見出し画像

介護施設のリビングで、レーシングスーツ着たおじいちゃんが、グラセフで200キロ出して爆走してた話

「なあ、今リビングでグランツーリスモやってるらしいで。見に行かへん?」

なんやそれ?

と思いながらリビングに向かう。

すると、そこには―

レーシングスーツ姿のおじいちゃんが、リビングのど真ん中に鎮座していた。

目の前にはゲーセンにあるようなガチのハンドルがあった。

どこやここ。
モナコか。

ちゃうわ、
ここ、「はっぴーの家」や。

だいたい本人より周りが盛り上がる

「風、吹かせよ!」
「椅子揺らしてガタガタ揺らした方がリアリティ出るで!」

集まってきたのは、介護士、事務スタッフ、子ども、ついでに豚(ほんまにおる)

周囲のスタッフたちは大盛り上がり。
途中、誰かが突然電気を消した。

ゲーム中の雰囲気作り?
いや、もう世界観の構築に命かけとる。

全員が自分の仕事を放り投げて、
おじいちゃんのレースを見守っている。

ドライビングテクより、
演出面の方が熱くなってる。

しばらくして、気づいたら
おじいちゃん、抜かれてた。
ゲームの中も、主役の座も。

なぜこうなったかの背景を想像してみる

その光景を見ながら考えた。

はっぴーの家がやることには、だいたい“ウラ”がある。

日々その人の人生や背景を想像しながら働いている。

お酒が飲みたいなら飲み会を開くし、
海に行きたいなら海に行くし、
山に行きたいなら山に行く。

「ただ面白いことをやってるだけ」に見える。
でも、その根幹やキッカケには誰かの思いが隠されている。

「この人、車が好きだった?整備士の仕事してたとか?」
「若いころに走り屋で、六甲山を爆走してたんかな」
「もしかして、元レーサー?そのスーツ、本物?」
「いや、これはスタッフがノリでメルカリで落としたんちゃうか」

確かめはしないけど、
その背景に想像するのが面白い。

毎日グラセフみたいな日常

「こんなんしたら面白いで」から、
「じゃあやろや」までのスピード。

それが異様に速いのが、はっぴーの日常。

その分、ぶつかることもある。

曲がりきれずにスピンしたり、
気づいたらコース間違えてたり、
思いっきり逆走してる時もある。

でもそのたびに、
誰かがボンネット開けて、
誰かが後ろから押してなんとかする。

整備して、笑って、また走り出す。
たぶん、はっぴーの家はそういう場所。

これからも爆速でちょっと無茶めのカーブを回る

ゲーム開始から20分。

「ほな仕事戻るわ」も言わず、スッと離れていくスタッフたち。

入れ替わるように、ゆっくり降りてくるおじいちゃんとおばあちゃん。

…それにしても、誰も電気つけへん。

もうええから、はよつけて。

で、あのおじいちゃん、どこの人?

相変わらず最後まで、
誰が誰か分からないままだった。

いいなと思ったら応援しよう!