新未来世界からこんにちは第9話未来都市初体験
【あらすじ】20世紀の日本に住む大学生の茶倉と竹馬は、自分達の子孫のゼモン達とともに円盤に乗って50世紀にやってきた。そこにはSF映画のような世界が広がっていた。
第9話 未来都市初体験
翼の付いたその車は、茶倉達の傍にゆっくりと舞い降りた。
「う~ん、かっこいいじゃん」
竹馬は、そのフォーム全体から未来世界のアートを感じ取った。
「私の愛車のセレナ三世よ」
愛車を見つめるエレナの瞳が、優しさに満ちていた。
セレナ三世と呼ばれた銀色に輝く未来の乗り物は、女主人の前で停まると、ドアを開けて喋った。
「奥様、お待ちしておりました。旦那様とお客様達を、さあどうぞ、私の中へ入れて下さいな」
「ゲッ、車が喋ったぞ。まるで映画じゃないか」
竹馬が驚いた。
「タケ、ここは未来世界なんだ。さっきは猫が喋ったじゃないか。何でもありってことだよ」
「さあ、喋ってないで早くお乗りなさい」
エレナにせかされるようにして二人は、セレナ三世に乗り込んだ。
車内は思った以上に広々としている。
未来の自動車には、大人5人ほどがゆったりと座れる席が三列並んでいたが、向かい合うようにゼモンが調整した。
「発車してもよろしいでしょうか?」
セレナ三世がエレナに尋ねた。
エレナが、「いいわよ」と言うと 、セレナ三世が走り出し、すぐに空中を飛び始めた。
「お客様、乗り心地はいかがでしょうか?」
セレナ三世が、空中を矢のように飛びながら、過去からの訪問者に尋ねた。
セレナ三世は、自分の意思で車を飛ばしていた。
初めて見る外の景色は、まさしくワンダーランドそのものであった。
二人にとって、見る物すべてが驚きの連続であり輝いていた。
目に映るすべてが、未来からのメッセージでもあった。
「う~ん、もう最高!」
竹馬が、感激のあまり奇声を発した。
未来世界を象徴する二百階以上はある超高層ビル群と、ハイウェイのような曲線状のスカイロードの上を様々なタイプの車が走っていた。
空を自由自 在に飛び回る大小の円盤、スペースシップや車に似た飛行物体。
それらとは対照的に、未来都市の周辺には森や林や湖が、生気を漲らせて、その存在を鮮やかに自己主張していた。
「未来だから高層ビルだらけで、自然なんて少しも残っていないと思っていたけれど、二十世紀よりも自然が豊かなんじゃないの?」
茶倉の言葉に、ゼモンがやや誇らしげに胸を張った。
「最新のテクノロジーを駆使して地球規模で環境問題に取り組んだ結果だよ。都会の近くにはジャングルもあるし、特別保護地区には、昔絶滅した恐竜も生活しているよ」
「もしかして過去から連れてきたの?」
茶倉の質問に、ゼモンは笑って答えた。
「そんなことはしないよ。大昔、大隕石群が地球を襲った時、その衝撃で一時的に時空に亀裂が生じ、一部の恐竜達がタイムスリップしたんだよ。まあ、時々見つかる恐竜の化石から彼等を甦らせることも行っているけれどね」
【続く】
いいなと思ったら応援しよう!
応援よろしくお願いいたします。これからもよろしくお願いします。