バフェットの教えを引き継ぐ、アベル新CEO初のポートフォリオ解禁!|「究極の選択と集中」から個人投資家が学ぶべきこと【2026年3月末】
バークシャー・ハサウェイ(BRK-A,B)の2026年3月末(第1四半期)時点の保有有価証券報告書(13F)が公開されました。
投資の神様ウォーレン・バフェット氏が2025年末で同社CEOを退任し、グレッグ・アベル新CEO体制となってから初めての四半期開示。
注目が集まる中、全体を通して「選択と集中」を強く印象付ける、大胆な銘柄の入れ替えが行われています。
グレン・アベルCEO新体制下のバークシャーがどのような戦略を描いているのか、最新のポートフォリオを確認してみましょう!
まずは、ポイントをおさえます。
●アルファベット(Google)への投資を急拡大し、実質6位の上位銘柄へ
●アマゾンやビザなど16銘柄を全売却、シェブロンも大幅削減
●デルタ航空やメーシーズを新規購入、住宅建設のレナーを押し目買い
●自社株買いを少額ながら再開、キャッシュポジションは高水準を維持
バークシャー・ハサウェイ 2026年3月末保有銘柄
1.売却・保有減少した銘柄
全売却(13Fから記載消滅)
アマゾン・ドット・コム(AMZN)、ビザ(V)、マスターカード(MA)、ドミノ・ピザ(DPZ)など一斉に16銘柄。大幅減少
コンステレーション・ブランズ(STZ=米国最大級のアルコール飲料メーカー。「モデロ」や「コロナ」といった大人気の輸入ビールのほか、ワインやスピリッツ(蒸留酒)の製造・販売)を95.1%減。
主要銘柄エネルギーの大手、シェブロン(CVX)も大幅35.2%減少。
2. 新規購入・買い増しした銘柄
アルファベット(Google)への注力:
A株(GOOGL)の持ち高を一気に約3倍に拡大。さらに議決権のないC株(GOOG)も新規購入し、
ポートフォリオ内で実質6番目の位置を占める上位銘柄に急浮上しています。3月末の時価では、A株-156億ドル/C株10.3億ドル(約2.57兆円)新規購入: デルタ・エアラインズ(DAL)を比較的多額で新規購入したほか、メーシーズ(M)なども新規にポートフォリオ入り。
買い増し: 住宅建設のレナー(LEN)などに押し目買いを入れた模様。
デルタ航空(DAl)
米国大手の航空会社。世界最大級の路線網を持ち、旅客運送や貨物輸送で稼いでいます。自社のマイレージプログラム「スカイマイル」や共同ブランドのクレジットカードによる提携収入、高級シートへの投資による客単価の引き上げも強力な収益源となっています。
メーシーズ(M)
米国を代表する老舗の巨大百貨店チェーン。主力ブランド「メーシーズ」や高級路線「ブルーミングデールズ」、美容・化粧品「ブルーマーキュリー」など、衣料品や日用品の実店舗販売およびオンライン通販を展開。
レナー(LEN)
米国最大級の住宅建設会社。主に戸建て住宅の設計、建設、販売を行い、初めて家を買う人から住み替え層まで幅広く対応しています。住宅ローンや保険などの金融サービスもあわせて提供し、家づくりから資金手配まで一貫してサポートする実力企業です。
3. 自社株買いとキャッシュポジション
自社株買い: 2024年第3四半期からゼロが続いていましたが、今四半期は少額ながら復活をしています。
キャッシュポジション: 現金・現金同等物の残高は増加を続けており、高位に保つ姿勢が維持されています。2026年3月末時点では、4,000億ドル(約62兆円)に迫るレベルになっていると思われます。
4.上位10社で、90%を占める
下記の円グラフは保有上位10銘柄です。10社で、全体の90%を占めます。

歴史的な転換点
今回の開示は、投資の歴史における「大いなる転換点」として後世に語り継がれることになるのではないでしょうか。
なぜなら、半世紀以上にわたり同社を率いて世界最高の投資会社へと育て上げた「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏が2025年末にCEOを退任(会長職には留任)し、
グレッグ・アベル新CEOが就任して初となる四半期開示だからです。
個人投資家の視点
激変を目の当たりにした時、アベル新体制の「凄み」に戸惑う投資家も多いかもしれません。
一見すると、これまでのバークシャーらしからぬドラスティックな銘柄入れ替えが行われたように見えます。
しかし、その根底を流れるロジックを深く読み解いていくと、そこにはバフェット氏が数十年にわたり説き続けてきた「投資の本質」が、より洗練された形で受け継がれていることが分かります。
ここからは、歴史的なポートフォリオの変化を、個人投資家の立場で考えてみようと思います。そして「投資のヒント」を探ってみましょう。
驚愕の16銘柄「全売却」―感情を排した『選択』と『集中』の凄み
今回の13Fで最も強いメッセージを放っているのが、徹底的な「選択と集中」への舵切りです。
驚くのは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)をはじめ、ビザ(V)、マスターカード(MA)、ドミノ・ピザ(DPZ)など、一時代を築き、これまで、バークシャーのポートフォリオを支えてきた存在感のある銘柄を含む計16銘柄が、一斉にすべて売却(13Fから記載消滅)されたことです。
特に、VisaやMastercardのような「決済ネットワーク」という強力な経済の溝(ワイド・モート)を持つ企業や、
クラウドとEコマースの絶対王者であるアマゾンの全売却は、一般の投資家にとっては予想外だったかもしれません。
ここに、新CEOアベル氏の「冷徹なまでの合理性」と、バフェット流の「モート(堀)の再評価」が見て取れます。
決済ビジネスはFinTechの更なる進化や分散型金融の台頭など、長期的な構造変化の波にさらされています。アマゾンもまた、巨大化ゆえの成長減速や規制リスクを抱えています。
「かつて素晴らしかった企業が、
将来も同じように素晴らしいとは限らない」
バフェット氏が常々口にしていたこの原則を、アベル氏は「全売却」という明確な行動で実践してみせました。
私たち個人投資家は、一度買った銘柄に愛着(含み損への執着や、過去の成功体験への依存)を持ちがちです。
しかし、「前提条件が変わったのであれば、過去のスター銘柄であっても容赦なく手放す勇気」が必要であることを、この動きは教えてくれています。
アルファベット(Google)への集中投資が示す、新たな『確信』
売却によって得た莫大な資金の一部は、極めて大胆に特定の企業へ投入されました。それが「アルファベット(GOOGL)」です。
バークシャーは、議決権のあるA株(GOOGL)の持ち高を一気に約3倍に拡大し、さらに議決権のないC株(GOOG)も新規に購入。
アルファベットは一躍ポートフォリオ内で実質6位という、主要中核銘柄のポジションに急浮上しました。
昨今、生成AIの台頭によって「Googleの検索王国の終焉」を囁く声も一部にありましたが、バークシャーの判断は真逆でした。
彼らは、Googleが持つ膨大なデータ、YouTubeという圧倒的なプラットフォーム、そして強固なクラウドインフラとキャッシュ創出力が、AI時代においても「最強のモート」であり続けると確信したと思われます。
主要銘柄の一角であったシェブロン(CVX)を35.2%も減らしてまで、アルファベットに資金をシフトした点も重要です。
エネルギー(オールドエコノミー)から、強固なプラットフォームを持つハイテクへの資金移動。
単なる流行に乗った投資ではなく、「ビジネス構造の永続性」を徹底的に比較天秤にかけた結果の「確信の投資」と言えるのではないでしょうか。
因縁の航空株への『再エントリー』とアベル流の視点
もう一つ、古くからのバフェット・ウォッチャーを驚かせたのが「デルタ・エアラインズ(DAL)」の比較的多額での新規購入、そしてレナー(LEN)への押し目買いやメーシー(M)の新規取得です。
ご存知の方も多い通り、バフェット氏は2020年のコロナショックの際、「世界は変わってしまった」として、保有していた米航空大手4社の株をすべて損切りしました。後に「私の間違いだった」と認めた、いわばバークシャーにとって「因縁のセクター」です。
そこに、アベル新体制は再び足を踏み入れました。これは何を意味するのでしょうか。
私は、ここにアベル新CEOの「独自の強み」があると考えています。アベル氏はもともと、バークシャーの非上場エネルギー・インフラ部門を長年統括し、莫大な固定資産と規制、そして需要予測をコントロールしてきた「実業のプロ」です。
航空業界は、コロナ禍を乗り越え、移動需要の構造的な力強さが証明されました。また、業界再編を経て、かつてのような「資本をドブに捨てる過酷な価格競争」から、「安定したキャッシュフローを生み出すインフラ型ビジネス」へと変貌しつつあります。
アベル氏は、自身が得意とするインフラ視点から、デルタ・エアラインズの現在の株価が極めて割安であり、リスクを上回るリターンがあると判断したと考えます。
バフェット氏の過去の決定(あるいはトラウマ)に縛られず、現在のファクト(事実)に基づいてニュートラルに判断する。この運用の柔軟性も、私たちが学ぶべき点です。
積み上がる『現金』と、少額復活した『自社株買い』のメッセージ
最後に、現金ポジションについて、ふれておきます。
バークシャーの現金ポジションは、まるで美しい右肩上がりの階段を登るように、過去最高を更新し続けています。
これだけの売却を行い、アルファベットやデルタ航空を買ってもなお、手元には巨額のキャッシュが積み上がっているのです。
これは、現在の米国株式市場全体に対する「強烈な警戒シグナル」捉えることがせきます。
アベル新CEOもバフェット氏と同様に、「買いたいと思えるほど割安な『巨象(魅力的な大企業)』が、今の市場にはほとんど見当たらない」と判断している証拠です。
一方で、2024年Q3から「ゼロ」が続いていた自社株買いが、今四半期に「少額ながら復活」。
「市場全体は割高だが、バークシャー(BRK-A,B)自身の株価は、手元の現金を少し割り当てて買い戻す価値がある程度には適正水準(あるいは割安)にある」という、極めて精密な価格意識の表れです。
市場に流されず、自社の価値を正確に測る物差しを持っているからこそできる芸当です。
まとめ
〜個人投資家が明日から活かせる『3つの知恵』
今回のバークシャーの動向から、私たち個人投資家が抽出して自身のポートフォリオに活かすべき知恵を、以下の3点に集約してみました。
「何を持たないか」を決定する勇気を持つ
ポートフォリオを強くするためには、良い銘柄を買うこと以上に、前提が変わった銘柄や、確信度が下がった銘柄を「全売却」する勇気も必要です。
キャッシュは『次の武器』。休むことも投資である
市場が最高値圏にあり、割安な銘柄が見当たらない時は、周囲の熱狂に流されず、キャッシュ(現金)を積み上げて「待つ」ことも重要です。
バークシャーのように、じっと機会を待つ忍耐力こそが、長期的なパフォーマンスの源泉になります。
変化を恐れず、過去の方針を疑う柔軟性を持つ
バフェットからアベルへの交代という歴史的変化の中で、バークシャーは過去の成功(AmazonやVisa)を捨て、過去に失敗したセクター(航空株)に新たな視点で挑戦しました。
「一度決めたから」と固執せず、常に変化する市場環境に合わせて自分をアップデートしていく柔軟性を持つことを教えてくれています。
新CEOグレッグ・アベル氏の初陣は、バフェット哲学の「魂」を守りつつも、時代に合わせた「進化」を遂げた、素晴らしい教科書になっていると思います。あなたは、どう感じたでしょう?
引き続き、アメ株チャレンジでは、グレッグ・アベルCEOが、率いる、
バークシャー・ハサウェイを追って行きたいと思います。
バークシャー・ハサウェイの主な歩み(1965–2026)
1960年代〜1970年代:投資会社への転換と保険業への進出
1965年:ウォーレン・バフェット氏が当時紡績業だったバークシャー・ハサウェイの経営権を取得。
1967年:保険会社ナショナル・インデムニティを買収。保険フロート(浮動金)を活用した投資モデルを確立。
1970年:バフェット氏が会長兼CEOに正式就任。
1972年:シーズ・キャンディーズを買収。「高品質なブランド企業への長期投資」方針を固める契機に。
1976年:経営危機にあったGEICO(ガイコ)への出資を開始。
1980年代〜1990年代:巨大コングロマリットへの成長
1983年:ネブラスカ家具店(Nebraska Furniture Mart)を買収。
1988年:コカ・コーラ株の大規模購入を開始。長期保有銘柄の象徴に。
1996年:GEICOを完全子会社化。
1998年:再保険大手ジェネラル・リ(General Re)を約160億ドルで買収。
2000年〜2010年代:エネルギー・鉄道・金融危機対応・ハイテクへの拡大2000年:ミッドアメリカン・エナジーを買収(後のバークシャー・ハサウェイ・エナジー)。エネルギー分野へ本格参入。
2008〜2011年:金融危機期にバンク・オブ・アメリカやゴールドマン・サックスなどへ資本注入。危機下でも高収益を上げる巧妙なディールとして注目。
2010年:鉄道大手BNSF(バーリントン・ノーザン・サンタフェ)を完全子会社化。米国実体経済の象徴的投資に。
2013年:3Gキャピタルと共同でH.J.ハインツを買収。後にクラフトと統合しクラフト・ハインツを形成。
2016年:航空宇宙部品大手プレシジョン・キャストパーツを約320億ドルで買収(当時の過去最大規模)。
2016年:アップル株の保有を開始。ハイテク株を避けてきた方針からの大きな転換点となる。
2020年代:日本市場への注目と世代交代への布石
2020年:日本の5大商社(伊藤忠・丸紅・三菱商事・三井物産・住友商事)の株式保有を公表。多様な国際投資戦略を展開。
2022年:保険会社アレガニーを約116億ドルで買収。保険事業ネットワークをさらに強化。
2023年:長年の副会長チャーリー・マンガー氏が逝去(99歳)。経営哲学の継承が焦点に。
2024年:アップル株など一部大型銘柄の保有比率を縮小し、現金ポジションを大幅に積み増す。
2025年:中国EV大手BYDへの17年にわたる投資をほぼ売却し、保有を終了。
2025年末:バフェット氏が年内限りでCEOを退任する意向を表明。
2026年1月:グレッグ・アベル氏がCEO職に正式就任。バフェット氏は会長として引き続き方針監督を担い、新体制がスタート。
これまでのバフェットのバークシャー・ハサウェイの動きを追いました↓
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