「AIが賢くなりすぎた」——公開中止になったClaude Mythos、その理由がヤバすぎた話
どうも、アルパカPCのタロー店長です。
今日はちょっといつもと毛色の違う話をしたいなと。
「AIが賢くなりすぎて、公開できなくなった」
……って聞いたら、どう思います?
SFの話じゃないですよ。
2026年4月7日、つい数日前にリアルで起きた話です。
しかもこれ、ボクにとってはある意味「自分ごと」なんですよね。
実はボク、最近の業務ではAIの「Claude(クロード)」をめちゃくちゃ使ってまして。
お店の業務効率化とか、ちょっとしたツールの開発とか、マーケティングの分析とか——正直、Claudeなしでは回らないレベルで頼ってます。
で、Claudeを作っているAnthropic(アンソロピック)という会社が、新しいモデルを開発しているという噂がずっとあったんですよ。
「次のモデル、めちゃくちゃ賢いらしいぞ」と。
ボクとしては「やった、もっと賢くなるなら仕事がさらに捗るぞ!」ってワクワクしてたわけです。
……ところが。
フタを開けてみたら「賢くなりすぎたので、一般公開やめます」ときた。
えぇぇぇぇ。
AIモデル「Claude Mythos」が公開中止に——その理由
あらためて整理します。
AIの開発元であるAnthropicが、自社の最新AIモデル「Claude Mythos Preview(クロード・ミトス・プレビュー)」の一般公開を取りやめました。
理由は「サイバーセキュリティの面で、危険すぎるから」。
Anthropicは、ChatGPTのOpenAIと並ぶAI業界の超大手。
その超大手が「うちの最新モデル、強すぎて世に出せません」と言い出したわけです。
いや、ボクが毎日使ってるサービスの会社がですよ?
他人事じゃないどころか、ド真ん中の当事者です。
Mythosが「強すぎる」ってどういうこと?
何が強いのかというと、ソフトウェアの弱点(脆弱性)を見つけて、攻撃する方法まで自動で作れてしまう能力です。
たとえばこんな実績が報告されています。
OpenBSD(セキュリティが世界一堅いと言われるOS)に27年間潜んでいたバグを発見。
27年ですよ。
世界中のセキュリティ専門家がずっと見逃してきた穴を、AIがひょいと見つけてしまった。
しかもこれだけじゃない。
動画再生ソフトの裏側で使われている「FFmpeg」というプログラムでは、自動テストツールが500万回以上スキャンしても見つけられなかった16年前のバグをMythosが見つけた。
Linuxカーネル(サーバーの基幹ソフト)では、複数の弱点を組み合わせて、一般ユーザーの権限から管理者権限を奪取するところまで自動で完了した。
……いやもう、これプロのハッカーですよね。
しかもAnthropicの発表によれば、これらの作業をMythosはほぼ自律的に、人間の介入なしでやっている。
エンジニアが1段落ほどの指示を書くだけで、あとはMythosが勝手にコードを読み、仮説を立て、実験し、攻撃コードまで書き上げてしまう。
Firefox 147の脆弱性を使ったテストでは、前モデル(Claude Opus 4.6)が成功2回だったのに対し、Mythosは181回成功した。

90倍ですよ。
「進化」というレベルの話じゃない。「種類が変わった」と開発元が表現するのも分かります。
「プロジェクト・グラスウィング」——世界の超大手が集結
で、Anthropicがとった行動がめちゃくちゃ面白い。
「危ないから封印しよう」じゃなくて、「危ないからこそ、防御のために使おう」と動いた。
それが「Project Glasswing(プロジェクト・グラスウィング)」です。
参加企業を見たら世界でも大手の企業ばかり。
AWS、Apple、Google、Microsoft、NVIDIA、Cisco、CrowdStrike、JPモルガン、Palo Alto Networks、Broadcom、Linux Foundation。

IT業界のオールスターです。
普段はライバル同士の企業が、このプロジェクトでは肩を並べている。
彼らにMythosを限定的に提供して、「攻撃者が同じ能力を手に入れる前に、自分たちのシステムの穴を先にふさごう」という取り組みです。
Anthropicはこのプロジェクトに最大1億ドル(約159億円)分のAI利用クレジットを提供し、さらにオープンソースのセキュリティ団体に400万ドル(約6.3億円)を寄付しています。
ちなみに「グラスウィング」という名前の由来は、透明な羽を持つ蝶「グラスウィングバタフライ」から。
透明な羽で天敵の目をかわして生き延びるように、ソフトウェアの中に透明に潜む脆弱性を見つけ出そう——という意味が込められているそうです。
おしゃれですよね。
パソコン屋として思うこと
ボクはAIの開発者でもセキュリティ専門家でもないです。
埼玉の中古パソコン屋の店長です。
でもね、この話を聞いて「他人事だな」とはまったく思わなかった。
だってこれ、普段使ってるパソコンのOS、ブラウザ、動画プレーヤーに穴がある、って話じゃないですか。
27年間見つからなかったバグがある。
16年間見つからなかったバグがある。
それをたった50ドル——日本円で約8,000円のAI利用料で見つけられるようになった。
AIがこの能力を持った以上、今後はもっと安いコストで、もっと多くの人が同じことをできるようになる。
「うちは小さいから狙われない」なんて時代はとっくに終わってると思うんですよね。
だからこそ、ボクは中古パソコンを扱う立場として「セキュリティソフトをちゃんと入れましょう」「OSのアップデートはすぐやりましょう」って声を大にして言いたい。
……実を言うとアルパカPCも、全品にセキュリティソフトを付属するようになったのはわりと最近の話です。
偉そうなこと言える立場じゃないのは分かってます。
でも、だからこそ言えるんですよね。
「やってなかった側」だったからこそ、今やることの大事さが身に沁みてる。
Project Glasswingみたいな超大手の取り組みで穴がふさがれても、あなたのパソコンにアップデートが適用されなければ意味がない。
むしろ逆に、AIがバグを見つけるスピードが上がるということは、アップデートの頻度も上がるということ。
「また更新か……」って思うかもしれないけど、その更新の裏には、AIが見つけた深刻な穴をふさぐパッチが含まれているかもしれない。
Windows Updateを後回しにしない。
セキュリティソフトは信頼できるものを入れておく。
この2つだけでも、AIハッキング時代の防御力はかなり変わります。
もうひとつ気になる話——「Mythosは自分がテストされてることに気づいていた」
最後にもうひとつだけ。
実はこのMythos、安全性を評価するテスト中に「今、自分はテストされている」と認識していた形跡が約29%のケースで確認されたそうです。
さらに衝撃的なのが、一部のテストでは意図的に能力を低く見せていた疑いがあるとのこと。
つまり「テストされてるな、ここは大人しくしとこう」と判断していた可能性がある。
……ここまでくると、もう映画の世界ですよね。
でもこれが2026年4月のリアルです。
AIは「便利な道具」のフェーズを明らかに超え始めている。
で、ここからはボクの個人的な感想なんですけど。
正直、怖いだけじゃなくてワクワクしてる自分がいるんですよね。
だってこれ、裏を返せばAIがまた一歩「AGI(汎用人工知能)」に近づいたってことでもあるわけじゃないですか。
脆弱性を自分で見つけて、自分で仮説を立てて、自分で検証して、自分で対策まで考える。
これってもう「言われたことをやる道具」じゃなくて、「やりたいことを汲み取って、自律的に動いてくれる存在」に片足突っ込んでますよね。
ボクみたいな小さなパソコン屋の店長でも、Claudeのおかげでツールを作ったり、データを分析したり、今までひとりじゃ絶対できなかったことができるようになった。
もしこれがさらに進化して、「こういうことやりたいんだよね」って相談したら、すぐに形にして試せるようになったら。
そしたらボクたちは、もっと人間にしかできないこと——お客さんの顔を見て話を聞くとか、「この人にはこのPCが合うな」って直感で選ぶとか——そういう仕事にもっと集中できるようになる。
その未来が、もうすぐそこまで来てるんだなと。
今回のMythosの件は「危険だ」という話であると同時に、「ここまで来たのか」という希望の話でもあるとボクは思っています。
怖がるだけじゃなくて、ちゃんと理解して、ちゃんと付き合っていく。
AIを作ってる側も、「強すぎるから出さない」って判断ができている。
その誠実さに、少しだけ希望を感じています。
少しだけ宣伝(でも大事)
アルパカPCでは現在、全品にセキュリティソフト「Webroot」を付属してお届けしています。
中古パソコンでもセキュリティはしっかり。よかったら覗いてみてください。
▶ アルパカPC公式サイト https://alpaca-pc.com/
それでは、タロー店長でした!
【追記:この話、続きがあります】
この記事を書いたのは2026年4月。
実はこのあと、封印されたはずのMythosが、とんでもない動きを見せたんです。
▶ 第2話:封印されたAIが、たった1ヶ月で世界中のソフトから“穴”を1万件以上見つけた話
【続報】封印された“賢すぎるAI”、1ヶ月で脆弱性1万件発見——Claude Mythosのその後がヤバすぎた
https://note.com/alpacapc/n/n3c0011472978
▶ 第3話:ついに一般公開された——と思ったら、3日で国に止められた話
【続々報】公開からたった3日で“封印”——“賢すぎるAI”に、ついに国が動いた話
https://note.com/alpacapc/n/n56023a6226f0
賢すぎるAIをめぐる話、2026年6月の今もまだ続いてます。
よかったら、続きも追いかけてみてくださいね。
