実際、私はコンサルティング業界に転職してから、あえて英語学習に手を出していません。

英語が重要ではないからではありません。

今の自分にとって、もっと優先順位の高いものがあるからです。

「全部やる」のではなく、

「何に時間を使うのか」を決める。

これは単なる時間管理ではありません。

人生そのものの経営だと思っています。


④『自分の意見で生きていこう』――最後は「自分で決める」

そして4冊目。

自分の意見で生きていこう

この本で扱われるのは、

「正解のない問題に答えを出す力」

です。

これも、コンサルタントの仕事をしていると、非常によく分かります。

世の中には、正解のある問題と、正解のない問題があります。

「この数字はいくつか」

「この商品の売上はいくらか」

「この法律は何条か」

こういうものは、調べれば答えが出ます。

でも、

「この会社は何を目指すべきなのか」

「この事業を続けるべきなのか」

「自分はどんなキャリアを選ぶべきなのか」

こういう問題には、唯一の正解がありません。

最後は、自分で決めるしかない。

出版社もこの本を、「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップを扱った本と位置づけています。

そして、ここまで4冊を並べると、私は一つの流れが見えてくるのです。

考える。

市場を見る。

時間を配分する。

そして、自分で決める。

これって、まさに「自分の人生を経営するための基本動作」なのではないでしょうか。


「ちきりんの本」だと思って読むから、面白い

ここまで読んでいただくと分かると思いますが、私はこの4冊を単なる「ビジネス書4冊」として紹介したいわけではありません。

むしろ、ちょっと意外な読み方をしてみてほしいのです。

「これ、実は元マッキンゼーの人が書いているんだよな」

と思いながら読んでみる。

そうすると、文章の中に出てくる考え方の意味が少し違って見えてきます。

「なぜ、この人はこんなに比較にこだわるんだろう」

「なぜ、判断基準を絞れと言うんだろう」

「なぜ、情報収集より先に意思決定プロセスを考えろと言うんだろう」

「なぜ、アウトプットをこれほど重視するんだろう」

コンサルティングの仕事を経験してみると、その理由がよく分かります。

ちきりんさんの4冊にある「考え方」「市場」「生産性」「意思決定」というテーマは、バラバラに存在しているわけではない。
一人のビジネスパーソンが、仕事でも人生でも使えるような思考の基礎が、別々の角度から書かれている。

私はそんなふうに捉えています。


コンサルタントになってから読むと、さらに面白い

私は39歳で、17年半勤めた事業会社からコンサルティング業界に転職しました。

転職してから、いろいろなコンサル本を読みました。

イシューからはじめよ』。

ロジカル・シンキング』。

仮説思考』。

考える技術・書く技術』。

いわゆる「コンサル本」と呼ばれる本は、世の中にたくさんあります。

もちろん、これらも素晴らしい本です。

でも、最近になって思うのです。

ちきりんさんの4冊も、もっと早く「コンサル本」として読んでおけばよかった。

しかも、一般的なコンサル本よりも読みやすい。

専門用語を覚えなくてもいい。

フレームワークの名前を暗記する必要もない。

社会で起きている身近な出来事を題材にしながら、「こういうふうに考えてみたら?」と問いかけてくる。

だから、コンサルタントを目指している人だけでなく、普通の会社員の方にも入りやすいのだと思います。

むしろ、コンサルタントではない人にこそ読んでほしい。


「コンサルタントになりたい人」だけの本ではありません

もし、

「コンサルタントの仕事に興味がある」

「ロジカルシンキングを身につけたい」

「仕事でもっと自分の頭で考えられるようになりたい」

という人がいたら、もちろんおすすめです。

でも、それだけではありません。

40代になって、これからのキャリアを考えている人。

会社の中で、「このままでいいのかな」と感じている人。

情報ばかり集めて、なかなか決断できない人。

忙しく働いているのに、なぜか成果が上がらないと感じている人。

周囲の意見に流されず、自分の人生を自分で決めたい人。

こういう人にも、かなり響くと思います。

そして、何よりいいのが、4冊を順番に読むと、自分自身の「思考の癖」が見えてくることです。

私はどう考えているのか。

何を基準に判断しているのか。

時間を何に使っているのか。

そもそも、自分は何を大切にしたいのか。

本を読みながら、自然と自分自身に問いが返ってくる。

そこが、この4冊の面白さだと思っています。


実は「コンサル本」は、コンサルタントの本棚だけにあるわけじゃない

コンサルティング業界に転職してから、「コンサル本」というものを意識して読むようになりました。

でも、最近は少し考え方が変わってきました。

コンサル本とは、必ずしも「コンサルタントが書いた本」ではないのかもしれません。

物事を分解して考える。

情報と解釈を分ける。

比較する。

判断基準を決める。

本当に重要なことに時間を使う。

最後は自分で意思決定する。

こういう思考法を身につけられる本こそ、広い意味で「コンサル本」なのだと思います。

そう考えると、ちきりんさんの4冊は、かなり優秀なコンサル本です。

しかも、難しいコンサル用語をほとんど使わず、社会や人生の身近なテーマを題材にしている。

だからこそ、読みやすい。

そして、読みやすいのに、読んだ後に残る。

これはかなり貴重なことだと思います。


もし4冊読むなら、私はこの順番をおすすめします

最後に、これから読んでみようという方に、私なりのおすすめ順を紹介します。

まずは、

自分のアタマで考えよう

ここで「考える」という行為そのものを見直す。

次に、

マーケット感覚を身につけよう

自分のいる世界だけではなく、市場から物事を見る。

そして、

自分の時間を取り戻そう

限られた時間をどこに配分するのかを考える。

最後に、

④『自分の意見で生きていこう

正解のない問題に、自分なりの答えを出す。

この順番で読むと、

「考える → 世の中を見る → 資源を配分する → 決める」

という一本の線が見えてくると思います。

そして、その線はそのまま、仕事だけでなく人生にもつながっていく。

私はそこが、この4冊の一番面白いところだと思っています。


おわりに

私は39歳でコンサルティング業界に転職しました。

転職してから、以前よりも「考える」ということについて意識するようになりました。

そして、最近になって改めてちきりんさんの本を読み返してみると、

「なんだ。これ、ずっと前からコンサルタントの仕事で必要なことが書いてあったじゃないか」

と思うことがたくさんあります。

もちろん、これらの本を読んだからといって、突然コンサルタントのように仕事ができるようになるわけではありません。

でも、

「情報を集めること」と「考えること」は違う。

「忙しく働くこと」と「成果を出すこと」は違う。

「人から与えられた答え」と「自分の答え」は違う。

こういうことに気づくだけでも、仕事の仕方や、人生の見え方は少し変わると思います。

「コンサルタントになりたいわけではないけれど、もっと頭を使って仕事をしたい」

そんな方には、むしろぴったりなのではないでしょうか。

私自身、もっと早く読んでおけばよかったと思っています。

そして今、40代になったからこそ、以前とは違う読み方ができている気もします。

実はこれも、コンサル本なんです。

そう思って読んでみると、ちきりんさんの4冊が、少し違って見えてくるかもしれません。


私がおすすめしたい4冊

自分のアタマで考えよう
「知識にだまされない『思考』の技術」。まずはここからがおすすめです。

マーケット感覚を身につけよう
自分の価値やキャリアを「市場」という視点から考え直すきっかけになります。

自分の時間を取り戻そう
「全部やる」から「何をやらないかを決める」へ。40代の働き方を考えるうえでも面白い一冊です。

自分の意見で生きていこう 正解のない問題に、自分なりの答えを出すための本。4冊の締めくくりとして読むと、特に面白いと思います。

ちなみに、ちきりんさんは本名の ”伊賀泰代” 名義で出しているコンサル本もあります。『採用基準』はリーダーシップ、『生産性』はマッキンゼーの仕事の進め方を扱っており、今回ご紹介した4冊と合わせて読んでみることをおすすめします。

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以上です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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