第6回:【知らないと損する】配食サービス編(食の楽しみ)
介護のお金は、突然どんと増えるというより、毎日の積み重ねでじわじわ重くなることがあります。
その中には、申請すれば使える支援や、知っていれば少し楽になる仕組みもあります。
今回は、家計防衛という視点から、自治体の配食サービスと保険外サービスについて書いてみます。
介護が始まると、お金のことが気になってくるのは自然なことだと思います。
介護サービスはいくらかかるのか。
毎月どれくらい必要になるのか。
この先、どこまで続けられるのか。
私も、お金のことを考えるたびに、少し後ろめたさのようなものを感じたことがありました。
親のことを心配するより先に、お金のことを考えるなんて冷たいのではないか。
そんなふうに思ってしまうこともありました。
でも今は、お金の見通しを持つことは冷たさではなく、介護を続けるための準備だと思っています。
介護は、気持ちだけでは続きません。
だからこそ、使える制度を知って、申請できるものは申請して、無理のない形を作っておくことが大事なのだと思います。
介護の家計防衛は、節約より「知っているかどうか」で差がつく
介護のお金を考えるとき、つい「何を減らすか」を先に考えてしまいがちです。
でも実際には、削ることより先に、使える制度を知っているかどうかで差が出ることがあります。
介護の制度は、自動で全部教えてもらえるわけではありません。
こちらから調べたり、相談したり、申請したりしないと、そのまま使わずに終わってしまうものもあります。
高額介護サービス費
負担限度額認定
医療費控除
自治体独自の助成
そして、配食や見守りの支援
派手ではなくても、こういう仕組みが暮らしを支えてくれることがあります。
毎日の食事は、静かに家計と気力を削っていく
介護のお金というと、介護保険や医療費のような大きな支出に目が向きやすいです。
でも実際の暮らしの中でじわじわ重くなるのは、もっと日常に近い負担だったりします。
そのひとつが、毎日の食事です。
買い物に行くこと
ごはんを作ること
栄養を考えること
ちゃんと食べられたか気にかけること
一つひとつは小さく見えても、毎日続くと、思っている以上に重くなっていきます。
今日は何を食べてもらおう。
ちゃんと食べられるだろうか。
火を使わせて大丈夫だろうか。
買い物はどうしよう。
介護は、大きな出来事だけが大変なのではなく、高齢者の一人住まいは特にこういう毎日の積み重ねがこたえるのだと思います。
自治体の配食サービスは、食事だけではなく安心も届けてくれる

そんなときに知っておきたいのが、自治体の配食サービスです。
「食の自立支援」という名前で案内されていることもあります。
これは、65歳以上のひとり暮らしの方や、高齢者のみの世帯などで、調理が難しい場合に、栄養バランスに配慮した食事を届けてもらえる仕組みです。
この制度のよさは、ただ食事が届くことだけではありません。
配達のときに、さりげなく安否確認もしてもらえることがあります。
今日は受け取れたか。
いつもと様子が違わないか。
何か異変はないか。
ほんの短いやりとりでも、離れて暮らす家族にとっては大きな安心につながります。
費用は、自治体が一部を助成して、残りを自己負担する形が多く、比較的使いやすい金額で利用できる場合もあります。
こういう制度は派手ではありません。
でも、暮らしの現場ではとても効いてきます。
食事の準備が少し軽くなる。
栄養の心配が少し減る。
見守りの不安が少しやわらぐ。
家族が気を張り続ける時間も少し軽くなる。
大きなお金がもらえる制度ではなくても、こういう支えがあるだけで、介護の毎日はかなり違ってきます。
ただ、病気に合わせた食事管理は自治体の配食だけでは足りないこともある

ここで、もうひとつ感じることがあります。
それは、食事の悩みは自治体の配食サービスだけでは足りないこともある、ということです。
とくに、腎臓病や糖尿病がある場合は、やわらかければいい、食べやすければいい、というだけでは済まないことがあります。
塩分
たんぱく質
糖質
カリウム
水分量
体に合わせた食事を用意したい。
でも、家族の負担ももう限界に近い。
そんなふうに感じることは、決して特別なことではないと思います。
保険外サービスを使うのも、無理を減らす方法のひとつ
腎臓病や糖尿病がある方の食事は、家族の愛情だけでは続けにくいことがあります。
もちろん、できるだけ手作りしたい気持ちもあります。
少しでも体にいいものを食べてほしいと思うのも自然なことです。
私の母も、腎臓病末期なので、塩分、タンパク質、リン、カリウムに制限があります。毎日の食事のたびに、そうしたことを考え続けるのは本当に大変です。毎日それを続けるのは簡単ではありません。
献立を考える
買い物に行く
作る
食べやすい形にする
そして、病気に合っているかも気にする
調味料も特別に用意する
これを毎日続けるのは、かなり重いです。
そんなとき、腎臓病や糖尿病に配慮した宅配食などの保険外サービスを使うことで、少し気持ちが楽になることがあります。
病気に合わせた食事を選びやすくなり、毎日の献立を考える負担を減らせるからです。
家族だけで全部を抱え込まない。
外の力を借りて、続けられる形にする。
それも、介護を続けるための大事な工夫のひとつだと思います。
食の楽しみを守ることも、介護では大切だと思う
食事は、栄養をとるためだけのものではありません。
一日のリズムになったり、楽しみになったり、安心につながったりするものでもあります。
介護の中では、どうしても
食べられるか
むせないか
数値に合っているか
ということに意識が向きやすくなります。
もちろんそれは大事です。
でも同時に、食べることの楽しみまで全部失ってしまうと、暮らしがとても細くなってしまう気がします。
だから私は、負担を減らしながら、できるだけ「食べること」を守っていける形があるといいと思っています。
自治体の配食サービスも、病気に配慮した保険外サービスも、ただ食事を運ぶだけではなく、その人の暮らしを支えるための手段として考えたいです。
病気に配慮した宅配食を探したい方へ
「特定のサービスを紹介するわけではありませんが、私が選ぶときにチェックした『3つの基準』を置いておきます。
① 塩分・たんぱく質が数値化されているか
② 1食1000円以下に収まるか
③ お試しセットがあるか
こうした視点で、ご自身に合うものを探してみてくださいね。
美味しくないと食べなかった母が食べてくれた工夫
宅配食はそれまで自宅で作る味が基準になっているので、味が薄いとか、美味しくないと言って食が進まない方も多いです。
うちもそうでした。
そこで私がした工夫(必死に考えた)をいくつかご紹介します。
①器を変える
味気ない宅配のお弁当箱から出してお皿に盛り付ける
器を洗う手間が増えますが、作る手間はないのでOKとしました。
②ちょっと味を調整する。
お醤油やお砂糖をほんのちょっと加え、味の調整を図り我が家の味に寄せる工夫。
③出来たて、熱いものを出す
温かいご飯、スープはおかずはそれだけで食欲を誘います。
レンチンでOK。
④果物を一緒に出す
母は果物が好きなので横に添えてみました。
(これは食事をちょっと豪華に演出する作用があるようです。)
これで少しは良くなりました。
元々自分も血圧が高いので基本は自宅で作って母と同じものを一緒に食べていますが、急な外出時や仕事が大詰めの時は助かっています。
利用するときに大事にしたいこと
こうしたサービスは便利ですが、病気の状態によって合う内容は違います。
同じ糖尿病でも、食事の考え方は人によって違いますし、腎臓病も進行度によって注意する点が変わります。
だから、サービスを選ぶときは、主治医や管理栄養士から指示がある場合はそちらを優先すること、そして「なんとなく良さそう」で決めずに内容をよく確認することが大切だと思います。
無理なく続けられること。
本人が食べやすいこと。
家族の負担が少し軽くなること。
そのあたりを見ながら選べると安心です。
知らなかっただけで使えた支援を、見逃さないために
知らなかっただけで使えた支援が、あとから思うといちばん惜しかった、ということもあります。
介護の家計防衛は、我慢を重ねることではなく、無理のない形に整えていくこと。
食べることの安心と楽しみを守るためにも、使える仕組みは遠慮せず使っていいのだと思います。
ひとりで抱え込む前に、まず相談してみる
地域包括支援センター。
ケアマネジャー。
市役所の高齢福祉窓口。
全部を自分で調べきれなくても、相談することで見えてくることがあります。
介護は長く続くことが多いからこそ、最初に少し整えておくだけでも違います。
家族だけで背負い込みすぎないために。
暮らしを守りながら続けていくために。
使える仕組みは、遠慮せずに使っていきましょう。
次回予告
次回は、第7回:【知らないと損する】介護休業給付編(仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間)です。
親の介護が始まると、目の前のことに追われながら、仕事をどうするかという不安も大きくなっていきます。
休むべきか。
続けられるのか。
辞めるしかないのか。
そんなふうに悩む前に、知っておきたいのが介護休業給付です。
次回は、仕事を辞める前に使える支えとして、この制度の中身を整理していきます。
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