【文学フリマ東京41】ホラーアンソロジー「ウタ・カタ 鳴く」に参加します
amanatzです。
2025年11月23日(日)東京ビッグサイト開催の「文学フリマ東京41」にて販売されるホラーアンソロジー「ウタ・カタ vol.3 鳴く」に、「vol.1 浮く」「vol.2 咲く」に引き続き参加させていただいております。

「ウタ・カタ」とは
石原三日月氏、霜月透子氏、田原にか氏のお三方が共同で立ち上げたホラーアンソロジープロジェクトです。
noteの人気創作企画「毎週ショートショートnote」その他もろもろで交流のあった田原にか氏からお誘いをいただいた縁で、毎度豪華なメンバーの末席に加えさせてもらっています。
本当に豪華なメンバーなんですよ、前回からこの半年の間に、新刊が出たり、賞獲ったりされてますし……!
「ウタ・カタ」に関するこれまでの関連記事は次のとおり。
三冊にわたり刺激を受け続けて、自分の創作活動にとって大きなものになりつつあります。
「vol.1 浮く」
「vol.2 咲く」
全作感想(準備中)
「ウタ・カタ Vol.3 鳴く」について
さて三冊目となる「鳴く」は、二冊目に参加された中では蜂賀三月氏がスケジュールの都合で残念ながらout、その代わり一冊目に参加したgojo(五条紀夫)氏と椿あやか氏がin、そして新たに澁澤まこと氏が初参加ということで、総勢16名による16とおりの奇妙で恐ろしい「鳴く」が詰まった一作になっています。

なお、ページ数だけ見るとamanatzが一番の大作のように感じますが、他の方よりもやたら改行が多いだけですので悪しからず。
amanatz参加作「嘘鳴き」について
今回amanatzが書いたのは「嘘鳴き」という作品。
実は、今回の作品を執筆・提出するにあたり、今回がもっとも紆余曲折ありました。
一冊目「浮く」では、いかにもホラーを意識した田舎の因習村を舞台にした「浮かばれない」という話を。
二冊目「咲く」では、対照的に都会の闇にスポットを当ててみた「蕾」という話を書きました。
そしてこの三冊目。
少しアプローチを変えてみるか、と。
シチュエーションから自分らしい物語を組み上げていくのではなく、少し「自分らしい」から外れたものを書いてみたいな、と考えたのです。
具体的には――「vol.1 浮く」の柿ノ木コジロー氏「なんか近頃浮いた話」のような、非日常が侵食してきている中での日常生活、みたいな話とか。
「vol.2 咲く」の霜月透子氏「転華苑」のような、SFチックなホラーとか。
あるいは、田原にか氏がホラー以外でも得意としている、特異で奇妙な何かが現実に当たり前に存在している前提で紡がれる物語とか。
過去二冊の様々な傑作に触れることで、「こういうの自分でも書いてみたいな……」と思って、いいアイデアが出たらではあるけど挑戦してみたいなと思ったのです。
そして、前回と同様、「鳴く」という言葉から着想を降ろそうと試みた当初の創作メモはこちら。
共鳴/叫鳴
閑古鳥が鳴く
風の鳴く谷
断末魔
嬉し鳴き/すすり鳴き/鳴き笑い
嘘鳴き
鳴きメロ
負け犬の遠吠え
鳴き蟲
鳴りふり構わぬ
鳴き王女のためのパヴァーヌ(?)
このうち、真っ先に「面白そう」と思えたのは、「断末魔」。
通り魔とか放火魔みたいな感じで、「断末魔」という存在が都市伝説のように認知されている社会――というアイデアが降ってきたのです……が、むしろ料理のし甲斐があり過ぎて、どう考えても本企画のレギュレーションに合わないくらいに長くなるなと考え、断念。
しかしこの着想、すぐに別の場所で陽の目を浴びることに。
monogatary.comの創作コンテスト「モノコン2025」の「リレー小説賞」という自由にメンバー募集する創作チーム戦があり、ここで「みんなで『断末魔』という都市伝説を作っていく」という企画として立ち上げ、興味を持っていただいた皆様のご協力のおかげで、最終的に総勢15名・37章に及ぶ大作に育てることができました。
自分で言うのもおこがましいですが、瞬く間に拡散した都市伝説に関する証言の数々(という体裁の、参加者から寄せられた物語)を、一つの結末に収束させてしまうのが惜しいくらい、めっちゃ面白いものに仕上がっています。
作品一覧は下記です。
石原三日月氏、田原にか氏にも参加していただきまして、そこだけ読んでもらっても面白いはずです!
……さて「ウタ・カタ」に話を戻します。
こちらに採用しようと初めに決めたアイデアは「鳴きメロ」。
この言葉の後に、『発車のベルが鳴きわめく』なんてメモも残っています。
日常の生活音が現実社会とは異なる、歪んだものに聴こえるようになった世界の話を書いてみたら面白いんじゃないか……という。
そういう、予定でした。
はい。
最終的に、この案は、ボツになりました。
いや、プロットも作ったし、この夏上記の「断末魔」に多くの時間を割くことになりあまり充てられる時間が無くなった中、それでも余裕で一気に書き上げられるだろうと思えるくらい、きちんと練ってあったんです。
ただ、いざ書き出してみると、……これ、あんまり怖くならないな、という思いがふつふつと込み上げてきまして。
一応ちゃんと設定だけではなく「怖い展開」も用意し、その上で最後の「どんでん返し」も考えたんですが、何というか、読んだ人にゾワッとさせるものが足りない気がして。
そして決め手は、「この設定、むしろ変に怖くしないほうが面白くなるんじゃないか」と思い至ってしまったこと。
そんなわけで、途中まで書きかけたものはいったん封印し、また何かの機会を待つものとして、今回は別の話を仕上げようと考えなおしました。
このとき、〆切まで一週間を切っていました。
そうです、ここだけの話、今回の「嘘鳴き」は、一週間弱で構成を考えて書き上げた作品です。
さすがに数日〆切をオーバーしまして、その節はご迷惑をおかけいたしました……>田原氏
まあ、当初のメモにも「嘘鳴き」の文字があるように、このワードを膨らませるのも有力な方向性だなとは考えていて。
さらに、これもメモにある「負け犬の遠吠え」の要素も加えて、amanatzらしい裏切りのある話を急いで組み立てました。

お話の舞台は、大学のゼミグループ。
「理想の恋人」としてゼミ仲間だった真拡と交際を始めたばかりの明日菜が遭遇する奇妙なトラブルと、その行きつくところとは――
……短期間で仕上げた話ではありますが、むしろまとまりという点では、内容をだいぶ削って押し込んだ前二作「浮かばれない」「蕾」を書いたときより、構想したとおりのものをすっきり出力できたなと自負しています。
まあ、当初の「自分らしい」から外れたものを書きたいというところからはまるで予定が狂ったわけですが、結果的に「私はこういう作品が得意なんです」と言えるくらい、ものすごくamanatzらしい一作になっています。
そして、当初やりたかった路線は「断末魔」のほうで充分に達成できたので、自分の中ではすべて結果オーライだったりします……
ぜひ、お楽しみいただけたらと思います。
参考リンク
文学フリマ東京41「ウタ・カタ」
ブースは P-23〜24 です!
なお、今回はamanatzも会場に遊びに行く予定。
こういった創作イベントに参加するのは初めてなので、とても楽しみです!
