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住宅ローン月10万円はきつい?年収600万円台家庭の5年後のリアル

はじめに

住宅ローンを組んだ人の約3人に1人が後悔しています。その最大の理由は「借入金額を少なくすればよかった」というもの。なぜ、事前に調べたはずなのに後悔するのでしょうか?

「最近、子どもの習い事を減らしたんだ」

数年前に家を買った友人が、少し寂しそうにそう言いました。彼の子どもはサッカーが好きで、週3回の練習を楽しみにしていました。でも、月謝が重なると、家計が回らない。ピアノも、英会話も、少しずつ減らしていったそうです。

「住宅ローンさえなければ、全部続けさせてあげられたのに」

彼は真面目な性格で、物事を決める前には必ず下調べをします。住宅ローンも例外ではありませんでした。金利を比較し、住宅ローンシミュレーションを何度も回し、ネットの記事も読み漁りました。

「住宅ローンについて、ちゃんと調べたつもりだったんです」

それでも今、彼は「何かが違った」と感じています。

何を見落としたのでしょうか。

答えは意外なほどシンプルでした。彼が見ていたのは「住宅ローン」という商品だけで、自分たちの「家計」ではなかったのです。

金利、返済額、年収倍率。これらはすべて大事な要素です。でも、それは「ローン単体」の話であって、「家計全体」の話ではありません。住宅ローンは、毎月の給料から引かれ、子どもの教育費と並走し、親の介護が始まっても続いていきます。それなのに、多くの人は「借りられる額」だけを見て、「返し続けられる生活」を想像しません。

住宅ローンで後悔する人の共通点は「借りられる額」だけを見て「返せる生活」を想像しなかったこと。銀行審査に通っても安全とは限りません。家計・教育費・介護を含めた「人生設計」で考える住宅ローンの選び方を解説します。

なお、変動金利と固定金利で悩まれている方はこちらをご覧ください↓


1.住宅ローンを「単体」で考えると失敗する理由

なぜ住宅ローンは「単体」で考えた瞬間にズレ始めるのか


住宅ローンを調べ始めると、最初に目に入るのは「金利」と「返済額」です。

「変動金利0.4%」
「月々の返済額10万円」
「年収の5倍まで借りられます」

これらの数字は、一見すると非常に具体的で、合理的に見えます。銀行の住宅ローンシミュレーターに年収と希望額を入力すれば、瞬時に「あなたが借りられる額」が表示されます。審査に通れば、その金額は「安全」だと錯覚してしまいます。

でも、ここに最初の罠があります。

銀行が教えてくれるのは「借入可能額」であって、「返せる額」ではありません。

もっと言えば、銀行の審査基準は「銀行が貸したお金を回収できるか」を見ているだけで、「あなたが豊かに暮らしながら返済できるか」は見ていません。

たとえば、年収600万円の人が銀行の審査を受けると、返済負担率35%〜40%まで借りられることがあります。年間で210万〜240万円、月々17万〜20万円の返済です。実際、私は返済負担率32%で借りています。
しかし、これは「銀行から見たら安全」という意味であって、「家計から見たら余裕がある」という意味ではありません。

多くのファイナンシャルプランナーが推奨する「無理なく返せる返済負担率」は、年収の20%〜25%です。同じ年収600万円なら、年間150万円、月々12.5万円が目安になります。

銀行の基準と、生活者の基準には、5万〜7万円のギャップがあります。

このギャップを知らずに「借入可能額」をそのまま借りてしまうと、数字上は問題ないのに、なぜか毎月ギリギリで、貯金ができず、ボーナスも全部返済に消えていく…という「見えない圧迫感」が始まります。

ローンは契約、家計は運用


ここで大事なのは、住宅ローンは「契約」ですが、家計は「運用」だという視点です。

契約は一度結べば、それで完結します。でも家計は、毎月変化します。収入が増えることもあれば、減ることもあります。子どもの習い事が増えたり、親の介護が始まったり、自分が病気になったりします。

住宅ローンを「契約」として見ている人は、「月々10万円なら払える」で終わってしまいます。でも家計を「運用」として見ている人は、「月々10万円を、これから30年間、どんな状況でも払い続けられるか?」と問い続けます。

この差が、住宅ローンで後悔するかしないかの分かれ道になります。

2.住宅ローンと家計のズレ|後悔する人に共通する3つのパターン


住宅ローンを家計全体から切り離して考えると、時間の経過とともに「ズレ」が顕在化します。最初は小さな違和感だったものが、10年、20年という時間の中で、家計を壊す亀裂へと成長していきます。

これが、マイホーム購入で後悔する人に共通する3つのパターンです。

パターン①:時間のズレ ― 今払える ≠ 10年後も払える


「今の家計なら、月々15万円の返済は問題ない」

そう判断して住宅ローンを組んだとします。確かに、今は共働きで、子どもはまだ保育園。教育費もそれほどかかっていません。月15万円を引いても、生活に余裕があります。

でも、10年後はどうでしょうか。

【実例で見る:家計の時間変化シミュレーション】

実際のケースで見てみましょう。

■ 住宅購入時(2024年)
夫(35歳)年収600万円
妻(33歳)パート年収100万円
長男(3歳)保育園

■ 10年後(2034年)
夫(45歳)年収700万円
妻(43歳)パート年収120万円
長男(13歳)中学生
次男(7歳)小学生 ←購入後に誕生

■ 15年後(2039年)
夫(50歳)年収720万円
妻(48歳)パート年収150万円
長男(18歳)大学1年生(私立理系)
次男(12歳)中学生

家を買った時は「子ども1人」だったのに、購入後に2人目が生まれる。これは決して珍しいケースではありません。

【表:子ども関連支出の推移】

※学費は年単位、前後期で支払うものも月額換算しています。

そして、さらに恐ろしいのは、教育費だけではないということです。

【表:家計全体の変化(月額ベース)】

購入時と15年後を比べると、何が起きているでしょうか。

収入は+10万円しか増えていないのに、支出は+35万円増えています。

特に注目すべきは「食費」です。幼児1人の時は月5万円で済んでいた食費が、中高生2人を抱えると月10万円に倍増します。育ち盛りの男子2人が夕食でご飯を3合食べる、部活後に夜食を食べる…そんな日常が、家計に静かに重くのしかかります。

光熱費も同じです。子どもが2人になれば、エアコンは2台同時稼働。お風呂も2回沸かす家庭もあります。通信費も、中学生になればスマホ契約が増え、家族4人分の通信費が月3万円に達します。

そして、住宅ローンの15万円は1円も減りません。 むしろ、変動金利なら金利上昇で増える可能性すらあります。

この表を見て「うちは大丈夫」と言い切れますか?

今払えることと、10年後も払えることは、まったく別の話です。

多くの人が住宅ローンを組むのは、30代前半〜40代前半。子どもがまだ小さく、教育費のピークが「遠い未来」に見える時期です。だからこそ、その未来を数字で可視化しないまま、「今の余裕」で借入額を決めてしまいます。

これが、住宅ローン失敗例で最も多い「時間のズレ」です。

パターン②:優先順位のズレ ― ローンが最優先になり、他を削る


住宅ローンには、ひとつ厄介な性質があります。

それは、「固定費」であり、「削れない」ということです。

食費は減らせます。外食を控えれば、月3万円は浮きます。通信費も格安SIMに変えれば半分になります。でも、住宅ローンの返済額は、基本的に変わりません。毎月、同じ金額が引き落とされ続けます。

すると、何が起きるでしょうか。

住宅ローンが、家計の中で「最優先」になってしまいます。

本来であれば、「家族旅行」「子どもの習い事」「自分の趣味」「老後の貯金」といった、人生を豊かにするための支出があったはずです。でも、住宅ローンが固定費として重くのしかかると、これらが「削ってもいいもの」にカテゴライズされてしまいます。

気づけば、毎月の生活は「ローンを払うため」に最適化されています。旅行は我慢、外食は月1回、服は買わない、趣味も封印。

数字上は破綻していません。でも、心は確実に疲弊しています。

これが、優先順位のズレです。

パターン③:心理的余裕のズレ ― 数字上は問題ないが、常にギリギリ


「うちの家計、別に赤字じゃないんです。でも、なんかずっとギリギリなんですよね

住宅ローンを抱えている人と話すと、こんな言葉をよく聞きます。

収支を見ると、確かに黒字です。毎月1万円〜2万円は貯金もできています。でも、それは「何も起きなければ」という前提での話。子どもが体調を崩して入院した、エアコンが壊れた、車検が来た…そんな「小さな想定外」が起きるたびに、貯金を切り崩します。

そして、また翌月からギリギリの生活が始まります。

詰むのは、数字じゃなくて、感覚の方が先です。

家計簿上は問題ありません。でも、心の中には常に「何かあったらどうしよう」という不安があります。この「心理的余裕のなさ」が、住宅ローンを抱えた生活の最大のストレスになります。

そして厄介なのは、この感覚は「住宅ローンシミュレーションでは測れない」ということです。だから、住宅ローンを組む前には気づけません。気づいたときには、もう遅いのです。

3.住宅ローン審査に通っても安全ではない理由


ここまで読んで、「じゃあ、なんで多くの人が無理なローンを組んでしまうの?」と思うかもしれません。

実は、住宅ローンには「大丈夫だと思わせる仕組み」がいくつも埋め込まれています。

理由①:審査に通った = 安全だと思ってしまう


住宅ローンの審査に通ると、多くの人は安心します。

「銀行がOKを出したんだから、この金額は問題ないはずだ」

でも、これは誤解です。

銀行の審査基準は、あくまで「貸したお金が返ってくるかどうか」を見ています。つまり、「最悪、家を売って回収できればOK」という視点です。あなたの生活が苦しくなろうが、貯金ができなくなろうが、それは銀行の関心事ではありません。

審査に通ったという事実は、「安全」の証明ではなく、「返済不能にはならない最低ライン」を意味しているだけです。

理由②:周りも同じ金額を借りている安心感


「うちの同僚も、同じくらいの金額を借りてるって言ってた」
「この年収なら、4,000万円くらいが普通らしいよ」

こんな会話、聞いたことはないでしょうか。

人間は、周囲と同じ行動を取ることで安心する生き物です。みんなが借りているなら、自分も大丈夫だろう、と。

でも、「みんながやっている」は、「正しい」を意味しません。

実際、住宅ローン利用者の約3人に1人が、自分の選択に何らかの後悔を抱えています。その中で最も多いのが「借入金額を少なくすればよかった」という回答です。

つまり、「周りと同じ」は、「周りと同じように後悔する確率が高い」という意味でもあります。

理由③:住宅ローンは「失敗談」が表に出にくい


もうひとつ、住宅ローンには特殊な性質があります。

それは、失敗しても、静かに生活が削られるだけということです。

たとえば、起業に失敗すれば、それは周囲にも見えます。転職に失敗すれば、愚痴も言えます。でも、住宅ローンで失敗しても、それを公言する人は少ないのです。

「実は、ローンがきつくて、毎月ギリギリなんだ」

そんなことは、なかなか言えません。だから、住宅ローンの失敗は、家の中に閉じ込められたまま、静かに積み重なっていきます。

周りには「みんな普通に返せている」ように見えます。でも実際には、多くの人が同じように苦しんでいます。ただ、それが見えないだけです。

4.住宅ローンは「人生の転機」とセットで考えるもの


住宅ローンの返済期間は、通常30年〜35年にわたります。

この長い年月の間に、家計の前提条件は必ず変化します。住宅ローンを「今の収入と支出」だけで考えることは、止まっている時計の針を見て時間を判断するようなものです。

人生には、予測可能な、あるいは予測不可能な「転機」がいくつも存在します。そして、それらと住宅ローンがどのように干渉し合うかを、事前に想定しておく必要があります。

転機①:教育費のピークと住宅ローンの「デッドヒート」


子どもを持つ世帯にとって、最大の転機は「教育費の増大」です。

特に、大学進学期は、住宅ローンの返済が後半戦に差し掛かる時期と重なることが多いです。

たとえば、子どもが2人いて、どちらも私立大学の理系に進学したとします。この場合、月々の教育費負担は平均で約23万円に達します。

住宅ローンが月15万円、教育費が月23万円。合計38万円。

手取り収入が40万円の家計なら、この時点でほぼ終わりです。食費、光熱費、通信費、保険料…すべてを2万円で賄うことになります。

「そんな極端な例、普通じゃない」と思うかもしれません。でも、これは決して珍しいケースではありません。むしろ、教育費を甘く見積もっていた家計が、この時期に一気に破綻します。

大事なのは、「起きるかどうか」ではなく、「起きたとき耐えられるか」という視点です。

住宅ローンを組む時点で、子どもの進学先は決まっていません。でも、「もし私立に行ったら」「もし理系に行ったら」「もし浪人したら」というシナリオは、住宅ローンシミュレーションに組み込めます。

そのシナリオを描かないまま、「今の余裕」で借入額を決めてしまうと、10年後に取り返しのつかないことになります。

転機②:親の介護と、働き方の変化


もうひとつ、見落とされがちな転機が「親の介護」です。

統計によれば、介護を始める人の年齢は50代が最も多く、次いで40代。この年代は、住宅ローンの残高もまだ大きく、かつ職場での責任も重い時期です。

介護離職をすれば、収入は完全に途絶えます。数千万円のローン残高を抱えたまま、無収入になるというシナリオは、決して非現実的ではありません。

また、介護離職をしなくても、働き方を変えざるを得ないケースもあります。時短勤務、転職、フリーランスへの転向…いずれも、収入が減る可能性があります。

住宅ローンの返済計画は、収入が「ずっと同じ」という前提では組めません。

転機③:自分の健康状態の変化


最後に、自分自身の健康も、重要な転機です。

団体信用生命保険(団信)は、死亡時や高度障害時には対応します。でも、病気やケガによる「長期の就業不能状態」をすべてカバーするわけではありません。

たとえば、うつ病で半年間休職した場合。団信では保障されませんが、住宅ローンの返済は続きます。傷病手当金で収入の一部は補填されますが、それでも手取りは大幅に減ります。

この時期に、月々15万円のローン返済が続いていたら?

貯金を切り崩すしかありません。そして、貯金が尽きたら?

健康は、いつまでも続く保証はありません。

だからこそ、住宅ローンを組む時点で、「もし働けなくなったら」というシナリオも想定しておく必要があります。

5.住宅ローンの適正額を判断する4つの基準


じゃあ、具体的にどうすればいいのか。

ここで大事なのは、「完璧な答え」を探すことじゃありません。そうじゃなくて、自分なりの基準を持つことです。

その基準として、最低限押さえておきたいのが、次の4つの視点です。

基準①:月返済額ではなく「固定費比率」で見る


住宅ローンを検討するとき、多くの人は「月々いくら?」を気にします。

「月10万円なら払えそう」
「月15万円はちょっときついかな」

でも、本当に見るべきは「固定費全体に占める住居費の割合」です。

家計の理想的な配分として、よく言われるのが「固定費45%・変動費35%・貯金20%」という黄金比です。

この「固定費45%」の中には、住居費(ローン・管理費・修繕積立金・固定資産税)だけでなく、通信費、保険料、水道光熱費も含まれます。

もし住居費が手取りの30%を占めてしまったら、残りの15%で他の固定費をすべて賄わなければなりません。これは、ほぼ不可能です。

住居費は、手取り収入の25%〜30%以内に抑える。

これが、破綻しない家計の最低ラインです。

基準②:教育費ピークとの重なりを確認する


住宅ローンを組むとき、「今の家計」だけで判断してはいけません。

必ず、教育費がピークを迎える時期のキャッシュフローをシミュレーションする必要があります。

子どもが大学に入る年齢を逆算して、その時期に「住宅ローン+教育費」を払いながら、他の生活費と貯金ができるかを確認します。

もし、その時期に赤字になるシミュレーション結果が出たら?

借入額を減らすか、教育費を早めに貯め始めるか、どちらかを選ぶしかありません。

基準③:収入が落ちた場合の「耐久年数」を計算する


次に、リスクシナリオを想定します。

「もし、収入が3割減ったら、何年耐えられるか?」

この問いに答えられる家計は、強いです。

具体的には、貯金額と、収入減少時の赤字額から逆算します。

たとえば、貯金が500万円あり、収入が3割減ると月々5万円の赤字になる場合、耐久年数は約8年です。

この耐久年数が3年以下なら、住宅ローンの借入額は多すぎます。

基準④:繰上返済より優先すべきもの


住宅ローンを組んだ後、多くの人が「繰上返済」を目指します。

「早く返し終わりたい」
「金利がもったいない」

その気持ちはわかります。でも、繰上返済を優先しすぎて、貯金が減ってしまうのは本末転倒です。

繰上返済よりも、まずは「生活防衛資金」を確保してください。

生活防衛資金とは、収入が途絶えても半年〜1年は生活できる貯金のことです。これがないまま繰上返済に走ると、いざという時に借金をすることになります。

住宅ローンは低金利ですが、カードローンや教育ローンは高金利です。繰上返済で浮いた利息よりも、緊急時に借りる利息の方がはるかに高くつきます。

6.「詳しくなる」より先にやるべきこと


住宅ローンの商品性や、最新の金利動向、複雑な税制優遇措置について「詳しくなる」ことは、確かに重要です。

でも、それらはあくまで「手段」の最適化に過ぎません。

住宅ローンという長い旅路において、遭難を避けるために最も必要なのは、高性能なコンパス(知識)を持つことよりも、明確な「目的地(価値観)」と「生存戦略(リスク管理)」を確立することです。

やるべきこと①:キャッシュフローの可視化と「現実」の直視


知識を詰め込む前に、まずやるべきことがあります。

それは、自分たちの家計の「未来予想図」を数値化することです。

ライフプラン診断ツールを使って、教育費のピーク、車の買い替え、家の修繕、親の介護、そして自分たちの老後資金…すべてのピースを、時間軸の上に置いてみてください。

この作業を通じて得られるのは、「いかに安く借りるか」というテクニカルな問いではなく、「自分たちはいくらまでなら、人生を楽しめる余裕を残して返せるのか」という、極めてパーソナルで本質的な答えです。

やるべきこと②:住まいへの優先順位と「足るを知る」哲学


住宅ローンをめぐる多くの後悔は、「理想の家」という欲望が「持続可能な生活」という現実を上回った時に生じます。

広いリビング、駅近の立地、最新のキッチン設備。これらはすべてコストに跳ね返ります。

家を買う前に、夫婦で議論すべきは「どのような生活を送りたいか」という優先順位の定義です。

もし、年に一度の家族旅行を諦めたくないのであれば、その分のコストを住宅ローンの借入額から差し引かなければなりません。

もし、子どもに自由な進路を選ばせたいのであれば、教育費のピーク時に家計が黒字であることを、住宅のスペックよりも優先しなければなりません。

この「価値観の整理」こそが、どの金融機関を選ぶかよりも先に完遂すべきミッションです。

やるべきこと③:最悪のシナリオへの備えを知っておく


最後に、どんなに緻密な計画を立てても、人生には想定外の事態が起こり得ます。

その際、最悪のシナリオである「住宅ローンの滞納」を避けるための知識を持っておくことは、心理的な安定剤となります。

もし返済が困難になったら、督促が来る前に金融機関に相談してください。返済条件の変更を申し出る。あるいは、競売にかけられる前に「任意売却」という手段を検討する。

知識の本当の目的は、金融機関と対等に渡り合うためではなく、自らの人生の主導権を取り戻すことにあります。

まとめ|住宅ローンで後悔しないための5つのチェックポイント


住宅ローンで後悔しないために、以下の5点を必ず確認してください。

1. 返済負担率は年収の20〜25%以内に抑える


銀行の借入可能額ではなく、「無理なく返せる額」を基準にしましょう。年収600万円なら年間150万円(月12.5万円)が目安です。

2. 手取り収入ベースで住居費30%以内を厳守する


額面年収ではなく、実際に使える「手取り収入」を基準に計算してください。住居費(ローン+管理費+修繕積立金+固定資産税)の合計が手取りの30%を超えると、生活が圧迫されます。

3. 教育費ピーク時のキャッシュフローをシミュレーションする


子どもが大学に入る時期の家計を必ずシミュレーションしてください。「住宅ローン+教育費」を払いながら、他の生活費と貯金ができるかを確認しましょう。

4. 収入減少時の耐久年数を3年以上確保する


「もし収入が3割減ったら」というシナリオで、貯金がどれくらい持つかを計算してください。耐久年数が3年以下なら、借入額を減らすべきです。

5. 繰上返済より生活防衛資金を優先する


早く返したい気持ちはわかりますが、まずは収入が途絶えても半年〜1年は生活できる貯金を確保してください。緊急時に高金利のローンを借りることになっては本末転倒です。

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締めの言葉


住宅ローンで苦しくなる人の多くは、無知だったわけじゃありません。

ただ、順番を間違えただけです。

「いくら借りられるか」を先に見て、「どう生きたいか」を後回しにした。
「月々の返済額」を先に計算して、「10年後の家計」を想像しなかった。
「銀行の審査」を信じて、「自分の感覚」を疑わなかった。

住宅ローンは、人生で最も大きな借金です。

でも同時に、人生で最も「自分で決められる」借金でもあります。

家は、人生を豊かにするための器であって、そのローンのために人生の他の可能性を閉ざしてはなりません。

数字という現実を直視し、価値観という羅針盤を持ち、最悪の事態への備えを忘れない。

この三位一体の姿勢こそが、住宅ローンという長い旅を、後悔のないものにする唯一の道です。

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住宅ローンは、確かに重い。

でも、正しく向き合えば、それは「人生の重荷」ではなく、「家族の未来を守るための道具」になります。

大事なのは、借りる前に立ち止まって、自分に問いかけることです。

「この家で、どんな暮らしをしたいのか?」

その答えが、すべての基準になります。


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