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インフル念写【毎週ショートショートnote】

「私、念写に目醒めたの!」

嬉しそうな、しかし明らかに具合の悪そうな顔で彼女は笑う。

「これが見たいな、って思った映像が、このスマホにどんどん表示されていくのよ!」

熱も相当ありそうだ。
……だいぶ、病状が進んでいるようだ。

「これで四六時中、愛しの彼の姿を眺めて過ごせ――ちょっと、何するの……」

一刻も早い隔離と治療が必要と判断し、強制入院の措置をとる。

「やはり『恋の病』でしたね、先生」
「ああ」

彼女がこじらせたのは、風邪ではなく、強い恋愛感情。相手の全てを知りたいと望み念じるあまり、多数のカメラを仕掛けたことも忘れて盗撮映像に浸っていた。かなり危険な状態だった。

「先生、少し休まれては?」
「いや、いい」

今年の恋の病「インフル念写A型」は、感染力が非常に強く、患者は増える一方。今休むわけには――

「もう部屋は用意してあります」

とろんとした看護師の目。

「――私の思い描く理想の生活を、そこで二人ずっと――」

あっ、B型に罹ったな。




【お知らせ】
明日の文学フリマ東京41の新刊、田原さんが編集されているホラーアンソロジー「ウタ・カタ vol.3 鳴く」に参加しています。amanatzも上京予定です~。よろしくどうぞ。


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