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2024年11月2日(土)|すれ違う足音

土曜日の今日、私は美嘉さんの自宅近くにあるカフェで15時までアルバイトに入っていた。 シフトを終えてそのままリュックを担ぎ、16時からの葵ちゃんの家庭教師に備えて古木家へと向かう。

チャイムを鳴らすと、今日は美嘉さんではなく、葵ちゃんがインターホン越しに応答した。

『あッ、先生こんにちは! どうぞー』

玄関ドアを開けると、葵ちゃんが笑顔で出迎えてくれた。

「今日はママ、急なお出かけでいないんです。どうぞ上がってください」

正直、昨日のあの歪んだ動画のこともあり、美嘉さんに会えるのを密かに期待していた自分もいた。少し肩透かしを食らったような寂しさを覚えつつも、気を取り直して1時間、しっかりと葵ちゃんの勉強に向き合った。 教師としての責務を果たした充実感を胸に、私は古木家をあとにした。

帰り道、美嘉さんの家の近くにある小さな公園を歩いていると、スマホが鳴った。美嘉さんからだった。

『先生、今日はごめんなさいね。急用ができちゃって……ところで、昨日の動画はどうだったかしら?』

受話器越しに聞こえる美嘉さんの低く艶っぽい声に、胸が跳ねた。 誰かに聞かれる心配もない公園の散歩道で、私は抑えきれない興奮をそのまま美嘉さんに伝えた。あの映像にどれほど自分が呑み込まれたかを、熱を帯びた言葉で口にしていた。

その時――正面から、一人のスポーツウェア姿の中年男性が歩いてくるのが視界に入った。

どこかで見覚えのある顔……どこだっけ、と頭の片隅で考えながら、スマホを耳に当てたまま彼とすれ違う。

(あっ……美嘉さんの、ご主人だ)

思い出した時には、背後で彼の靴音が遠ざかり始めた後だった。

寒気が背筋を駆け上がった。 今の私の声、美嘉さんへ放った生々しい言葉――まさか、彼に聞かれてしまったのではないか? 振り向くこともできず、私は受話器を握りしめたまま、その場に立ち尽くしていた。

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関連投稿 【R-18】2024年11月2日(土)|公園での遭遇と、衝撃の会話

☕ 筆者のあとがき
最後までお読みいただきありがとうございます! 葵ちゃんの家庭教師という「表の顔」を果たした直後に訪れた、あまりにも危険なニアミス。 受話器越しに美嘉へ背徳的な言葉を浴びせていたその瞬間、目と鼻の先を過ぎ去ったのは、他ならぬ彼女の夫――。 「会話を聞かれてしまったのでは?」という冷や汗が止まらない恐怖。 ここから物語の歯車が、夫視点(玲)のあの「疑惑」へと急速に噛み合い始めます! サスペンスとしての緊張感が一気に跳ね上がる怒涛の展開です。 作品を気に入っていただけましたら、ぜひ【スキ】や【サポート】で応援をよろしくお願いいたします! 明日の更新もどうぞお楽しみに!

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