川沿いを歩いていたはずなのに、いつの間にか海に出ていた、ある日の午後。
15時45分ごろ、本日(昨日)の遊び、
第2回戦、始まり〜
ちなみに、第1回戦はこちら
息子の「こっち!」の指示を聞きながら
三輪車を押した。
川を見てすっかり機嫌を直した娘。
「海に行ったら魚がいるかも?」
娘が行くのをついていく。
私と息子も海に着いた。
中学生くらいの男の子が
5、6人集まっていて
なんだか気まずかったけれど、
娘がずんずん進んでいってしまうので
ついていくしかなかった。
階段を降りて、海との距離がぐっと近づいた。
そこにはさっき見た男の子たちと
同い年くらいの男の子が一人で釣りをしていた。
確かに彼のそばの海を見ると、
魚の群れが見えた。
でもすぐに姿を消した。
私たちが来て騒がしかったので、
魚も逃げてしまったんだろう。
娘はさらに進んでいた。
「あれ、全然魚がいないねー」
それから、
「ここは海?」
と聞いてきた。
確かに私たちは川沿いを歩いてきた。
でも、いつの間にか海が広がっている。
娘からしたら不思議だったんだろう。
多分ここは川と海の境界線が混じる場所。
「チャプチャプって聞こえたよ」
海の水が岩場に当たって音を立てていた。
波の音が聞こえるし、
とても眺めのいい場所だった。
降りてもいい階段
家から数分の場所だけど、
一人ではなかなか来ない。
息子がもっと小さかった頃は危なかしくて、
とても近づけなかった場所。
これまでは階段を
降りるということはしなかったけれど、
先日、海で採ってきたアサリを逃がすために
一度階段を降りたことがある。
だから娘は、この階段は
降りてもいい階段だと認識したよう。
そろそろ元来た道を戻ろうとした時、
中学生の男の子たちはいなくなっていた。
きっと私たちが騒がしくて
帰ったんじゃないかと思う。
それから元来た道を戻ろうとした時、
神社へと続く小さな橋が見えた。
ここは通ったことがあるけれど、
久しぶりだった。
娘が自然とこちらの道に進んだので、
私たちはついて行った。
神社の隣に小さな公園がある。
息子は「わーい、公園だ」と言った。
公園で遊ぶのね、とほっとした。
その時、スマホのタイマーが
約束の15分を知らせた。
私はタイマーを止めようと
スマホを取り出した。
その時だった。
娘は「タイマーなったけど、まだ遊びたい」と
言い残して駆け出した。
顔を上げると、息子も走っていた。
(公園で遊ぶんじゃないのかい!)
私も駆け出した。
「ストップ!止まって!」
できる限り大きな声で叫んでも
止まってはくれなかった。
慣れない道。
車通りもよくわかっていない。
そんなところで走っていかれたら焦る。
私も追いかけたけれど、
息子はだいぶ先にいた。
娘は乗っていたキックスケーターを
その場に置いて、息子に追いついたようだった。
「ママ、転んじゃったよ」
息子は泣いていた。
痛いと言っていた場所を見たけれど、
特に傷もなかった。
そのまま息子を起こして注意をした。
「ストップ、止まってと言ったら止まります」
「勝手に行っちゃうと
車とぶつかって飛ばされちゃうよ」
「そしたら死んじゃうよ」
息子の顔を見て、怖い顔で叱った。
息子は分かったんだか分かってないんだか、
そんな顔をしていた。
魚はかくれんぼ中
1年くらい前まで大人しくて
天使のようだった息子は、
今ややんちゃ坊主。
目を離せばすぐにどこかへ行ってしまう。
本当にヒヤヒヤする。
それに対して娘は成長したなと思う。
数年前までどこかへ行っちゃう側だったのに、
6歳を前にした今は
弟を心配する立場になった。
頼もしくなったなぁと思う。
それから息子を三輪車に乗せて押した。
すると船が見えてきた。
港に着いた。
時々通る橋から見えている船でも、
実際に近くで見ることはなかなかない。
この港は数年前に
娘と二人で来たことがあったけれど、
それ以来だった。
娘と息子はすぐに海へ近寄っていった。
「魚いないねぇ」
すると、
「カニがいる!」
と言った。
水面をぷかぷかしているカニが10匹くらい。
多分もう死んでしまっているカニなんだろう。
けれど、カニを見つけた
娘と息子は嬉しそうだった。
港を進んでいったけれど、
それから生き物には出会わなかった。
カニを見つけて
期待して進んでいったんだろうけれど、
何もいなくてちょっと残念そうだった。
娘が、
「なんで魚いないの?」
と聞いた。
私は、
「りっちゃんたちが来たから隠れてるんだよ」
「人間が来たぞ、
見つからないように隠れようって、
かくれんぼしてるんだよ」
と伝えた。
もう少し歩いたところで、
小さな魚の群れを見つけた。
私はとっさに、
「しーっ」
と言った。
娘と息子は静かになって、
私と一緒にしゃがんだ。
白っぽい魚の群れ。
その少し離れたところに黒い魚が1匹。
白っぽい魚たちはそそそそっと離れていった。
私は
「魚1匹、はぐれちゃったみたいだね」
「あぁ待ってー、はぐれちゃったよ。
置いてかないでって言っているみたいだね」
そう言った。
水が満ちてくる
その後も娘と息子は魚を探した。
ヤドカリを見つけては集めていた。
私はしばらく子どもたちを眺めていた。
ふと遠くに見える橋の方を見る。
空と橋と海。
とても眺めのいい場所だった。
スマホで写真を撮った。
その時、ふとダッチアングルを思い出した。
スマホを少し傾けて撮ってみる。
なんだかいい感じ。
船もダッチアングルで撮ってみた。
画像生成ではやったことがあったけれど、
リアルでやったのは初めてだった。
教えてくれた人のことを思い浮かべながら、
思わず写真を送り付けた。
このnoteに載せたいくらい美しい景色だった。

でも場所が特定されるのは少し嫌だった。
それでも、この何とも言えない
感動を伝えたくて、
何枚も送ってしまった。
少しすると、
なんだか海の水が増えてきたように感じた。
娘も気付いていた。
「ママ、なんで水あるの?」
数分前まで乾いていたコンクリートが
少しずつ濡れ始めていた。
潮が満ちてきたんだなぁと思った。
「もうすぐここびしょびしょになるよ。
上に登って」
娘と息子は上がってきた。
ふとさっきまでいた場所を見る。
もう足の踏み場もないくらい
水浸しになっていた。
タッチの差だった。
港、また行こうね
と思ったのも束の間。
息子はわざわざ
濡れたコンクリートへ降りていった。
普通の靴なのに気にせずビシャビシャ。
そして案の定、つるっと滑って泣いていた。
これには懲りたのか、やっと上に上がってきた。
「もうすぐ5時。家に帰ろう」
帰り道。
今度は魚が跳ねた。
空を見るとトンビが飛んでいた。
さっきまでとは雲の形も変わっていた。
雲の向こうには太陽。
雲を透かして光が見えていた。
本当に美しい景色だったと思う。
写真を撮った。
これも送り付けようかと思ったけれど、
しつこいかなぁと思ってそっとしまっておいた。
「さぁ帰ろう」
家の近くまで戻ってきた。
近所の猫ちゃんが外で寝ていた。
私たちは近寄ってなでなでした。
私が飼い主さんと話している間に、
息子はまたどこかへ消えた。
と思ったら、
「ママ、チクチクする」
と言いながら戻ってきた。
手にはサボテンの毛が数本刺さっていた。
本当に信じられない息子である。
この後どうなったかはご想像にお任せしたい。
港、また行こうね。

