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14.【乳がん】2時間半の待ち合わせ【入院から退院まで】

こんにちは。

平成おばさんミツクニです。


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前回までで第二部【治療計画まで】をお届けしてまいりましたが、今回からいよいよ第三部【入院から退院まで】が始まります。

・・・と言いながらも、実はまだ右胸の検査結果や麻酔科の診察が残っている段階。
まずは入院を目前に控えたある1日についてお送りします。



待ち合わせの目印は、


6月30日。予約は15時30分だったが、その日は別の用事があり、14時前には最寄駅に降り立っていた。

保険の診断書を書いてもらうため、以前通っていたクリニックの午前診の終わりがけに滑り込んだのだ。
保険に関するあれこれは、いずれ別記事で詳しく書きたいと思っているので、しばしお待ちいただきたい。



「やよい軒」で遅めの昼食を済ませ、時間通りに病院の受付を済ませる。


思えばこの時から、不穏な空気は漂っていた。

受付スタッフから「今日は大変混み合っておりまして・・・」と申し訳なさそうな声をかけられたのだ。

前回もそれなりに待たされていた私は、「一時間程度なら想定内」と高を括っていた。

しかし、結論から言えば、そこから実に2時間半も待たされることになる。

看護師の声しか聞こえない待合室で、何度も診察室のドアが開閉する音を聞いた。

壁のディスプレイに表示される待機中の患者番号をいくら眺めても、自分の番号がいっこうに現れない。

本当に受付が通っているのかと、次第に不安が首をもたげるほどだった。

15時30分の予約に対して、実際に診察室へ呼ばれたのは18時を過ぎた頃だった。



いつもなら、待ち時間が長くなりそうな日は小説を持ち歩くようにしている。

けれどこの日は「診察だけだし。待っても一時間程度だろう」と甘く見ていた。手元に本はない。スマートフォンで時間を潰すのにもとうに限界を迎えていた。

そんな時、救いの声が頭上から降ってきた。


「もしかして(担当医)先生を待ってます?」


見上げると、そこには私より少し年上とお見受けする女性(以下、Aさん)が立っていた。

話を伺うと、彼女は私の次の予約枠で、やはり同じように待ち続けていたのだという。

その流暢な話ぶりから、この病院との付き合いは長いようで、顔見知りの看護師もいるらしかった。

やがてお互いの診察が終わった後も、待合室の一角で話は続いた。

Aさんの入院体験談や、今回彼女に処方されるという抗がん剤の話など興味深いお話をたくさんん聞かせてくれた。

驚いたのは、その薬が自費診療だと2年で1200万もかかるということ。

今回はギリギリで要件に該当し、保険診療での処方が認められたのだそうだ。

「やよい軒」で食べたあのハンバーグとミックフライ定食が、卑小なものであるかのようだった。

世の中には自分の給料よりも遥かに高額な薬が存在するのだという厳然たる事実に、私はただ圧倒されるばかりだった。




ちなみに、私の右胸の検査結果は「良性」だった。


「両胸共ではなかった」という大きな安堵と同時に、片胸だけ全摘となると再建時の豊胸は難しいのかもしれないな、という微かな落胆が入り混じった、複雑な感情が胸に広がった。

※詳しく調べてはいませんが、一般的に再建時の大幅な豊胸は難しいと思います。ただAさん曰く、「ちょっと胸は大きくなった」とのことだったけれど。




19時を過ぎると会計窓口が閉まってしまうため、この日の診療費は、次回の麻酔診察の際にまとめて支払うことになった。

Aさんは20時まで開いているという薬局へ抗がん剤を受け取りに向かい、そこで解散となった。


実に不思議で、劇的な出会いだったと思う。

病気を通じて出会う「患者仲間」というのは、こんな風に増えていくものなのだろうか。

不思議と、まるでネット友達とリアルで初めて会うかのような、初対面という感覚が一切なかった。

あの日の待合室は、家族やパートナーを伴った人が大半を占めていた。だからこそ、一人で所在なさげにスマートフォンを見詰めていた私が、彼女の目に留まり、声をかけやすかったのかもしれない。

その場でLINE交換をしたものの、あの夜以来、メッセージのやり取りはしていない。


けれど、自分が入院するその時には、こちらから一言連絡を入れてみようと思っている。

私の遥か先を歩く人生の先輩に「私もそこへ行きます」と伝えるために。




麻酔科の診察についても続けて書く予定でしたが、思いのほか中身の濃いエピソードになったため、今回はここで一区切りとします。

次回、麻酔科診察と入院前面談をお送りします。



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