占い師天童美沙対狼男
ある高級マンションの一室。
その女性は、まさに天女のようであった。
金色の椅子に腰かけており、テーブル上の水晶玉をじっと見つめていた。
占い師天童美沙であった。
溜息が出るような美貌の持ち主である。
見た目は若いが、年齢はわからない。
紫色の服を着ており、高貴なイメージに包まれていた。
「ほほほ、狼男とは面白いものが現れたものですわね」
言葉のひとつひとつに天性の品の良さが溢れていた。
「美沙姉様、どう致しましょうか」
そう言ったのは、妹分の日美香であった。
若くて美しいその女性は、美沙の秘書的な存在であった。
美沙は、水晶玉の前に座って何かを見ていた。
「この狼男、最近現れたみたいですけれど、暴れているみたいですわ ね。お仕置きしないといけませんわね」
最近狼男らしきものが、世間を騒がせていたのだ。
ある夜一人の若い女性が公園の中を歩いていると、狼男に変身した尾神牙人が現れた。
「おい、そこの女。噛ませろ」と言うと、若い女性に飛びかかった。
若い女性は、素早く身をかわすと叫んだ。
「レディに向かって何するんじゃい。このボケ。そっちが狼ならこっちは鬼よ」
若い女性は、日美香だったのだ。
日美香は鬼の形相になり、牙がすっと生えて二本の角がぬっと生えてきた。
日美香は鬼女だったのだ。
二匹の狼男と鬼女は、凄まじい勢いで取っ組み合いを始めた。
どちらも怪力の持ち主である。
簡単には勝負はつかなかった。
殴って蹴って噛み合った。
「日美香、おどきなさい」
そう言って現れたのは、美沙だった。
「ウルフちゃん、私がお相手してあげますわよ」
狼男は、美沙めがけて突進してきた。
美沙はフワリとかわすと、狼男の顎めがけて前蹴りを放った。
狼男は吹っ飛んだが、一声吠えると噛みついてきた。
「 無礼者、私に触るんじゃない」
美沙は、フワリと身をかわすと、大きく息を吸って吐き出した。
すると竜巻が発生して大きくなると、狼男を呑み込んで近くの山の方へ消えていった。
「日美香、帰りますわよ」
美沙は、そう言うと歩き出した。
翌日、美沙達のいる高級マンションの一室に狼男が現れた。
「昨夜は、大変失礼いたしました。俺を子分にしてください」
狼男の尾神牙人は、土下座してそう言った。
「ほほほ、子分さんとかはいりませんけれども、お友達だったらよろしくってよ」
美沙は、無邪気に微笑んでみせた。
その後、美沙の紹介により、狼男の尾神牙人は警察関係の仕事をすることになった。
狼男の嗅覚と怪力と超人的な体力が評価されたようであった。
「異能を持つ者がその力を発揮して稼げるようになることは、素晴らしいことだと思うのですけれどね」
美沙は、日美香にそう言った。
日美香は、そんな美沙の顔が好きだった。
【終わり】
いいなと思ったら応援しよう!
応援よろしくお願いいたします。これからもよろしくお願いします。